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運動量増加機器加算の算定要件|対象の機器と上肢・下肢の分け方令和8年度診療報酬改定。上肢と下肢で別々に月1回

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月28日/最終確認日:2026年10月28日/出典(17件)

運動量増加機器加算は、脳卒中や脊髄障害のあとの上肢・下肢の麻痺に、運動量を増やすための機器を使ったリハビリを計画したときに、リハビリテーション総合計画評価料へ加算する点数です。令和8年度の改定で、1つだったこの加算が、上肢と下肢に分かれました。

対象になるのは、決められた機器と、発症から60日以内の患者です。機器を選ぶのも、使うかどうかを判断するのも、リハビリ職の仕事に近い加算といえます。対象の患者と期間、対象の機器、計画書と明細書に書くこと、病棟ごとの扱い、令和8年度に変わったことを、原文の場所をそえて整理します。

このページの見方
  • 決まり告示(医科点数表)と留意事項通知・施設基準の通知に書いてあること
  • 国の解釈厚生労働省の疑義解釈資料で答えが示されていること
  • 確かめ先疑義解釈で答えが出ていないこと。地方厚生(支)局に確かめるのがおすすめです
イ 上肢150点月1回
ロ 下肢150点月1回
対象の期間60日以内発症日から起算

令和8年度診療報酬改定の医科点数表 H003-2 注4。令和6年度は、上肢・下肢をまとめて月1回150点でした。

1. まず結論

2. 加算のあらまし

項目内容
算定の場所リハビリテーション総合計画評価料(H003-2)の注4。「所定点数に加算」する形です
点数イ 上肢の運動機能障害に対して機器を用いる場合 150点
ロ 下肢の運動機能障害に対して機器を用いる場合 150点
それぞれ月1回に限る
届出脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)か(Ⅱ)の施設基準の届出
計画を立てる職種医師、理学療法士、作業療法士のうち1名以上
リハビリ運動量増加機器を用いて、脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションを行う
入院・外来注4に、入院中に限るという書き方はない

表は、横にずらして見られます。

決まり機器を用いたリハビリテーション計画を、医師・理学療法士・作業療法士が策定し、その機器を使って脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリを行った場合に算定します。

医科点数表 H003-2 注4。留意事項通知 H003-2(9)

3. 対象の患者と期間

対象の患者

決まり脳卒中または脊髄障害の急性発症に伴う、上肢または下肢の運動機能障害がある患者です。脳卒中や脊髄障害の再発によるものも含まれます。

決まり告示(特掲診療料の施設基準等)では、この患者を「発症日から起算して60日以内のもの」と定めています。

留意事項通知 H003-2(9)。特掲診療料の施設基準等(令和2年の改正告示の原文で確認。令和6年・令和8年の改正告示に、この部分の変更は見当たりません)

算定の回数と、続けられる期間

留意事項通知 H003-2(9)

発症から60日の間に、急性期の病院から回復期リハビリテーション病棟へ移る患者は少なくありません。急性期で機器を使い始めた患者では、前の病院で算定したかどうかと、発症日から数えた残りの期間を、転院のときの情報で確かめておくのがおすすめです(転院先で改めて算定できるかは、9章の確かめ先に入れました)。

4. 対象の機器

国の解釈「運動量増加機器」は、「特定診療報酬算定医療機器の定義等について」に掲げる定義に適合する医療機器が該当します。

疑義解釈資料(その1)(令和2年3月31日)問133

決まり定義の通知(令和8年3月5日)には、次の3種類が載っています。令和6年の通知と同じ内容です。

一般的名称定義の「その他の条件」の欄使う部位
能動型上肢用他動運動訓練装置、能動型展伸・屈伸回転運動装置上肢を装置に固定し、設定された適切な可動域による訓練等を行うもの上肢
能動型展伸・屈伸回転運動装置ロボット脚等により、他動運動(立脚動作及び遊脚動作)の補助等を行うもの下肢
歩行神経筋電気刺激装置電気刺激により足を背屈させ、歩行を改善させるもの下肢

