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退院前の家屋調査とは?家族が準備しておくことと、当日の流れ

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年9月13日/最終確認日:2026年9月21日

退院が近づくと、病院のリハビリ職員などが自宅を見に来る「家屋調査」の相談を受けることがあります。「何を見られるのか」「家を片付けておくべきか」と戸惑うご家族も多いのですが、少し準備しておくだけで、当日の話がぐっと具体的に進みます。

この記事では、家屋調査の目的と、事前に用意しておくと役立つもの、当日に確認されることの流れをまとめました。

この記事のポイント
  • 家屋調査は、退院後の暮らしに合わせて、家具の配置や福祉用具、住宅改修が必要かどうかなどを考えるために自宅を確認するもの
  • 間取り図や写真の用意は基本的に不要。ご家族は、ご本人のふだんの暮らし方を伝えられるようにしておくと、話が具体的に進む
  • 当日は、玄関から寝室・トイレ・浴室まで、毎日の動きの順番に確認することが多い
  • 見栄えのための片付けは必要なく、ふだんの状態を見てもらう方が役に立つ
  • 家の中を見る時間は、1〜2時間ほどみておくと余裕がある。特別な片付けは必要なく、ふだんの状態のほうが伝わる

リハビリ職・ケアマネジャーの方へ
当日に測っておきたい場所と間取り図の描き方は家屋調査の間取り図の書き方に、報告書に使える図はかんたん間取り図メーカーで作れます。この記事は、ご家族向けの説明として共有するときにお使いください。

1. 家屋調査とは

自宅の玄関で、リハビリ職員がメジャーを当てて上がりかまちの段差の高さを測り、家族がメモを取っている図
家屋調査の様子。段差の高さや通り道の幅を測りながら、必要な手すりや福祉用具を一緒に考えます

家屋調査は、退院後に自宅で安全に暮らせるよう、病院の職員が自宅を訪問して、段差や通り道、トイレや浴室などを確認するものです。病院によって「家屋評価」「退院前訪問」などとも呼ばれ、診療報酬では「退院前訪問指導」という名前で定められています。

2. 事前に準備しておくこと

家の間取り図や写真、寸法を、ご家族が用意する必要は基本的にありません。当日、職員が実際に家を見て判断します。

事前の準備で大切なのは、ご家族にしかわからないことを伝えられるようにしておくことです。次のようなことを、メモにしておくと伝えやすくなります。すべて答えられなくても大丈夫です。

ご本人の暮らし方

ご家族のこと

写真の撮り方

写真があると、当日その場にいなかった人にも様子が伝わります。次の場所を、1か所につき1〜2枚ずつ撮っておくと役に立ちます。

撮るときは、入口に立って部屋の全体が入るように撮ると、広さが伝わります。人が写り込まないようにし、ご本人やご家族以外に見せる範囲も決めておくと安心です。

間取り図・写真・寸法があると助かる場合

寸法を測る4か所 4つに分けた図。左上は玄関の上がりかまちの段差の高さ、右上はトイレの入口の幅、左下は廊下の幅、右下は洗い場の床から浴槽の縁までの高さを、メジャーと両矢印で示している。 玄関の段差の高さ トイレの入口の幅 廊下の幅 浴槽の縁の高さ
寸法を測るなら、この4か所が役に立ちます。ものさしでもメジャーでも大丈夫です

次のような場合は、家の情報が手元にあると、病院の職員が支援しやすくなります。

用意するなら、次のようなもので十分です。

理学療法士の視点から 見栄えのための片付けや模様替えは、必要ありません。家屋調査で知りたいのは、ご本人が実際に暮らす「ふだんの状態」です。ただし、当日は通り道を実際に歩いて確認するので、廊下や階段に置いてある荷物だけは、よけておくと確認しやすくなります。

