家族の介護手帖理学療法士が監修する、費用と準備の実用ツール

ご家族の様子が
気になったら

「最近、親の様子がおかしい」「入院した親の退院をどうするか、急に聞かれて困っている」——そんな戸惑いを抱えているご家族の方へ。突然のことで不安になるのは、当たり前のことです。きっかけが何であっても、進め方には共通する道筋があります。落ち着いて、近いものから選んでみてください。

監修:運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任

こんな様子はありませんか?

ご本人の様子から選んでいただくと、まず何をすればよいかがわかります。

次のような急な変化があるときは、このページを読むより先に119番へ

  • 顔の片側がゆがむ、動きにくい、しびれる
  • ろれつが回らない、うまく話せない
  • 片方の腕や足に、急に力が入らない・しびれる
  • 突然の激しい頭痛、急にふらついて立っていられない
  • 呼びかけへの反応がおかしい、意識がない、けいれんしている
  • 頭を打ったあと、吐く、ぼんやりしている、いつもと様子が違う

救急車を呼ぶか迷うときは、救急安心センター(#7119、実施している地域のみ)やかかりつけ医に相談してください。

転倒が増えた

まずは受診して、転んだ原因を確かめておくことをおすすめします。特に頭を打った場合(覚えていない場合も含む)、数週間〜数か月後に頭痛やもの忘れ、歩行の変化として遅れて症状が出ることがあります(慢性硬膜下血腫)。血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、頭を打ったあと元気そうに見えても、その日のうちに医療機関に相談してください。原因がはっきりしたら、地域包括支援センターに相談し、訪問リハビリで生活動作を確認してもらったり、福祉用具のレンタルから試したりする段階に進みます。

失禁が増えた(トイレの失敗が増えた)

尿路感染症や便秘、薬の副作用など、治療で改善する原因がないか、まず医療機関で確認してもらうのがおすすめです。歩行の変化やもの忘れも同時に進んでいる場合は、手術で改善することがある「正常圧水頭症」の可能性もあるので、あわせて伝えておくと診察の手がかりになります。

物忘れ・認知症のような症状が進んだ

まずは、もの忘れ外来やかかりつけ医で診察を受けておくと安心です。歩行が小股でよちよちになる、方向転換の時に転びやすい、尿失禁も進んでいる、といった変化も重なっている場合は、受診のときにあわせて伝えておくことをおすすめします。

くわしく:歩き方の変化も重なるときに考えられる病気

正常圧水頭症:歩きにくさ・もの忘れ・尿失禁の3つがそろいやすい病気です。手術で改善することがある認知症として知られています。

レビー小体型認知症:もの忘れに加えて、実際にはいない人や虫などがはっきり見える(幻視)、日や時間によって頭がはっきりしている時とぼんやりしている時の差が大きい、パーキンソン病に似た小刻みな歩き方や動作のゆっくりさ、眠っている間に大声を出したり手足をばたつかせたりする、といった特徴があります。根本的に治す治療はまだありませんが、薬やリハビリで症状を和らげることができます。一部の薬(精神安定剤など)で副作用が出やすいことがあるため、診断を受けておくことが大切です。

歩行や日常の動作が難しくなってきた

ここ数日で急に歩けなくなった場合は、様子を見ずにすぐ受診してください。少しずつ難しくなってきた場合は、何が・どこまでできて、何が難しいかを具体的にメモしておくと、その後の相談がスムーズです(例:階段だけ難しい、方向転換で転びやすい、など)。小股でよちよち歩く、方向転換でよく転ぶといった変化がある場合は、背景に病気が隠れていることもあるので、受診のときに歩き方の変化を具体的に伝えておくと安心です。

くわしく:歩き方の変化から考えられる病気

正常圧水頭症:歩きにくさに、もの忘れや尿失禁が加わりやすい病気です。手術で改善することがあります。

パーキンソン病:小刻みな歩き方や方向転換での転倒に加えて、手足のふるえ、動作がゆっくりになる、最初の一歩が出にくい(すくみ足)といった症状がみられやすい病気です。根本的に治す治療はまだありませんが、薬やリハビリで症状を和らげることができます。

