やまねこのリハビリ・介護手帖理学療法士がひもとく、家族の安心と現場の実践ツール

アメリカの作業療法士歴史・資格(OTRとNBCOT)・年収・働き先と、日本との違い。日本の免許から目指すときの道筋も

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月10日/最終確認日:2026年10月10日/出典(25件)

アメリカで作業療法士(OT)になるには、認定を受けた修士か博士の課程を修了し、全米の試験(NBCOT)に合格して、州の免許を取ります。働き先は外来のクリニックと病院が半分以上ですが、学校で働く人が1割以上いるのが、日本との大きな違いです。

日本の作業療法士・理学療法士、養成校の学生に向けて、制度の形と数字を、日本と並べて紹介します。保険や施設の決まりは、アメリカの理学療法士と共通の部分が多くあります。

年収の中央値100,330ドル2025年5月
作業療法士の職の数約17.0万2025年
2035年までの伸び(見通し)15%全職業の平均より、かなり速い
全米の試験を受けた新卒8,574人2025年・合格率92%

年収・職の数・見通しは米国労働統計局(BLS)、新卒の受験者は試験の団体(NBCOT)の集計。新卒は、卒業から1年以内に受けた人です。

1. 日本と並べて見る

項目アメリカ日本
入口の教育修士か博士(認定を受けた課程)認定を受けた学校の数は、博士の課程156校・修士の課程161校養成校で3年以上
試験と免許全米の試験(NBCOT)+州ごとの免許すべての州で免許が必要国家試験+国の免許
受診のしかた州によって違う協会のモデル法は、紹介なしの評価・治療を認める形医師の指示の下に行う理学療法士及び作業療法士法 第2条
リハビリの区分受ける場所ごと(外来・入院リハビリ施設・ナーシングホーム・在宅)学校では、教育の計画の中の「関連サービス」病気の区分ごと(疾患別リハビリテーション料)
外来の保険の目安年間2,480ドル(2026年)を超えると、必要性の記録が要る作業療法は、理学療法・言語聴覚療法の合計とは別に数える疾患別リハビリテーション料の枠で、病気の区分と日数が決まる
長期の介護公的な介護の保険はない介護保険(通所・訪問リハビリなど)
助手の職種OTA(作業療法士助手)準学士か学士。多くは準学士国家資格の助手の職種はない
働く人の数職の数 約17.0万(2025年)OTRの資格を持つ人は169,736人就業者 約20.3万人(2020年)
1年に新しく
加わる人
全米の試験を受けた新卒 8,574人(2025年)合格率92%(何回目の受験かを問わない)国家試験の合格者 4,887人(2025年)
年収中央値 100,330ドル(2025年)平均 443.6万円(2025年)理学療法士・言語聴覚士・視能訓練士と同じ区分の数字

表は、横にずらして見られます。

年収は、為替で換算して比べることはできません。物価、税、医療保険の自己負担、学費の借金が大きく違うためです。数え方は違いますが、作業療法士の人数は、日本(就業者 約20.3万人)のほうが、アメリカ(職の数 約17.0万)より多い形です。一方で、毎年の新卒の受験者(8,574人、合格率92%)は、日本の国家試験の合格者(4,887人)を大きく上回っています。

2. 歴史:精神科の「作業」と負傷兵の病棟から、大学院へ

  1. 1800年代の初めから

    精神科の病院で、作業を治療に使う取り組みが行われていました。1900年代の初めには、障害のある人の再教育にも広がります。

  2. 1917年

    アメリカ作業療法協会(AOTA)の前身にあたる団体(作業療法の普及のための全国協会)が設立されました。

  3. 1918年

    第一次世界大戦の負傷兵のため、2月に、陸軍のウォルター・リード病院の整形外科の病棟で、3人の作業療法の助手による試験的な取り組みが始まりました。3月の陸軍の指示では、理学療法以外の治療のための作業を、すべて作業療法と分類しています。同じ年、ボストン、セントルイス、フィラデルフィアに作業療法の学校ができました。

  4. 1923年

    養成課程の認定が、協会の役割と定められました。いまの認定機関(ACOTE)につながるしくみで、2023年に100年を迎えています。

  5. 1952年

    世界作業療法士連盟(WFOT)が、10の国の協会で発足しました。アメリカは、その1つです。日本作業療法士協会の加盟は1972年です。

  6. 1965年

    高齢者の公的な医療保険(メディケア)と、低所得の人の医療扶助(メディケイド)ができました。作業療法の支払いの多くも、この2つの決まりに左右されます。同じ年、日本では「理学療法士及び作業療法士法」ができています。