間取り図の描き方や、測っておくと役に立つ場所は、記事「家屋調査の間取り図の書き方」でくわしくまとめています。

3. 当日の流れ

当日は、毎日の動きの順番に沿って確認していくことが多いです。時間は、家の広さや確認する内容によって変わります。以下は一例です。

家屋調査で確認していく順番の例 平屋の家を上から見た間取り図。①家の前から玄関、②寝室、③寝室からトイレまでの廊下、④トイレ、⑤浴室・脱衣所、⑥居間・台所の順に番号がふられ、家の前から玄関までと、寝室からトイレまでの通り道が点線で示されている。 ①家の前〜玄関 ②寝室 ③寝室からトイレまで ④トイレ ⑤浴室・脱衣所 ⑥居間・台所
家屋調査で確認していく順番の例(上から見た間取り図)。点線は、とくに丁寧に見る通り道です
  1. 家の前から玄関へ家の前の通路や段差、玄関の上がりかまち。車いすや杖を使う場合は、その通り道も確認します。
  2. 寝室ベッドを置く場所と高さ、起き上がりや立ち上がりのしやすさ、手すりや介助バーが必要か(記事「介護ベッドの置き場所と介助バーを付ける側」)。
  3. 寝室からトイレまでの通り道距離、段差、夜の明るさ。夜中のトイレは転びやすい場面の一つなので、とくに丁寧に見ます。
  4. トイレ入口の幅と段差、ドアの開き方、便器の高さ、手すりを付けられる壁があるか。
  5. 浴室・脱衣所入口の段差、浴槽のまたぎやすさ、洗い場のいすや手すりの位置。
  6. 居間・台所・階段日中を過ごす場所、家事の動き、2階を使う必要があるか。
自宅の廊下を、杖を持った高齢の女性がトイレに向かって歩き、横で理学療法士が手を添える構えで見守り、後ろから娘が付き添っている図
寝室からトイレまでの通り道を、実際に歩いて確かめているところ。歩き方や、手すりが必要な場所を見ています

ご本人が一緒の場合は、実際にその場所で動いてもらいながら確認します。そのうえで、必要に応じて、家具の置き方や動き方の工夫、使うとよい福祉用具、住宅改修(手すりの取り付けや段差の解消など)の提案があり、内容はあとで報告書にまとめられたり、退院前の話し合い(退院前カンファレンス)で共有されたりします。カンファレンスで聞いておきたいことは、記事「退院前カンファレンスで家族が聞いておくこと」でまとめています。

理学療法士の視点から 家屋調査の結果は、退院までのリハビリの内容にも生かされます。たとえば、自宅の玄関の段差が20cmとわかれば、同じ高さの段差で昇り降りの練習をする、というように、実際の家に合わせた練習ができるようになります。

所要時間と、当日に用意しておくもの

家の中を見る時間は、1時間から2時間ほどみておくと余裕があります。家の広さや確認する内容によって変わり、往復の移動を含めると、半日ほどかかることもあります。

4. 家屋調査のあとにすること

退院日から逆算した進め方

準備には、次のような時間がかかります。退院日が決まったら、2週間前までに方針を決めておくと、間に合わせやすくなります。

関連ツール 退院前後の準備カレンダー 退院予定日から逆算して、入院中から退院後までにしておくことを一覧で確認できます。 関連ツール 住宅改修と福祉用具の費用 家屋調査で提案された住宅改修や福祉用具の、自己負担の目安がわかります。

5. よくある質問

家屋調査がない病院もありますか?

あります。入院の期間が短い場合や、ご本人の状態から必要性が低いと判断された場合などは、行わないこともあります。自宅の環境が気になる場合は、家の写真や寸法を持って、病院のリハビリ職員に相談してみるのがおすすめです。写真だけでも、具体的な助言をもらえることがよくあります。

家族が立ち会う必要はありますか?

自宅に入って確認するため、ご家族の立ち会いが前提になります。ふだんの生活の様子を知っているご家族の話は、提案を考えるうえでとても大切な情報になるので、できれば、退院後に主に関わるご家族が参加すると話がスムーズです。

家屋調査には、どれくらい時間がかかりますか?

家の中を見る時間は、1時間から2時間ほどみておくと余裕があります。家の広さや、確認する場所の数によって変わります。病院からの移動を含めると、半日ほどかかることもあります。

賃貸住宅でも住宅改修はできますか?

できますが、所有者(大家さん)の承諾書と、賃貸契約書の写しの提出が必要になります。承諾を得るまでに日数がかかることがあるため、家屋調査で手すりの話が出たら、早めに相談を始めるのがおすすめです。

提案された住宅改修や福祉用具は、すべてそろえる必要がありますか?

すべてを一度にそろえる必要はありません。「退院の日までに必ず必要なもの」と「使いながら様子を見て決めるもの」に分けて、優先順位を相談してみるのがおすすめです。手すりの高さや位置の考え方は、記事「手すりの高さの決め方」でも詳しくまとめています。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な流れをまとめたものです。家屋調査の進め方や時期は、病院によって異なります。