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住宅改修の対象になる工事と、ならない工事6種類の工事と、20万円の上限の考え方

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月5日/最終確認日:2026年10月5日

この記事は、手すりや段差の工事、トイレの洋式化などを考えているご家族と、その相談を受けるケアマネジャーに向けて書きました。「この工事は、介護保険の住宅改修の対象になりますか」という疑問に、国の通知をもとに答えます。

住宅改修は、工事費の一部が、20万円までを上限に支給される制度です。ただし、対象になるのは決まった6種類の工事だけで、似た工事でも、対象にならないものがあります。工事の前に市区町村へ申請する流れは「住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方」、申請に添える図は「住宅改修の見取り図の書き方」にまとめています。

この記事のポイント
  • 対象は、手すりの取付け、段差の解消、床や通路の材料の変更、扉の取替え、便器の取替え、それらに付帯する工事の6種類だけ
  • 和式から洋式のトイレへの取替えは対象。和式の上に置くタイプの洋式化は、住宅改修ではなく、福祉用具の購入の対象
  • 階段の手すりは、日常生活で必要かどうかが見られる。たまにしか使わない2階への階段は、理由と頻度を理由書に書いて、市区町村が判断する
  • 置くだけのスロープやすのこ、動力で動く機器、新築や増築、老朽化の工事などは対象外
  • 支給の上限は1人20万円(保険給付は通常18万円まで。自己負担は1〜3割)。何回かに分けて使える
  • 要介護度が変わっただけでは、上限は増えない。3段階以上重くなったとき(1回だけ)と、転居したときに、もう一度20万円

1. 対象になるのは、6種類の工事

介護保険の住宅改修は、国が決めた、次の6種類が対象です。「手すりの取付け、床の段差の解消などの、比較的小規模なもの」として決められています。

住宅改修の対象になる6種類の工事 住宅改修の対象になる6種類の工事。1 手すりの取付け:廊下、トイレ、浴室、玄関などに付ける。2 段差の解消:敷居を低くする、スロープの設置、浴室の床のかさ上げ。3 床・通路の材料の変更:畳からフローリングなど、浴室の床を滑りにくく、通路を滑りにくい舗装に。4 扉の取替え:開き戸から引き戸や折戸、ドアノブの変更、戸車の設置。5 便器の取替え:和式から洋式、位置や向きの変更、暖房や洗浄機能つきも。6 付帯して必要な工事:手すりの壁の下地補強、床材の下地の補修、扉に伴う壁の改修。 1 手すりの取付け 廊下・トイレ・浴室・ 玄関などに付ける 縦・横・二段式など 2 段差の解消 敷居を低くする スロープの設置 浴室の床のかさ上げ 3 床・通路の材料の変更 畳→フローリングなど 浴室の床を滑りにくく 通路を滑りにくい舗装に 4 扉の取替え 開き戸→引き戸・折戸 ドアノブの変更 戸車の設置 5 便器の取替え 和式→洋式 位置・向きの変更 暖房・洗浄機能つきも 6 付帯して必要な工事 手すりの壁の下地補強 床材の下地の補修 扉に伴う壁の改修 対象は、この6種類だけです(6は、1〜5に付帯する工事) 住宅改修の対象になる6種類の工事(スマートフォン用) 住宅改修の対象になる6種類の工事。1 手すりの取付け:廊下、トイレ、浴室、玄関などに付ける。2 段差の解消:敷居を低くする、スロープの設置、浴室の床のかさ上げ。3 床・通路の材料の変更:畳からフローリングなど、浴室の床を滑りにくく、通路を滑りにくい舗装に。4 扉の取替え:開き戸から引き戸や折戸、ドアノブの変更、戸車の設置。5 便器の取替え:和式から洋式、位置や向きの変更、暖房や洗浄機能つきも。6 付帯して必要な工事:手すりの壁の下地補強、床材の下地の補修、扉に伴う壁の改修。 1 手すりの取付け 廊下・トイレ・浴室・ 玄関などに付ける 縦・横・二段式など 2 段差の解消 敷居を低くする スロープの設置 浴室の床のかさ上げ 3 床・通路の材料の変更 畳→フローリングなど 浴室の床を滑りにくく 通路を滑りにくい舗装に 4 扉の取替え 開き戸→引き戸・折戸 ドアノブの変更 戸車の設置 5 便器の取替え 和式→洋式 位置・向きの変更 暖房・洗浄機能つきも 6 付帯して必要な工事 手すりの壁の下地補強 床材の下地の補修 扉に伴う壁の改修 対象は、この6種類だけ (6は、1〜5に付帯する工事)
住宅改修の対象は、この6種類です

この6種類に入らない工事は、同じ家の工事でも、介護保険の対象になりません。逆に、6種類の工事に付帯して必要になる工事(手すりの壁の下地補強など)は、一緒に対象になります。

