やまねこのリハビリ・介護手帖理学療法士がひもとく、家族の安心と現場の実践ツール

地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違い「居宅」と「包括」の違い|ケアマネジャーはどこにいる? 介護度で変わる相談先

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年9月14日/最終確認日:2026年9月14日

困ったら、まずは電話で相談を

「何から始めればいいかわからない」ときは、ご本人が住んでいる地域の地域包括支援センターに電話してみるのがおすすめです。相談は無料で、介護保険の申請をしていなくても、ご家族だけでも相談できます。

  • 探し方:「(ご本人が住む市区町村名) 地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の介護保険の窓口に電話で聞く
  • すでに担当のケアマネジャーがいる場合:まずは担当のケアマネジャーへ
  • 入院中の場合:病院の相談室(医療ソーシャルワーカー)へ

電話では、ご本人の住所と、困っていることを伝えれば大丈夫です。うまく説明できなくても、必要なことは職員が聞き取ってくれます。

介護のことを調べていると、「まずは地域包括支援センターへ」「ケアマネジャーに相談を」という言葉がよく出てきます。ただ、ケアマネジャーは「人(職種)」の名前で、地域包括支援センターは「窓口(場所)」の名前です。比べるとわかりやすいのは、地域包括支援センターと、ケアマネジャーが所属する「居宅介護支援事業所」です。

病院やケアマネジャーとの会話では、この2つが「居宅(きょたく)」「包括(ほうかつ)」と略して呼ばれることがよくあります。「居宅」は居宅介護支援事業所、「包括」は地域包括支援センターのことです。

この記事では、居宅と包括の違いと、要支援・要介護など介護度によって相談先がどう変わるか、相談してからサービスが始まるまでの流れをまとめました。

この記事のポイント
  • 「居宅」は居宅介護支援事業所、「包括」は地域包括支援センターの略称。ケアマネジャーは、介護サービスの計画(ケアプラン)を作る専門職。居宅介護支援事業所にも、地域包括支援センターにもいる
  • 介護度で相談先が変わる。認定の前と要支援1・2は地域包括支援センター、要介護1〜5は居宅介護支援事業所が主な担当
  • 地域包括支援センターは住所で担当が決まり、居宅介護支援事業所はご本人・ご家族が選んで契約する
  • どちらも、相談やケアプランの作成に自己負担はない

1. ケアマネジャーは「人」、2つは「所属する場所」

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護サービスを使う人のために、どのサービスをどのくらい使うかの計画(ケアプラン)を作り、サービスの事業所との調整をする専門職です。ケアマネジャーが働いている場所は、主に次の2つです。

特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所した場合は、その施設に所属するケアマネジャーがケアプランを作ります。

2. 介護度によって、相談先が変わる

介護保険の認定を受ける前か後か、認定の結果が要支援か要介護かによって、主な相談先とケアプランを作るところが変わります。

介護度によって変わる相談先 高齢の女性と娘が、2つの建物を見ている図。左の地域包括支援センターには保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーの3人が立ち、「認定の前・要支援1・2」の矢印が向かっている。右の居宅介護支援事業所にはケアマネジャーが1人立ち、「要介護1〜5」の矢印が向かっている。 地域包括支援センター 居宅介護支援事業所 認定の前・要支援1・2 要介護1〜5 保健師・社会福祉士 主任ケアマネジャー ケアマネジャー
介護度によって、主な相談先とケアプランを作るところが変わります。ケアマネジャーは、どちらにもいます
ご本人の状態主な相談先・ケアプランを作るところ
認定を受ける前・まだわからない地域包括支援センター
介護保険を申請するか、ほかに使える支援があるかを一緒に考えてもらえます。
要支援1・2
(事業対象者を含む)
地域包括支援センター
センターから居宅介護支援事業所に作成を任せる(委託する)ことや、2024年4月からは市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業所が直接担当することもあります。
要介護1〜5居宅介護支援事業所
ご本人・ご家族が事業所を選んで契約し、その事業所のケアマネジャーが担当します。

