住宅改修の理由書を、順に作る聞き取りから、様式に写すところまで。動作の様子を選ぶと、様式の欄の順に下書きができる
監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
理由書で難しいのは、「どんな動作が、なぜ難しいのか」を、読む人に伝わる言葉にすることです。このページは、準備、聞き取りと現地確認、ご本人の状況、生活動作ごとの入力、工事の位置・図面・写真、様式への写し方、出す前の確認の、7つの段階で進みます。上から順に進めると、「住宅改修が必要な理由書」の用紙(市区町村が配っている書類)の、欄ごとの下書きができます。用紙がどんな形かは、すぐ下の「準備」に図で示しています。
文章は、選んだ内容から組み立てる下書きです。理由書は、ご本人の状態を見た専門職が、その判断を書くものです。実際に見たことと違う部分は直して使います。
入力した内容は、どこにも送られず、保存もされません。氏名や住所を入れる欄はありません。ページを閉じると消えます。途中でやめるときは、下の「様式に写す」の「ファイルに保存」で、入力した内容をお使いの端末に保存し、次に「ファイルを開く」で続きから入力できます。保存したファイルは、事業所の個人情報の取り扱いの決まりに従って扱います。
1. 準備:誰が書くか、様式を手に入れる
- 誰が書くか:基本は、ケアマネジャーや地域包括支援センターの担当職員です。作業療法士や福祉住環境コーディネーター2級以上の人を挙げる国の資料もあります。市区町村で扱いが違うので、窓口に確認します。入院中の方は、病院の相談員にも聞けます。
- 理由書の用紙(様式)を手に入れる:「住宅改修が必要な理由書」は、市区町村ごとに、決まった用紙があります。市区町村のホームページや、介護保険の窓口で配っています(ホームページでは、「○○市 住宅改修 理由書 様式」で探せます。PDFやエクセルで載っていることが多いです)。担当のケアマネジャーがいれば、そこにもあります。
多くの用紙は、A4・横向きの2枚(P1とP2)です。このページの下書きは、この2枚の欄の順に出ます。次の図は、このサイトで作った、用紙のおおまかな形です(実際の用紙は、市区町村で、欄の並びや言い方が少し違います)。
- 用紙が1枚にまとまっている市区町村もあります。その場合も、「身体状況」「介護状況」「どう変えたいか」と、「生活動作 → 困難な状況 → 目的と方針 → 改修項目」の欄は、ほとんど同じです。下書きの見出しと、同じ名前の欄に写します。
- 用紙がまだ手元にない方へ:先に用紙を入手してから進めると、欄の名前を見ながら、写せます。入手前でも、このページで下書きを作ることはできます。
- 入院中に書くとき:退院前の家屋調査(退院前訪問)の結果や、病院のリハビリ職から聞いた、家での動作の見込みを材料にします。退院したあとの動きは、入院中と変わることがあります。工事の前に、家での動きを確かめる機会を持つと安心です。
- 工事の前に申請する:申請の前に工事を始めると、対象にならないことがあります。工事の前に、窓口やケアマネジャーに確認します。
くわしくは、記事「住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方」にまとめています。
2. 聞き取りと現地確認
様式を埋める前に、材料を集めます。ご本人・ご家族に聞くことと、現地で見ることです。
ご本人・ご家族に聞くこと
- これからの生活の希望:「夜も自分でトイレに行きたい」「お風呂に入り続けたい」など。様式の「日常生活をどう変えたいか」に書きます。
- 困っている場面:いつ、どこで、どんなときに困るか。転びそうになった(ヒヤリとした)経験はあるか。
- 介護の状況:誰が、どんな介助をしているか。家族の負担になっていることはあるか。
- 福祉用具の使用状況:杖、歩行器、車いす、手すりのレンタル、ポータブルトイレなど。すでに使っている物と、改修のあとも使う予定の物。
- 住まいの状況:持ち家か賃貸か(賃貸などは、持ち主の承諾書が要ります)。手すりを付ける壁の状態。
現地で見ること
動作の確認は、ふだんの一連の動作(たとえば、寝室を出てトイレで用を足し、戻るまで)を、ご本人に再現してもらうのがいちばんです。訪問介護員や訪問看護師など、ふだんの様子を知っている職員から、話を聞く方法もあります。見る点は、下の「生活動作ごとに、様子を選ぶ」の、排泄・入浴・外出・その他、それぞれの中の「現地で見ること・聞くこと」にまとめています。聞き取りだけで確かめる場面もあります。その場合も、ご本人の記憶と実際の動きが違うことがあるので、可能なら、リハビリ職や福祉用具専門相談員に、動きを見てもらう方法もあります。
