「人生会議」は、もしものときのために、自分が望む医療やケアを、前もって考えて、信頼できる人と繰り返し話し合っておく取組です。国が使っているACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称で、11月30日(いい看取り・看取られ)は人生会議の日とされています。
親だけの話ではありません。病気やケガは、子どもの側にも起こりうることです。家族みんなが、お互いのもしものときを話せるようになることを目指して書きました。
- その場で何かを決める会ではありません。話し合いを重ねて、自分の考えを、周りが知っておくための取組です
- 親に聞くだけでなく、自分のもしものときを先に話してみるのもおすすめです
- 話したくないときは、無理に進めません
1. 人生会議とは、なぜ元気なうちから
病気やケガで、自分の考えを伝えられなくなることがあります。そのとき、家族が「本人はどうしたかっただろう」と迷わないように、前もって話しておく。これが人生会議の考え方です。
本人の意思は、時間や体調の変化で変わることがあります。ガイドラインでは、1回で終わりにせず、繰り返し話し合うとよいとされています。いつでも話し直してかまいません。
話したことがない人の多くは、きっかけがなかったり、何を話せばよいかわからなかったりします。次の章から、誰と、何を、どう始めるかを説明します。
2. 誰と話すか
まず、自分が信頼している人です。ガイドラインの解説では、家族等には、法律上の親族だけでなく、親しい友人なども含まれ、複数人でもよいとされています。
家族のあいだでは、親から子へ、子から親へ、きょうだいどうしなど、どの向きでもかまいません。自分に何かあったときに、考えを伝えてほしい人を、前もって決めておく方法もあります。
3. 何を話すか、最初の一言

最初から、延命や治療の話をしなくてかまいません。国のリーフレットは、「大切にしていることは何か」「信頼できる人は誰か」という問いを示しています。ふだんの暮らしの話から始める進め方があります。
- 大切にしていること(家族、役割、趣味、食べること、住み慣れた家など)
- 自分に何かあったとき、考えを伝えてほしい人
- これからも続けたいこと
病気になったときの医療やケアの希望は、病状が見えてきてから、医師や看護師と一緒に話し合います(「よくある質問」に書きました)。
最初の一言は、自分の話から始めると、相手も話しやすくなります。
| 場面 | 最初の一言の例 |
|---|---|
| 知人が入院した | 「大変だったね。自分が同じようになったら、どうしてほしいか、考えておきたいな。○○はどう思う?」 |
| 家族が集まった | 「自分に何かあったときのことを、少し話しておきたいんだ。聞いてもらえる?」 |
| 11月30日 | 「今日は人生会議の日なんだって。うちでも、お互いのもしもの話を、少ししてみない?」 |
一度で、すべてを話す必要はありません。小さな話を重ねることが、人生会議です。
4. 話したくないとき

国のリーフレットには、「知りたくない、考えたくない方への十分な配慮が必要」と書かれています。人生会議は、話し合うこと自体が目的の取組ですが、無理に進めることは目的ではありません。目的は、決まった答えを出すことよりも、本人の思いを、周りが知って受け止めることにあります。
- その場で話を終えて、「話したくなったら、いつでも言ってね」と伝えます。
- 病気や死ではなく、「これからやりたいこと」「大切にしていること」の話から始めます。
- 繰り返し話すものなので、体調や気持ちが変わったころに、また声をかけます。
- 「もしものときに困るから、決めておいて」
- 「延命するの、しないの?」
- 「そんなこと言わないで」
家族が困りやすいのは、どこまで延命をするのが正解なのか、鎮静や身体抑制をどうするか、という場面です。一人ひとりの生き方の決断を、家族が代わりに決めるのは、つらい選択になります。後悔が残らないように、本人が自分の考えを決めておくことが大切だと思います。
5. 話し合ったことを残す
ガイドラインでは、話し合った内容は文書にまとめておくこととされています。ただし、押しつけにならないよう、本人の考えが十分に示されたうえで残します。ノートに、日付と本人の言葉を書くだけでも役に立ちます。考えが変わったら、書き直してかまいません。
話し合いの順序や、メモの欄をまとめた無料のシートがあります。
関連ツール 人生会議 話し合いシート 話す項目を、自分たちに合うものだけ選んで、A4で印刷・PDF保存できます。話し合いの記録欄つき。よくある質問
何歳ごろから、話し始めるのがよいですか
年齢の決まりはありません。国の調査でも、話し合う時期を「年齢は関係ない」と答えた人が、一般の人でもっとも多くなっています。知人の入院、家族が集まる機会、11月30日の人生会議の日などが、きっかけになります。
医療やケアの専門職は、いつから話し合いに加わりますか
本人の病状に応じて、かかりつけ医や看護師、ケアマネジャーなどが、医療・ケアのチームとして加わります。ガイドラインでは、医師などから、病状に応じた情報の提供と説明があったうえで、本人と話し合うとされています。元気なうちの話し合いは、家族だけで始めてかまいません。
話し合った内容は、書いて残す必要がありますか
ガイドラインでは、話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくこととされています。ただし、押しつけにならないよう配慮し、本人の意思が十分に示されたうえで残すよう解説されています。
出典・参考にした資料
- 厚生労働省「「人生会議」してみませんか」:人生会議(ACP)の定義、愛称。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省「人生会議(ACP)普及・啓発リーフレット」:話し合いの進め方の問い、11月30日(いい看取り・看取られ)は人生会議の日、知りたくない・考えたくない方への配慮。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂):本人の意思は変わりうること、繰り返し話し合うこと、家族等の信頼できる者、話し合った内容を文書にまとめること。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン 解説編」:「家族等」の範囲(親しい友人を含む)、意思を推定する者を前もって定めておくこと、文書にまとめるときの配慮。2026年10月確認 リンク
この記事は、人生の最終段階の医療・ケアについての一般的な内容です。本人の病状や状況に応じた話し合いは、かかりつけ医、看護師、ケアマネジャーなど、医療・ケアの担当者に相談してください。