2. 種類ごとの、対象になる工事と、ならない工事

国の通知(老企第34号)と、国のQ&A(事務連絡)に書かれている内容を、種類ごとにまとめました。

種類対象になる工事 / ならない工事
手すりの
取付け
対象:廊下、便所、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに、転倒の予防、移動、乗り移りのために付ける手すり。形は、二段式、縦付け、横付けなど、適切なもの
ならない:置くだけ、突っ張るだけなど、工事をしない手すり(レンタルの対象。福祉用具のレンタル)
段差の
解消
対象:部屋と部屋のあいだ、玄関から道路までの段差や傾斜をなくす工事。敷居を低くする、スロープを設置する、浴室の床をかさ上げする、など
ならない:置くだけのスロープ(レンタル)や浴室のすのこ(購入)。昇降機、リフト、段差解消機など、動力で段差をなくす機器の設置
床・通路面の
材料の変更
対象:居室の畳から板張りやビニル系の床材へ。浴室の床を滑りにくいものへ。通路を滑りにくい舗装へ。転倒したときの衝撃をやわらげる材料への変更も、対象として差し支えないとされています
ならない:滑り止めマットなど、置くだけのもの
引き戸等への
扉の取替え
対象:開き戸を、引き戸、折戸、アコーディオンカーテンなどに替える工事。扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含まれます。扉の位置を変えるより安くすむ場合は、引き戸などの新設も対象
ならない:自動ドアにしたときの、自動ドアの動力の部分
洋式便器等への
便器の取替え
対象:和式便器を洋式便器に替える工事。便器の位置や向きを変える工事も。和式から、暖房便座や洗浄機能のついた洋式便器へ替える場合も含まれます
ならない:和式の上に置く腰掛便座(購入の対象)。すでに洋式の便器に、暖房や洗浄の機能をあとから付ける工事。非水洗から水洗にする工事のうち、水洗化の部分
付帯して
必要な工事
対象:手すりを付けるための壁の下地の補強。スロープに付ける転落や脱輪を防ぐ柵や立ち上がり。床材を変えるための下地の補修や根太の補強、通路の路盤の整備。扉の取替えに伴う壁や柱の改修。便器の取替えに伴う給排水設備工事や床材の変更(水洗化の部分を除く)

ここに書いたのは、国の通知とQ&Aにある内容です。細かい扱いは、市区町村によって違うことがあります(たとえば、浴槽の取替えや、床を柔らかい材質にする工事は、市区町村によって扱いが分かれる例があります)。申請の前に、担当のケアマネジャーか、市区町村の窓口に確認するのがおすすめです。

3. よく相談される4つの工事

現場で、特に相談が多い4つの工事について、対象になるかどうかと、確かめておくことをまとめました。

① 和式から洋式のトイレに替える

住宅改修の対象になります。「洋式便器等への便器の取替え」にあたり、和式便器を洋式便器に替える工事のほか、便器の位置や向きを変える工事も含まれます。和式から、暖房便座や洗浄機能のついた洋式便器へ替える場合も、含まれます。

② 手すりを付ける

住宅改修の対象になります。廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などに、転倒の予防や、移動、乗り移りのために付ける手すりです。手すりの形は、二段式、縦付け、横付けなど、その人に合った形を選びます。

③ 和式の便器に、かぶせるタイプの洋式トイレにする

和式便器の上に置いて、腰掛け式に変える腰掛便座は、住宅改修ではなく、福祉用具の「購入」の対象です(特定福祉用具販売)。国の通知でも、住宅改修の「便器の取替え」からは、腰掛便座の設置が除かれています。

方法どちらの制度か
和式の便器を、
洋式の便器に替える
住宅改修(工事費20万円までが対象)。工事の前に、市区町村へ申請する
和式の上に置く、
腰掛便座を使う
福祉用具の購入(年間10万円までが対象)。指定を受けた事業所から買う。工事は要らない

どちらにするかは、家の状況(賃貸かどうか、配管など)、費用、使う方の立ち座りの様子を見て、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、施工事業者と相談して決めます。購入の払い方などは、ポータブルトイレの置き場所と選び方にもまとめています。

④ 2階へ行く階段に、手すりを付ける

寝室が1階で、2階にはたまにしか上がらない場合の階段の手すりは、日常生活で必要かどうかが見られます。住宅改修は、「日常生活上、必要なもの」を対象にしているためです。

国の通知は、手すりを付ける場所を「廊下、便所、浴室、玄関、玄関からの道路までの通路等」としています。階段が対象になるかどうかの細かい扱いは、市区町村によって違うので、先に、ケアマネジャーか市区町村の窓口に、相談しておくのがおすすめです。

理学療法士の視点から 階段は、2階に「たまにしか行かない」からこそ、慣れていないぶん、ふらつきやすい場所でもあります。ただ、制度の上では、「たまに使う」というだけでは判断しにくく、なぜ上がるのか、頻度はどれくらいか、今の階段でどんな危険があるのかを、具体的に伝えることが大切です。リハビリの担当者に、階段を上り下りしている様子を見てもらい、どこで不安定になるかを、理由書に生かしてもらう方法があります。