もの忘れも重なる場合は、レビー小体型認知症の可能性もあります(上の「物忘れ・認知症のような症状が進んだ」をご覧ください)。

内服の管理が難しくなってきた

最初の相談先としては、かかりつけの薬局がおすすめです。一包化(薬をまとめて1袋にする)や服薬カレンダーの活用など、薬局側で対応できる工夫があります。医師に相談し、薬の種類自体を減らせることもあります。

食事の量や食欲が減った

体重の変化を記録しておき、まずはかかりつけ医に相談するのがおすすめです。むせる、飲み込みにくそうにしているといった様子があれば、それもあわせて伝えておくと、専門的な嚥下(飲み込み)の評価につながることがあります。病院や歯科の中には、「嚥下外来」「摂食嚥下外来」などの名前で、飲み込みを専門に診る外来を設けているところもあります。

その他、気になる変化がある

どんなきっかけでも、まず相談してよい段階です。「こんなことで相談していいのか」と迷う必要はありません。最初の相談先としておすすめなのは、お住まいの地域の「地域包括支援センター」です。

どの様子の場合も共通:相談先と、申請のこと

上のどれに当てはまる場合でも、進め方の入り口は同じです。

こうした変化は、介護保険サービスを考え始める一つのきっかけです。最初の相談先としておすすめなのが「地域包括支援センター」です。お住まいの市区町村ごとにある、高齢者のための無料の総合相談窓口です。「まだ介護が必要かわからない」という段階でも相談できます。「(お住まいの市区町村名) 地域包括支援センター」で検索すると、担当の窓口が見つかります。

介護保険サービスを使うには「要介護認定」の申請が必要です。申請も同じ窓口でできます(申請は無料、結果が出るまで約1か月)。

認定調査の日に気をつけたいこと

調査当日、本人が思わず「できます」と答えたり、いつも以上に頑張ってしまったりして、実際の生活より軽く判定されてしまうことがあります。普段の様子(夜間の様子、疲れた時の状態など)をメモしておき、家族から伝えられるようにしておくと安心です。本人の前で言いにくい内容は、調査員に別途伝えるか、あらかじめ地域包括支援センターに伝えておく方法もあります。

申請が済んだり、担当のケアマネジャーが決まったりと、次の段階に進んだら、「今の手続きの状況から選ぶ」もあわせてご覧ください。

── または ──

今の手続きの状況から選ぶ

すでに相談や申請を始めている方は、こちらから探すとスムーズです。

相談・申請はしたが、担当の人がまだ決まっていない

ここで言う「担当の人」は、一般に「ケアマネジャー(介護支援専門員)」と呼ばれます。要支援と判定された場合は地域包括支援センターがそのまま担当し、要介護と判定された場合は「居宅介護支援事業所」の中からケアマネジャーを選びます。

認定結果を待つ間でも、暫定的なケアプランでサービスを始められることがあります。ただし、結果が「非該当」だった場合は利用料が全額自己負担になるため、急ぎの場合は、利用量も含めてケアマネジャー候補に相談しておくのがおすすめです。

担当の人(ケアマネジャー)が決まり、サービスを相談中
すでにサービスを使っている・内容や費用を見直したい
本人が入院している

まだ治療が中心の病院にいる(症状が落ち着くまで様子を見ている段階)場合は、まず病院の相談窓口(地域医療連携室・医療相談室など、病院により呼び方が違います)に、退院後の生活について相談してみるのがおすすめです。要介護認定は入院中でも申請できるので、早めに動いておくと退院後の準備がスムーズです。

リハビリが中心の病棟に移った、または退院を意識し始めた場合は、こちらのツールが使えます。

流れを見ながら、使えるツールを探す
  1. 地域包括支援センターに相談する
  2. 要介護認定を申請する(結果まで約1か月)
  3. ケアマネジャーを探す・契約する
  4. ケアプランを作り、サービスを組み合わせる
    デイケア/デイサービス診断介護サービスの自己負担シミュレーター
  5. 自宅の環境を整える(手すり・福祉用具など)
    住宅改修と福祉用具の費用
  6. 費用を把握し、必要に応じて見直す
    介護サービスの自己負担シミュレーター

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