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トイレの手すりの付け方位置・高さ・左右の決め方と種類(片麻痺の方の場合も)

監修:運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任
公開日:2026年9月13日/最終確認日:2026年9月13日

トイレは、立つ・座る・向きを変える・ズボンを上げ下ろしする、と狭い場所で多くの動作が続くため、手すりがとても役に立つ場所です。一方で、位置や左右を間違えると、かえって動きにくくなったり、ふらつきの原因になったりすることもあります。

この記事では、手すりの位置と高さの目安、種類の選び方、麻痺がある場合の左右の決め方をまとめました。

この記事のポイント
  • 立ち座りには縦手すりが力を入れやすい。便座に座って腕を前に伸ばした指先のあたりが位置の目安
  • 1本で立ち座りと座っている間の姿勢の両方を支えられるL字型がおすすめ
  • 片麻痺の方は、麻痺のない側の手で縦手すりを握れる配置が基本
  • その側に壁がないときは、可動式の手すりや、正面の壁の横手すりで補う方法がある
  • 歩行器を使っている方は、入口の縦手すりと、便器までの伝い歩き用の手すりも忘れずに

1. トイレの手すりが支える動作

トイレでは、主に次の場面で手すりを使います。どの場面で困っているかによって、合う手すりの形や位置が変わります。

2. 位置と高さの目安

トイレのL字型手すりの位置の目安 洋式トイレに座った高齢の女性を横から見た図。L字型の手すりの縦の部分は、腕を前にまっすぐ伸ばしたときの指先のあたりにあり、横の部分は、肘を乗せられる高さで体の横を後ろへ伸びている。 腕を伸ばした 指先のあたり L字型手すり 肘を乗せる
トイレのL字型手すりの位置の目安(横から見た図)。縦の部分は便器の先端から20〜30cm前、横の部分は便座から22〜25cm上になることが多いです

高さの測り方は、記事「手すりの高さの決め方」で、廊下や玄関とあわせて詳しくまとめています。

3. 手すりの種類と、向いている方

L字型の手すり(おすすめ)

縦と横の手すりがひとつにつながった形で、1本で立ち座りと、座っている間の姿勢の両方を支えられます。縦の部分は、立ち上がるときに体を引き寄せたり、座るときにゆっくり腰を下ろしたりするのに使います。横の部分は、肘掛けのように腕を乗せて姿勢を安定させたり、立ち上がりの始めに手をついて押したりするのに使います。

向いている方
  • 脚の力が弱くなった、膝や腰に痛みがあるなどで、立ち上がるときに手の力を借りたい方
  • 座るときに、ゆっくり腰を下ろせず「ドスン」と座ってしまう方
  • 座っている間に体が傾きやすい方や、排泄のときに踏ん張りにくい方

縦手すり

手首をまっすぐにしたまま握れるので、立ち座りのときに体を引き寄せる力を入れやすい形です。

向いている方
  • 座っている間の姿勢は安定していて、立ち座りだけを助けたい方

横手すり

手を滑らせながら伝い歩きをしたり、肘をかけたりするのに向いています。壁に沿って長めに付けると、トイレの中の移動、立ち座り、座っている間の姿勢に1本で使える場合もあります。

向いている方
  • ドアから便器までの移動や、向きを変えるときにも支えがほしい方

可動式の手すり(はね上げ式など)

はね上げ式の手すり 便器の左側、壁のない側に付けたはね上げ式の手すりの図。左は手すりを下ろして便器の横で肘掛けのように使う状態、右は手すりを上げて奥の壁に沿わせ、便器の横を空けた状態。 使うとき(下ろす) 使わないとき(上げる)
はね上げ式の手すり。上げておくと便器の横が空き、車いすからの乗り移りや介助がしやすくなります

使うときは下ろして肘掛けのように使い、使わないときは上げておける手すりです。便器の横に壁がない側にも付けられ、上げておけば、介助する人が近づく場所を確保できます。

向いている方
  • 付けたい側に壁がない方
  • ご家族が横に立って介助する方

置くタイプ・便器に固定するタイプ

洋式トイレのまわりの床に板を置き、その板から便器の左右に肘掛けのような手すりが立っている図。便器の前の足元は空いている
置くタイプの例(据置型手すり・トイレ用)。床に置いた板で左右がつながり、便器の前の足元は空いています

床に置いて使う手すりや、便器に固定する手すりなど、壁に工事をしなくても使えるものがあります。介護保険でレンタルできます。レンタル料の自己負担の目安は、住宅改修と福祉用具の費用のツールで確認できます。

向いている方
  • 賃貸住宅の方
  • 退院直後など、まず試してから工事を考えたい方
  • 便器の横の壁が遠い方

4. 左右の決め方(片麻痺の方の場合)

脳卒中などで体の片側に麻痺がある場合、麻痺のない側の手で縦手すりを握れる配置が基本です。たとえば右半身に麻痺がある方なら、便座に座ったときの左側に縦手すりがあると、左手で引き寄せて立ち上がれます。

縦手すりの位置を間違えると、動作を妨げたり、ふらつきの原因になったりすることがあるため、とくに慎重に決めたい部分です。

理想の側に手すりを付けられないとき

トイレの広さや便器の向きの都合で、麻痺のない側に壁がない場合もあります。そのときは、次のような方法で補います。

理学療法士の視点から 同じ「右半身の麻痺」でも、麻痺の程度や、立ち上がり・向きを変えるときの動き方は一人ひとり違います。手すりを付ける前に、入院中や退院前の家屋調査の機会などに、リハビリの専門職に実際の動作を見てもらって決めるのがおすすめです。

5. 歩行器を使っている方は、入口の手すりも

ふだん歩行器を使って生活している方の場合、トイレの中は狭く、歩行器ごと入れないことがほとんどです。そのため、トイレの外(入口の手前)に歩行器を置き、そこから便器までは手すりを伝って歩くことになります。

手すりを考えるときは、便器のまわりだけでなく、歩行器から手すりへの持ちかえと、便器までの伝い歩きを支える手すりを忘れないことが大切です。

6. ズボンの上げ下ろしのときの使い方

トイレの中で意外と難しいのが、立ったままズボンを上げ下ろしする動作です。片手を手すりから離すため、ふらつきやすくなります。

どの方法が合うかは、麻痺の程度や立った姿勢のバランスによって大きく変わります。ふらつきがある場合は、無理に一人で行わず、リハビリの専門職と、安全な手順を一緒に決めておくと安心です。

7. 介護保険を使うには

まずは担当のケアマネジャー(要支援の方や、まだ担当がいない方は地域包括支援センター)に相談するところから始めるのがおすすめです。

関連ツール 住宅改修と福祉用具の費用 トイレで困っている場面から、手すりの工事・レンタルの自己負担の目安がわかります。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な考え方をまとめたものです。実際の手すりの種類や位置は、ご本人の体の状態やトイレの広さによって変わります。