この記事は、住宅改修の申請に使う写真を撮る人(施工業者、福祉用具の事業所、ケアマネジャー、リハビリの担当者、ご家族)に向けて書きました。「何を、どこから撮ればよいのか」「日付はどう入れるのか」「手すりの位置は、どう示すのか」といった疑問に、市区町村の手引きをもとに答えます。
写真は、改修する場所と、工事の必要性を、市区町村が確かめるための資料です。撮り方が合わないと、撮り直しや、問い合わせになることがあります。工事の前に申請する流れ全体は「住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方」にまとめています。この記事は、その写真の部分を、さらにくわしくしたものです。
- 写真には、撮影日が必要です。日付機能のあるカメラで撮るか、日付を書いた黒板や紙を一緒に写します。撮ったあとに日付を足した写真は、認められない市があります
- 改修前の写真は、改修する場所をアップで撮らず、周りも写します。手すりなら、どの壁かが、見取り図と見比べられるように
- 手すりは取り付け予定の位置を、段差はメジャーを当てた写真を、扉・床材は全体がわかるように撮ります
- 改修後は、改修前と同じ角度で撮り、使った部材(金具など)が、すべて確認できるようにします
- 理由書・見積書・図面・写真には、同じ番号を振ります
- 撮り方の細かい決まりは、市区町村によって違います。申請先の手引きを、先に確かめます
1. 撮影日の入れ方
手引きでは、写真に撮影日がわかることが、共通して求められています。入れ方は、次のように示されています。
- カメラの日付機能で、日付を写真に入れます(大田区は「原則、カメラの日付機能」)。
- 日付の機能がないときは、工事用の黒板や紙に、日付などを書き、写真に写り込むように撮ります(さいたま市、相模原市)。
- 撮ったあとに、日付を付け足す等のデータ修正をした写真は、認められません(さいたま市)。
日付が入っていない写真は、再提出や、問い合わせになることがあります。相模原市のQ&Aでは、日付のない写真には、施工業者へ電話で撮影日を問い合わせるとされ、事前申請で日付がなかった場合は、事後の申請で、日付の入った写真を出すよう案内されています。
- 日付は、撮るときに写し込みます。あとから足せません。
- 写した日付の上には、線や文字を書き込まないようにします。
- 撮った写真は、元のファイルを、消さずに残しておきます。
2. 改修前の写真:共通の撮り方
改修前の写真は、工事が必要な理由と、改修する場所が、わかるように撮ります。複数の手引きに、共通して書かれていることは、次のとおりです。
- アップだけで撮らず、周辺も写す:改修する場所だけでなく、周りの様子がわかるようにします。浴室なら、壁だけでなく、浴槽も入れて、浴室だとわかるように撮ります(大田区、ひたちなか市)。
- 障害物や段差も写す:移動の邪魔になる物や、段差も、一緒に写ります(大田区)。
- 工事の必要性がわかる:たとえば、段差があって手すりを付けるときは、手すりを付ける壁と、段差が確認できる写真にします(相模原市)。
- 鮮明で、ピントが合っている:ぼやけた写真は、確認できません(大田区)。
- 広い範囲は、分けて撮ってよい:1枚に入らないときは、分割して撮影します(さいたま市)。
- 場所ごとに撮る:改修する場所の、すべてを撮ります。
3. 工事の種類ごとの撮り方
ひたちなか市の手引きには、工事の種類ごとの、改修前の撮り方が示されています。ほかの市の手引きにも、同じ内容があります。
| 工事 | 改修前の写真で撮るもの |
|---|---|
| 手すりの 取付け | 壁のアップだけにしない。どこの壁に付けるのか、見取り図と見比べられるように、周りの扉などが写るようにする。取り付け予定の位置を、写真に示す(次の章) |
| 段差の 解消 | 段差の全体がわかる写真と、段差にメジャー(スケール)を当てて、高さがわかる写真の、両方 |
| 扉の 取替え | 扉の形や、取っ手などが、全体でわかるように撮る |