「事業対象者」は、要介護認定を受けずに、市区町村の窓口などで「基本チェックリスト」に答えて、介護予防のサービスが使えると判定された人のことです。

更新などで要支援と要介護が入れ替わると、担当が変わることがあります。ただ、同じ事業所が続けて担当できる場合もあるので、担当が変わるのが不安なときは、いまの担当者に「このまま続けて見てもらえるか」を聞いてみるとよいです。

3. 居宅と包括の違い(居宅介護支援事業所と地域包括支援センター)

地域包括支援センター居宅介護支援事業所
運営市区町村(社会福祉法人などに運営を任せていることも多い)社会福祉法人・医療法人・会社など。市区町村の指定を受けて運営
主な役割地域の高齢者とご家族の総合相談、介護予防、要支援の人のケアプラン要介護の人のケアプラン作成と、サービス事業所との調整
職員保健師(または看護師)、社会福祉士、主任ケアマネジャーケアマネジャー
担当の決まり方ご本人の住所で決まるご本人・ご家族が選んで契約する
費用相談は無料ケアプランの作成に自己負担はなし

地域包括支援センターは、全国に約5,500か所あり、それぞれが決まった地域を担当しています。居宅介護支援事業所は数が多く、同じ法人のデイサービスや訪問介護などと同じ建物にあることもよくあります。

4. 地域包括支援センターでできること

地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、介護・福祉・健康・お金の管理などの相談をまとめて受け付ける窓口です。

こんなことが相談できます

「こんなことを相談してもいいのかな」と迷う内容でも大丈夫です。センターで対応できないことは、適切な窓口につないでもらえます。

担当のセンターの探し方

5. 居宅介護支援事業所のケアマネジャーがすること

要介護1〜5と認定されたら、居宅介護支援事業所を選んで契約し、その事業所のケアマネジャーに担当してもらいます。ケアマネジャーが行うことは、主に次のとおりです。

自宅の食卓で、高齢の女性と娘の話を、ケアマネジャーがメモを取りながら聞いている様子
ケアマネジャーは自宅を訪ねて、ご本人とご家族から暮らしの様子や希望を聞き取ります

ケアプランの作成や、ケアマネジャーとの相談に、利用者の自己負担はありません(費用は全額、介護保険から支払われます)。費用がかかるのは、ケアプランにもとづいて使う介護サービスの利用料です。

理学療法士の視点から ケアマネジャーには、困っていることだけでなく、ご本人が「できていること」「これからも続けたいこと」も伝えておくのがおすすめです。たとえば「自分でトイレに行くことは続けたい」「近所の散歩を続けたい」とわかれば、手すりや福祉用具、リハビリのサービスなど、それを支える方向で計画を考えやすくなります。

6. 相談してからサービスが始まるまで

自宅で暮らしている人が、はじめて介護サービスを使う場合の流れの一例です。

  1. 地域包括支援センターに相談する困っていることを伝えると、介護保険を申請したほうがよいか、ほかに使える支援はあるかを一緒に考えてもらえます。
  2. 要介護認定を申請する申請先は市区町村の介護保険の窓口です。地域包括支援センターなどに、手続きを代わりに行ってもらうこともできます。
  3. 認定調査と、主治医の意見書市区町村の調査員が自宅などを訪ねて、体の状態や暮らしの様子を確認します。あわせて、主治医が意見書を書きます。
  4. 認定結果が届く申請から結果が出るまでは、原則30日以内とされていますが、1か月以上かかることもあります。
  5. ケアプランを作るところが決まる要支援1・2なら地域包括支援センター(または指定を受けた事業所)、要介護1〜5なら、居宅介護支援事業所を選んで契約します。
  6. ケアプランを作って、サービス開始担当者が自宅を訪ねて話を聞き、ケアプランを作ります。サービスの事業所と契約して、利用が始まります。

入院中の場合は、病院の相談室(医療ソーシャルワーカーや地域連携室)が相談の窓口になります。要介護認定は入院中でも申請できるので、退院後に介護サービスを使いそうなときは、早めに相談しておくと退院の準備が進めやすくなります。