4. 対象にならない工事

国の通知と、自治体の手引きに書かれている、対象にならない工事の例です。

対象の工事と、対象にならない工事を一緒に行う場合は、対象の部分を取り出したり、割り振ったりして、対象になる費用を計算します。見積書では、対象の工事と対象外の工事を分けて書くのが基本です(住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方の3章)。

家族などが、自分で工事をした場合は、材料の購入費が対象になります。この場合も、必要な書類は、変わりません。

5. 20万円の考え方

支給の上限と、自己負担

住宅改修の支給の上限(支給限度基準額)は、1人あたり20万円です。要支援・要介護の区分にかかわらず、同じ額です。20万円分の工事をしたとき、保険給付は、通常18万円になります。

20万円の工事をしたときの、保険給付と自己負担 20万円の工事をしたときの、保険給付と自己負担。1割負担の方は、保険給付が18万円、自己負担が2万円。2割負担の方は、保険給付が16万円、自己負担が4万円。3割負担の方は、保険給付が14万円、自己負担が6万円。20万円は上限で、使い切る前提ではない。 20万円の工事をしたとき 1割負担 自己負担 2万円 保険給付 18万円 2割負担 自己負担 4万円 保険給付 16万円 3割負担 自己負担 6万円 保険給付 14万円 20万円は上限です。 使い切る前提ではありません
20万円の工事をしたときの、保険給付と自己負担(負担割合ごと)

上限が、もう一度20万円になるとき

要介護度が変わっても、上限が増えるわけではありません。これまでに支給された額を、20万円から引いた残りが、使える額です。要支援から要介護になったときなども、同じです。

上限が、改めて20万円になるのは、次の2つの場合です。

段階要介護度
第1段階要支援1
第2段階要支援2、要介護1
第3段階要介護2
第4段階要介護3
第5段階要介護4
第6段階要介護5

たとえば、最初の工事のとき要介護1(第2段階)だった方が、要介護4(第5段階)になると、3段階上がったことになります。要介護3(第4段階)では、2段階なので、対象になりません。

同じ家に、介護保険の被保険者が複数いる場合は、上限の管理は、1人ずつです。ただし、同時に工事をするときは、それぞれの人に関係する範囲を分けて申請します。たとえば、それぞれの専用の居室の床材を替えるときは、それぞれが申請できますが、共用の居室の床材を替えるときは、どちらか一方だけが申請します。

6. 工事を決める前に

よくある質問

介護保険の住宅改修の対象になる工事は、どんなものですか

国が決めた6種類です。手すりの取付け、段差の解消、滑りの防止や移動の円滑化のための床や通路面の材料の変更、引き戸等への扉の取替え、洋式便器等への便器の取替え、そして、これらに付帯して必要になる工事です。支給の上限は1人20万円で、保険給付は通常18万円までです。

和式トイレを洋式トイレに替える工事は、対象になりますか

対象になります。和式便器を洋式便器に替える工事や、便器の位置や向きを変える工事が含まれます。暖房便座や洗浄機能のついた洋式便器への取替えも含まれます。ただし、水洗化の部分や、すでに洋式の便器に機能をあとから付ける工事は、対象になりません。

和式の便器の上に置く、洋式にするタイプのトイレは、住宅改修の対象ですか

住宅改修ではなく、福祉用具の購入(特定福祉用具販売)の対象です。和式便器の上に置いて腰掛け式にする腰掛便座は、住宅改修の「便器の取替え」からは除かれています。購入費は、原則として1年間(4月から翌年3月)で10万円までが対象です。

寝室は1階で、2階にはたまにしか上がりません。階段に手すりを付けられますか

住宅改修は、日常生活で必要なものが対象です。自治体のQ&Aでは、1階に居住するスペースがある場合、2階への階段の手すりは対象外としつつ、2階に上がる理由と頻度によっては対象になる場合があるとして、理由書に詳しく書くよう案内している例があります。階段の手すりの扱いは市区町村によって違うので、先にケアマネジャーか市区町村の窓口に相談すると安心です。

要介護度が上がったら、また20万円使えますか

要介護度が変わっただけでは、上限は増えません。これまでに支給された額を20万円から引いた残りが、使える額です。最初に住宅改修費の支給を受けた工事の着工のときと比べて、介護の必要の程度が3段階以上重くなったときは、改めて20万円までの支給を受けられます(1回に限る)。転居したときも、改めて20万円までの支給を受けられます。

家族が自分で手すりを付けた場合、費用は出ますか

被保険者が自分で材料を購入し、本人や家族などで工事をする場合は、材料の購入費が住宅改修費の対象になります。この場合も、事前の申請など、必要な書類は変わりません。工事の前に、市区町村に確認しておくと安心です。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。対象になるかどうかは、工事の内容と、ご本人の状況をもとに、市区町村が判断します。細かい扱いは、市区町村によって違います。工事の前に、担当のケアマネジャーや、お住まいの市区町村の窓口で、最新の内容をご確認ください。