| 床材の 変更 | 床全体がわかるように撮る。荷物があって撮りにくいときは、着工するときに、荷物を取り除いた状態の写真を撮り、完了のときに出す |
| 階段の 滑り止め | 段数や範囲がわかるように撮る |
手すりの取付けでは、そのほかに、玄関から道路までの通路に付けるときは、敷地全体がわかる図が求められる手引きがあります。見取り図の書き方は「住宅改修の見取り図の書き方」にまとめています。
4. 改修後の写真
改修後の写真は、工事のあとの申請で出します。工事が、計画どおりにできたことが、確認できるように撮ります。
- 改修前と、同じ角度で撮る:比べやすくなります(大田区)。
- 使った部材が、すべて確認できる:見積書にある部材や個数が、確認できるように撮ります(大田区、相模原市)。
- 手すりは、金具に注意:金具(ブラケットなど)が小さすぎたり、影に隠れたりしないよう、撮る角度を工夫して、複数枚撮ります(さいたま市)。
- 長い手すりは、つなぎ目がわかるように:1枚の写真に入らないときは、つなぎ目がわかるように、マスキングテープなどを貼って撮ります(相模原市)。
- 踏み台などの固定工事:ビスなどで留めた箇所が、写るように撮ります。住宅に固定されていないものは、住宅改修の対象ではなくなるため、固定されていることが、わかるようにします(大田区、さいたま市)。
- 段差の解消:段差が解消されたことが、わかるように、メジャーを当てて撮ります(相模原市)。
5. 位置を示す方法と、番号
手すりの位置の、示し方
改修前の写真に、手すりの取り付け予定の位置を示す方法は、手引きによって、次のように書かれています。
- 手すりの取り付け予定の箇所を、マジックなどで記載する(さいたま市)。
- 改修予定の箇所を、写真に直接、線を引くなどして示す(大田区)。改修する内容を、写真の中に図示する(ひたちなか市)。
- 現場で、壁にテープなどで印をつけてから撮る方法もあります。
どの方法が認められるかは、市区町村によって違います。申請先の手引きで確かめてから、決めるのがおすすめです。
番号をそろえる
大田区、さいたま市の手引きでは、改修する箇所に通し番号を振り、理由書・見積書・図面・写真で、同じ番号にそろえるよう求めています。審査する人が、書類を見比べやすくなります。
写真への線や番号の書き込みと、A4の写真貼付シートづくりは、無料のツールで行えます。
関連ツール 住宅改修の写真書き込みシート 工事前の写真に、手すりの線、寸法、番号を書き込んで、改修前・改修後を並べたA4の写真貼付シートを、印刷・PDF・画像で保存できます。6. 現場での撮り方の順番
手引きの内容をもとにした、現場での撮り方の一例です。
- 日付の準備:日付機能のカメラを使うか、日付や名前を書いた、黒板や紙を用意します。
- 引きの写真から:部屋全体や、廊下全体など、場所がわかる写真を、先に撮ります。
- 周りを入れて、改修する場所へ:扉、浴槽、段差など、周りの物を入れながら、改修する場所に寄ります。
- 位置や寸法を示す:手すりの位置にテープなどで印をつけます。段差にメジャーを当てます。
- 角度を変えて、複数枚:正面や斜めなど、わかりにくいときは、角度を変えて撮ります。
- 番号を決める:理由書・見積書・図面と同じ番号を、その場で決めて、記録しておきます。
- その場で見返す:ピント、日付、場所がわかるか、確かめます。撮り直しは、現場にいるうちにできます。
7. よくある不備
手引きに書かれている内容から、不備になりやすい点を整理しました。
- 日付が入っていない:撮影日が確認できない。あとから足したものも、認められないことがあります。
- アップだけで、場所がわからない:どの壁、どの段差か、確認できない。
- ピントが合っていない:ぼやけて、確認できない。
- 段差に、メジャーが当たっていない:高さがわからない。
- 部材が確認できない:金具が小さい、影になっている、見積書の部材と照らせない。
- 改修前と、角度が違う:比べにくい。
- 番号が、書類とそろっていない:どの写真が、どの工事か、結びつかない。
よくある質問
住宅改修の写真に、日付はどう入れればよいですか