  7. 1975年

    障害のある子どもに、無償で適切な公教育を保障する法律(EHA)ができました。1990年に、いまの名前(IDEA)に変わります。学校で作業療法を行うしくみの土台です。

  8. 1999年

    協会が、作業療法士の入口を、学士より上の学位(大学院)にすると決めました。認定機関がこれを2007年から実施し、学士の課程しかなかった50以上の課程が、大学院の課程に移りました。

  9. 2013年

    「よくなる見込みがないと、リハビリは保険の対象にならない」という運用を正す和解(ジモ和解)が成立しました。機能を保つ・低下を遅らせるための専門的なリハビリも対象になることが、あらためて確認されました。

  10. 2018年

    外来のリハビリの上限が廃止されました。かわりに、一定額(2026年は2,480ドル)を超えるときは、必要性をカルテで示して請求する形になりました。

  11. 2024年

    本人がいない場で家族などに介助のしかたを教える「介護者の訓練」が、メディケアで請求できるようになりました。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、治療計画にもとづいて行います。

  12. 2026年

    作業療法士のための、州をまたぐ免許の協定(OT Compact)で、10の州が「相互の免許(compact privilege)」の発行を始めました(10月5日)。協定に入っているのは37州です。

負傷兵の病棟から始まった点は理学療法と同じですが、作業療法は、精神科の病院での「作業」という、もう1つの源を持っています。1965年以降の保険の流れは、理学療法と共通です。

3. 資格と教育:修士か博士、NBCOT、助手(OTA)

入口は、修士か博士

養成課程の認定機関(ACOTE)によると、作業療法士の入口は、修士か博士のどちらかの学位です。認定を受けた学校は、博士の課程が156校、修士の課程が161校あります(2026年)。どちらの学位でも、卒業すれば同じ全米の試験(NBCOT)を受けられます。

どちらの課程でも、学校の外で行う臨床実習(レベルII)が、フルタイムで最低24週間求められます。1か所で複数の分野を経験するか、4か所までの実習先に分けて行います。

全米の試験と、州の免許

認定を受けた課程を卒業すると、全米の試験(NBCOT)を受けられます。合格すると、作業療法士(OTR)の資格が得られ、さらに州ごとの免許を取ります。すべての州で、免許が必要です。

州をまたいで働きやすくするための協定(OT Compact)が作られていて、加盟は37州です。2026年10月の時点で、実際に発行が始まっているのは、10州です。

助手(OTA)の道

作業療法士の指導のもとで治療を行う助手(OTA)は、準学士か学士の課程で学びます。認定された課程は、準学士が199、学士が9です(2026年)。多くは準学士で、ふつうは州の免許が必要です。NBCOTの試験には、作業療法士(OTR)用と、OTA(COTA)用があります。

4. 受診のしかたと、保険のしくみ

紹介が要るかどうかは、州で違う

作業療法士の評価と治療に、医師などの紹介が要るかどうかは、州の法律で決まっています。アメリカ作業療法協会(AOTA)のモデル法(2022年に改訂)は、紹介なしの評価・治療を認める形ですが、これは州に提案する見本で、法律そのものではありません。理学療法のように「全州で紹介なしに受診できる」とは、言い切れません。働きたい州の決まりは、州の免許の窓口で確かめることになります。

メディケアでは、作業療法を別に数える

65歳以上などが入る公的保険(メディケア)の外来では、年間の一定額(2026年は2,480ドル)を超えるとき、必要性をカルテで示して請求を続けます。この金額は、理学療法と言語聴覚療法を合わせた分と、作業療法の分とで、別に数えます。理学療法をたくさん受けている人でも、作業療法の分は、それとは関係なく数え始めます。上限ではないので、超えたあとも、必要性を示せば続けられます。

日本との違い

日本は、法律で「医師の指示の下に」作業療法を行うと決まっています。アメリカは、州によって紹介の決まりが違い、保険の支払いの場面で、医師などが治療計画を認める形が残ります。「受診の入口の決まり」と「保険の決まり」を分けて見ると、比べやすくなります。

5. 病院・施設・学校ごとの作業療法

メディケアのリハビリの支払いは、病名の区分ではなく、どこでリハビリを受けるかで決まりが分かれます。この点は理学療法と同じなので、くわしくはアメリカの理学療法士の記事にまとめています。ここでは、作業療法に関わる点を見ます。