メジャー、カメラ(日付が入るもの)、マスキングテープ(手すりの位置の印用)を持っていくと、現地で、写真や寸法の材料も集められます。
3. ご本人の状況を入れる(様式P1)
1回だけ入力します。ここで入れた内容は、P1の4つの欄の下書きになり、③生活動作ごとの「なぜ難しいか」の選択肢にもなります。
4. 生活動作ごとに、様子を選ぶ(様式P2)
排泄・入浴・外出・その他の4つのエリアです。改修を考える生活動作がある所だけ、開いて入力します。
どの動作で、なぜ難しく、手すりで何が変わるのかが、読み取れません。
③・便器の右側の壁にL字型の手すりを取り付け、立ち上がりのときに体を引き寄せ、ゆっくり腰を下ろせるようにする。これにより、立ち座りが安定し、一人でできることが期待される。
様式の欄ごとの、書き方の留意点
静岡市の記入要領にもとづいて、まとめています。
- ② 具体的な困難な状況:「入浴動作」と書くだけでは、何をどう改善したいのかがわかりません。どの動作の、どの場面で困っているかを書きます。ご本人の心身の状況、動作、介助の方法、住まいの現状(段差の数や高さ、つかまる所がないなど)を、具体的に書くと、改修の方針が決まりやすくなります。例:「寝室からトイレまでの移動は、つたい歩きでも少し不安」と書くより、「寝室と廊下、廊下とトイレに各3cmほどの段差があり、つまずきやすい」と書くほうが、状況が伝わります。
- ③ 改修目的・期待効果:何のために改修するのか、どんな効果を期待するのかを、はっきりさせます。目的や効果が書かれていないと、改修のあとに、ご本人の役に立ったかを確かめることが、難しくなります。
- ③ 改修の方針:目的と期待効果に沿って、どんな工事を行うのか、困っている動作や状況が、どう改善されるのかを、具体的に書きます。施工事業者や、必要に応じてリハビリ職などと、一緒にプランを考えます。現場で改修箇所を確かめ、可能なら、ご本人に実際に動いてもらって確かめます。福祉用具を使うかどうかも、あわせて考えます。
- ④ 改修項目:工事の種類ごとに整理します。介護保険の対象になるものと、ならないものを、確かめます。
- P1の「どう変えたいか」:ご本人・ご家族の希望だけを取り入れて行った改修では、自立支援の効果が認められないものも、少なくないとされています。希望をよく聞いたうえで、リハビリ職などの意見も加え、ご本人・ご家族が納得できる内容にします。
5. 工事の位置・図面・写真をそろえる
様式の④に書いた「改修箇所」を、図面と写真でも示します。理由書・図面・写真・見積書で、同じ番号を使うと、読む側に伝わりやすくなります。
6. 様式に写す
下の枠は、書き換えることができます。見出し(■【P1】、■【P2】)ごとに、様式の同じ名前の欄へ写します。
写すときのこつ
- 欄が小さいときは短くする:様式の欄は、広さが限られます。②は、いちばん困る場面から書き、細かい様子は、減らして使います。
- 改善しようとする動作に限る:自治体の記入の説明には、改修の対象でない動作には印を付けない、すべての行為を書かず、改善しようとする行為に絞ってよい、という例があります。
- 共通の内容は、1か所に:移動のように、いくつかの行為に共通する内容は、たとえば「排泄」の行にだけ書き、ほかの行で重ねて書かなくてよい、という例があります。
- 改修の言い方:「手すり」「段差解消」という言い方でなくてもよい、という例があります。「つかまれる所を」「つまずかない工夫を」「立ち上がりの支えを」のように、動作に合わせて書く方法です。
- ①と②で、状況が伝わるように:印を付けた動作(①)と、具体的な困難(②)の、両方で、利用者の状況が伝わるようにします。
下書きは、選んだ内容から機械的に組み立てた文章です。「手すりが必要」「この工事が適切」という判断をするものではありません。実際に見た動作と違うところは直し、書いた人が内容に責任をもてる形にして使います。様式の欄の名前や並びは、市区町村で違います。
7. 出す前に確認する
理由書が書けたら、見積書・図面・写真・承諾書との食い違いがないかを、確かめます。
よくある質問
このツールで作った文章を、そのまま理由書に出してよいですか?