撮るときに、写真に写し込みます。日付機能のあるカメラを使うか、日付を書いた黒板や紙を、一緒に写して撮ります(さいたま市、相模原市、大田区の手引き)。撮ったあとに、日付を付け足したり、データを修正したりした写真は、認められない市があります。
日付が入っていない写真を出してしまいました。どうなりますか
相模原市のQ&Aでは、日付のない写真には、担当した施工業者へ、電話で撮影日を問い合わせるとされています。事前申請で日付がなかったときは、事後の申請で、日付の入った写真を出すよう、案内されています。取り扱いは、市区町村によって違うので、窓口に確かめます。
手すりの位置は、写真にどう示せばよいですか
市区町村によって、書き方が違います。さいたま市は、取り付け予定の箇所を、マジックなどで記載するとしています。大田区は、写真に直接、線を引くなどして示すとしています。ひたちなか市は、改修する内容を、写真の中に図示するとしています。現場で、壁にテープなどで印をつけてから撮る方法もあります。申請先の手引きで、確かめるのがおすすめです。
改修場所を、アップで撮ってはいけませんか
アップだけの写真は、どこの壁か、どこの段差かがわからなくなります。大田区、ひたちなか市の手引きは、改修場所の周辺も写すよう求めています。手すりなら、周りの扉などが写り、見取り図と見比べられる写真が、わかりやすいとされています。必要に応じて、アップの写真を、あわせて撮ります。
改修後の写真は、どう撮ればよいですか
改修前と同じ角度で、使った部材が、すべて確認できるように撮ります。手すりは、金具が小さすぎたり、影に隠れたりしないよう、角度を工夫して複数枚撮ります。長い手すりは、つなぎ目がわかるよう、マスキングテープなどを貼って撮る案内もあります(さいたま市、相模原市、大田区の手引き)。
撮った写真が傾いています。補正して使ってよいですか
傾きを直す補正は、写真を加工することにあたります。手引きでは、日付を付け足すなどのデータ修正をした写真は認められないとされていて、補正の扱いは、市区町村によって違うと考えられます。補正する前に、申請先の窓口に確かめるのがおすすめです。補正するときは、日付が切れないように、元の写真も残しておきます。
出典・参考にした資料
- 東京都大田区「介護保険 住宅改修の手引き」:工事前写真(撮影日がわかるもの、原則カメラの日付機能。改修予定箇所を写真に直接線を引くなどして示す。周辺の状況もわかるように。鮮明でピントが合った写真。段差はメジャーを当てる)、完成後の写真(工事前と同じアングル、踏み台のビス、見積書の部材・個数が確認できること)、理由書・図面・写真・見積書に共通の番号を振ること。2026年10月確認 リンク
- さいたま市「介護保険 住宅改修の手引き」(令和7年12月):撮影日を入れて撮影すること、日付機能のないカメラでは工事用黒板や紙に日付等を書いて写し込むこと、撮影後に日付を付け足す等のデータ修正をした写真は認められないこと、広範囲は分割して撮影してよいこと、手すりは改修前に予定箇所をマジック等で記載し、改修後はブラケット等の部品が確認できるよう撮影角度を工夫して複数枚撮ること、住宅に固定されていないものは対象外であること、通し番号。2026年10月確認 リンク
- 相模原市「介護保険 住宅改修のQ&A」(令和6年4月改定版):改修前の写真は工事の必要性がわかるもの(手すりを付ける壁と段差が確認できるもの)、段差はスケールを当てた写真、改修後は使用部材がすべて確認できるもの、連続した手すりのつなぎ目にマスキングテープ、日付のない写真の扱い。2026年10月確認 リンク
- ひたちなか市「介護保険住宅改修費事前申請に係る書類作成の留意点」:施行前写真(改修予定の内容を写真内に図示、撮影日を入れる、改修場所をアップで撮らず周辺も写す)、工事の種類ごとの撮り方(手すり、段差、扉、床材、滑り止め)。2026年10月確認 リンク
この記事は一般的な内容です。写真の撮り方や、書き込みの決まり、様式は、市区町村によって違います。申請の前に、担当のケアマネジャーか、お住まいの市区町村の窓口に確認するのがおすすめです。