入院リハビリ施設(IRF)日本の回復期リハビリテーション病棟に近い役割

作業療法の位置づけ
集中したリハビリには、理学療法か作業療法を含む、複数の職種が必要。作業療法は、この条件を満たす職種の1つ

ナーシングホームでの短期のリハビリ(SNF)退院後に、施設で専門的な看護やリハビリを受ける

条件と日数
3日以上の入院のあと、原則30日以内に入所。1回の期間につき100日まで

在宅(ホームヘルス)日本の訪問リハビリに近い

条件
外出が難しく、家にいる状態であることを、医師などが認める
作業療法の扱い
作業療法だけでは、在宅のリハビリを始める条件にならない。看護・理学療法・言語聴覚療法のどれかが必要とされて始まったあとは、作業療法だけで続けられる

学校作業療法士の13%が、教育の分野で働く

しくみ
障害のある子どもが特別な教育を受けるための法律(IDEA)の規則で、作業療法は「関連サービス」の1つ。子どもごとの教育の計画をつくるチーム(IEPチーム)が、必要と決めたものを提供する
アメリカの入院リハビリ施設で、洗面台の前のいすに座って歯みがきの練習をする高齢の男性と、横で見守る作業療法士
入院リハビリ施設(IRF)の例。洗面台の前で、歯みがきなどの身のまわりの動作を練習します
ナーシングホームの個室で、背上げしたベッドの上で、太い持ち手のスプーンを使って食事の練習をする高齢の男性と、横で見守る作業療法士
ナーシングホーム(SNF)の例。ベッドの上で、持ち手の太いスプーンを使って、食事の練習をします
自宅の浴室で、シャワーチェアに座って壁の手すりに手を添える高齢の女性と、手すりの位置をメジャーで確かめる作業療法士
在宅(ホームヘルス)の例。家を訪れて、浴室の手すりの位置や、シャワーチェアでの動きを確かめます
小学校の教室で、太いグリップをつけた鉛筆で書く練習をする女の子と、横で見守る作業療法士
学校の例。鉛筆に補助具をつけて、書く練習を見守ります
日本との違い

日本の作業療法士は、病院、リハビリテーションセンター、障害のある人の施設、介護の施設、保健所などで働きます。学校の中で、教育の計画の一部として作業療法を行う形は、アメリカの作業療法の大きな柱の1つです。

6. 介護の分野での関わり

公的な介護の保険はなく、短期のリハビリが手厚い

メディケアは、着替え・入浴・トイレなどの日常の介助が中心の長期の介護を支払いません。長期の入所や、家での長期の介助は、収入などの条件を満たす人はメディケイド、そうでない人は自費や民間の保険で賄います。一方、退院後のナーシングホームでの短期のリハビリ(SNF)や在宅のリハビリは、条件を満たせばメディケアの対象になり、作業療法士も関わります。

維持のためのリハビリも、保険の対象

2013年の和解(ジモ和解)で、よくなる見込みがなくても、機能を保つ・低下を遅らせるために専門職の技術が必要なら、対象になると確認されました。対象は、ナーシングホーム、在宅、外来のリハビリです。

家族への指導は、請求できる

2024年から、治療計画にもとづいて、本人がいない場で、家族などの介護者に、家での動作・移乗・安全な介助のしかたを教えることを、メディケアで請求できます。作業療法士にとっては、生活の動作を家族に伝える仕事が、そのまま報酬の対象になった変更です。

自宅の寝室で、ベッドの端に座る高齢の男性の上着の着せ方を、作業療法士が娘に見せている
家族への指導の例。動かしにくい側の腕から袖を通す手順を、作業療法士が娘に説明しています

運転のリハビリ

運転を続けるかどうかの評価と練習も、作業療法が関わる分野の1つです。運転のリハビリの専門の団体(ADED)には、試験で認定する専門職(CDRS、3年ごとに30時間の研修で更新)があります。ADEDの、運転のリハビリの種類を整理した資料は、AOTAと米国道路交通安全局(NHTSA)の取り組みと合わせて作られています。

7. 働き先と年収

働き先は、外来の事務所と病院で半分以上

米国労働統計局(BLS)。主な働き先だけを載せているため、合計は100%になりません。

年収は、在宅と施設が高い

働き先年収の中央値
在宅(ホームヘルス)106,300ドル
ナーシングホーム105,850ドル
病院102,820ドル
外来の事務所97,940ドル
学校など(教育の分野)87,300ドル