そのままは、おすすめしません。理由書は、ご本人の状態を見た専門職が、その判断を書くものです。ここで作る文章は、現地で見たことを整理するための下書きです。実際に見たことと違う部分は直し、市区町村の様式の欄に合わせて短くして使います。
選ぶ項目に、当てはまるものがありません。
「補足」の欄に、現地で見た様子を自由に書けます。補足は、困っている動作の最後に加わります。また、出てきた下書きは、コピーして自由に直せます。
理由書を書くのは、誰ですか?
基本は、ケアマネジャーや地域包括支援センターの担当職員です。作業療法士や福祉住環境コーディネーター2級以上の人を挙げる国の資料もあります。市区町村で扱いが違うため、窓口に確認します。くわしくは、記事「住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方」にまとめています。
入力した内容は、どこかに送られますか?
どこにも送られません。ページを閉じると消えます。途中で保存したいときは、「ファイルに保存」で、お使いの端末に保存できます。保存したファイルは、事業所の個人情報の取り扱いの決まりに従って扱います。
動作を見る機会がなく、聞き取りだけです。選んでよいですか?
聞き取りで確かめた内容も、選べます。ただし、ご本人の記憶と、実際の動きが違うことがあります。可能なら、リハビリ職や福祉用具専門相談員に、動きを見てもらう方法もあります。
出典・参考にした資料
- 厚生労働省の通知「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」(平成12年老企第42号):理由書に書く内容(心身の状況、日常生活の動線、住宅の状況、福祉用具の導入状況をふまえ、必要な工事とその理由を書く)。2026年10月確認
- 静岡市「住宅改修が必要な理由書」作成にあたり留意点と記入要領、記入例:様式の欄ごとの書き方の留意点、記入例の書きぶり。2026年10月確認
- 前橋市・四日市市の住宅改修が必要な理由書(記入例つき様式):様式の構成(P1・P2)と、記入例の書きぶり。ほか、泉南市・大分市・国分寺市・長野市・東京都北区の様式:欄の構成の共通点。2026年10月確認
- 厚生労働省「介護保険における住宅改修」:6種類の工事、理由書の作成者。2026年10月確認
- 工事ごとの位置・高さ・向いている方の考え方は、サイト内の記事「トイレの手すり」「手すりの高さの決め方」「玄関の段差」「浴室の手すり」「階段」にもとづきます。出典は、それぞれの記事の下に書いています。
文章の組み立て方(①〜④の流れ)は、国の通知に示された内容をふまえた、わかりやすく書くための整理です。様式の欄の名前や、書き方の決まりは、市区町村で違います。制度や書式は変わることがあります。申請の前に、市区町村の窓口や担当のケアマネジャーにご確認ください。最終確認日:2026年10月。