理学療法士の視点から 入院中からケアマネジャーが決まっていると、退院前の家屋調査や話し合い(退院前カンファレンス)に同席してもらえることがあります。そのためには、介護保険の申請を、入院中の早めの時期に済ませておくのがおすすめです。認定の結果が出るまでには1か月ほどかかるため、早めに申請しておくと、退院までに担当のケアマネジャーが決まりやすくなります。病院のリハビリ職員が見てきた「できること・気をつけること」を、そのまま退院後のケアプランに引き継いでもらえるので、退院してからの生活に切れ目なくつながりやすくなります。家屋調査については、記事「退院前の家屋調査とは」でまとめています。
関連ツール 退院前後の準備カレンダー 退院予定日から逆算して、介護保険の申請やケアマネジャーとの相談など、しておくことを一覧で確認できます。

7. 事業所の選び方・ケアマネジャーの変え方

居宅介護支援事業所の探し方

地域包括支援センターや市区町村の窓口で、近くの居宅介護支援事業所の一覧をもらえます。入院中なら、病院の相談室で相談することもできます。事業所の場所や特徴は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」でも調べられます。

選ぶときの目安

将来、施設への入所を考えている場合は、その施設に居宅介護支援事業所が併設されていれば、そこに相談するのもひとつの方法です。施設の様子や、併設のショートステイ・デイサービスの情報を得やすく、それらを使いながら施設の職員と顔なじみになっておける、というよさがあります。ただし、特別養護老人ホームなどの入所は、介護の必要性などをもとに施設が判断するため、併設の事業所を選んだからといって、入所が早くなるわけではありません。

ケアマネジャーは、ケアプランに入れるサービスの事業所を、公正・中立に選ぶことが求められています。同じ法人のデイサービスなどがある場合でも、ご本人・ご家族は、ほかの事業所も紹介してほしいと頼んだり、その事業所を選んだ理由の説明を求めたりすることができます。

合わないと感じたら、変えることもできます

ケアマネジャーとの相性が合わない、連絡がとりにくいといった場合は、担当者や事業所を変えることができます。同じ事業所の中で担当者を変えてもらう方法と、別の事業所に変える方法があります。事業所を変えるときは市区町村への届出が必要ですが、新しい事業所が手続きを手伝ってくれることが多いです。いまの担当者に直接言いにくいときは、地域包括支援センターに相談するのもひとつの方法です。

8. よくある質問

「居宅」と「包括」は、何が違いますか?

「居宅」は居宅介護支援事業所、「包括」は地域包括支援センターの略称です。包括は、ご本人の住所で担当が決まる総合相談窓口で、要支援1・2の人のケアプランも作ります。居宅は、要介護1〜5の人のケアプランを作る事業所で、ご本人・ご家族が選んで契約します。どちらにもケアマネジャーがいて、相談やケアプランの作成に自己負担はありません。

離れて暮らす親のことは、どこに相談すればよいですか?

親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターです。電話での相談もできるので、まずは親の住所を伝えて、状況を話してみるのがおすすめです。

要介護になったら、地域包括支援センターには相談できなくなりますか?

そんなことはありません。ケアプランは居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当しますが、地域包括支援センターは、地域の高齢者とご家族の相談窓口として、引き続き相談できます。ふだんのサービスの相談は担当のケアマネジャーに、ケアマネジャーに言いにくいことや、介護保険以外の困りごとは地域包括支援センターに、と使い分けるとよいです。

ケアマネジャーにお金はかかりますか?

ケアプランの作成や相談に、利用者の自己負担はありません。費用がかかるのは、デイサービスや訪問介護、福祉用具のレンタルなど、実際に使う介護サービスの利用料です。

福祉用具や手すりのことも、ケアマネジャーに相談できますか?

できます。福祉用具のレンタルや、介護保険を使った住宅改修(手すりの取り付けなど)も、ケアマネジャーが事業所との調整を手伝ってくれます。手すりの位置や高さの考え方は、記事「手すりの高さの決め方」でもまとめています。

関連ツール 介護保険の自己負担シミュレーター 要支援1・2、要介護1〜5の区分ごとに、介護サービスを使ったときの1か月の自己負担の目安がわかります。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な仕組みをまとめたものです。窓口の名前や手続きの細かな進め方は、市区町村によって異なります。