全体では、下から10%の人が71,690ドル未満、上から10%の人が131,950ドルを超えています(2025年5月)。多くはフルタイムで働き、利用者の都合に合わせて夜や週末に働くこともあります。

助手(OTA)と、助手(エイド)

OTAの年収の中央値は72,300ドルです。OTAとは別に、片付けや準備を担う助手(エイド)がいて、こちらは高校卒業と職場での研修で就けます(年収の中央値 39,160ドル)。OTAとエイドを合わせた職の数は、56,600です(いずれも2025年、BLS)。

これから10年の見通しと、体への負担

作業療法士の職は、2025年から2035年に15%増える見通しで、毎年約10,000人分の求人が見込まれています。一方で、BLSは、作業療法士を「けがや病気になる割合が、全職業の中でも高い職業の1つ」としています。利用者を支えたり、重い道具を動かしたりするためで、体の使い方や持ち上げ方に気をつけることが求められます。

8. 日本の免許から目指すときの道筋

日本で作業療法士の免許を持っていても、そのままアメリカで働くことはできません。アメリカ以外で教育を受けた人の道筋は、おおむね次の順です。条件は州ごとに違い、変わることもあるので、働きたい州の免許の窓口で確かめます。

  1. 教育の審査(OTED)を受けるNBCOTが、これまでの教育と臨床実習が、アメリカの最初の専門学位の水準と同等かを確かめます。審査の手数料は850ドル(2026年)。承認は7年間有効で、その間に試験に合格する必要があります。
  2. 審査の条件を満たす条件は、作業療法の修士、または作業療法の学士に作業療法の大学院(修士か博士)を足した学歴、または作業療法の学士に関連分野の修士を足した学歴です。臨床実習が、960時間以上必要です。足りない内容は、追加の科目を求められることがあります。
  3. 全米の試験(NBCOT)に合格するOTEDの承認を受けてから、作業療法士(OTR)の試験に申し込みます。
  4. 英語の試験(TOEFL)と、州の免許ビザのための証明書では、TOEFLの点数が使われます。TOEICとIELTSは受け付けられません。州ごとの免許の条件も確かめます。
  5. 働くためのビザ作業療法士として働くためのビザには、医療従事者の証明書が必要です。作業療法士の証明書は、NBCOTなどが発行します。
学位について

NBCOTの条件には、学士以上の学位が書かれています。日本の3年制の養成校を出ただけの場合、条件に合うかどうかは、NBCOTに問い合わせて確かめることになります。アメリカで作業療法の大学院を出ても、OTEDの承認が約束されるわけではないと、NBCOTは案内しています。審査の前に、学歴の組み合わせを相談しておくのがおすすめです。

審査には、成績証明書、授業の内容(シラバス)、免許の確認書類、職歴の書類が使われます。日本語の書類の扱いは、NBCOTの案内に従うことになるため、卒業した養成校への問い合わせから始めることになります。

よくある質問

日本の作業療法士の免許で、そのままアメリカで働けますか

そのままでは働けません。アメリカ以外で教育を受けた人は、NBCOTの教育の審査(OTED)を受け、承認を得てから、全米の試験に合格する必要があります。そのあと、州の免許を取ります(NBCOT)。

英語の試験は、TOEFL以外でもよいですか

ビザのための証明書については、連邦の規則で、作業療法士・理学療法士の証明書を出す団体は、TOEICとIELTSの結果を受け付けないとされています。TOEFLの決まった点数が必要です(8 CFR 212.15)。

OTA(作業療法士助手)とは、どんな職種ですか

作業療法士の指導のもとで治療を行う職種です。認定を受けた課程(多くは準学士)で学び、ふつうは州の免許が必要です。年収の中央値は72,300ドルです(2025年5月、BLS)。日本には、国家資格の助手の職種はありません。

アメリカでは、医師の紹介なしに作業療法を受けられますか

州によって違います。AOTAのモデル法は、紹介なしの評価・治療を認めていますが、州の法律そのものではありません。州の法律で、医師などの紹介や指示を求めている州もあります。また、保険(メディケアなど)で支払いを受けるには、医師などが治療計画を認めることが求められます。

作業療法も、理学療法と同じ保険の枠を使いますか

メディケアの外来では、年間の金額の目安(2026年は2,480ドル)を、理学療法と言語聴覚療法の合計と、作業療法とで、別に数えます(CMS)。

出典・参考にした資料

出典を見る(25件)

金額はドルのまま載せています。制度や州の条件は変わることがあるため、目指すときは、働きたい州の免許の窓口と、NBCOTで最新の条件を確かめることをおすすめします。