表は、横にずらして見られます。

特定診療報酬算定医療機器の定義等について(令和8年3月5日保医発0305第3号)。令和6年3月5日保医発0305第11号と照合。「使う部位」の列は、その他の条件の欄の書き方から読みとったもので、通知にこの列はありません

機器による算定の違い(上肢か下肢か)

通知には、機器ごとにイ(上肢)・ロ(下肢)を割り当てた表はありません。それでも、定義の「その他の条件」の欄は、上肢を固定して訓練するもの、立脚と遊脚を補助するもの、足を背屈させて歩行を改善するもの、と書き分けていて、どの部位に使う機器かが読みとれます。「能動型展伸・屈伸回転運動装置」は上肢の行と下肢の行の両方に出てくるので、一般的名称だけでなく、その他の条件の欄でどちらに当たるかを見ることになります。

製造販売業者の案内でも、機器ごとに扱いが分かれています。

伊藤超短波「電気刺激装置 NM-F1」医療関係者向けページ。酒井医療「【肩・肘用CPM】運動量増加機器加算の算定ができるようになりました。」

点数表の注は「上肢の運動機能障害に対して機器を用いる場合」「下肢の運動機能障害に対して機器を用いる場合」と書いているので、イ・ロは、定義に当たる使い方をした部位で決まると読めます。病院にある機器がどちらで算定できるかは、機器ごとにメーカーの案内と添付文書で確かめておくと、計画書の適応箇所の欄で迷いにくくなります。

病院の機器が対象かを調べる方法

通知の定義の欄は、薬事承認上の「一般的名称」で書かれています。機器の添付文書や承認の情報にある一般的名称が上の表のどれかに当たるか、その他の条件の欄の使い方に当たるかを見るのがおすすめです。メーカーの医療関係者向けページで、加算の対象かどうかと、上肢・下肢のどちらで算定できるかが案内されていることもあります。

この加算の機器に入らないもの

決まり下肢に装着する「歩行運動処置用ロボットスーツ」(一般的名称は生体信号反応式運動機能改善装置)は、同じ定義の通知の中で、J118-4 歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)の機器として別に定められています。運動量増加機器の定義の欄には入っていません。

特定診療報酬算定医療機器の定義等について(令和8年3月5日保医発0305第3号)。医科点数表 J118-4

施設基準の側の書き方

決まり脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の施設基準には、「必要に応じ、麻痺側の関節の屈曲・伸展を補助し運動量を増加させるためのリハビリテーション用医療機器を備えること」という文があります。

特掲診療料の施設基準等の通知 第40 1(4)

5. 計画書と明細書に書くこと

リハビリテーション総合実施計画書

決まり加算を算定する場合は、次の5つをリハビリテーション総合実施計画書に書き、その写しを診療録等に添付します。

留意事項通知 H003-2(10)

令和8年度の別紙様式21には、「運動量増加機器加算を算定する」のチェック欄があり、チェックを入れたときは、適応疾患、適応箇所(上肢・下肢)、発症年月日、運動障害に関する所見、使用する機器の名称と実施期間の予定を書く欄が並んでいます。様式全体の書き方は、リハビリテーション総合計画評価料の記事にまとめています。

別紙様式21(令和8年度改定、6月19日の訂正後)

診療報酬明細書の摘要欄

決まり機器の使用に有効性が認められ、続ける医学的な必要性が認められて、加算をさらに算定する場合は、その医学的な必要性を摘要欄に書きます(レセプト電算の記録は「医学的な必要性(運動量増加機器加算)」、コード 830100223)。

留意事項通知 H003-2(9)。診療報酬請求書等の記載要領 リハビリテーション H003-2 注4

6. 病棟ごとの扱い

病棟運動量増加機器加算の扱い
一般病棟(急性期)リハビリの費用を入院基本料に含める定めはなく、別に算定する
地域包括医療病棟入院料に含まれるのは第7部のうち薬剤料だけで、リハビリは別に算定する
回復期リハビリテーション病棟第7部リハビリテーションの費用は、「別に厚生労働大臣が定める費用」を除いて入院料から外れていて、別に算定する
地域包括ケア病棟第7部のリハビリテーションは、摂食機能療法を除いて入院料に含まれる。この加算も入院料の中

表は、横にずらして見られます。

医科点数表 A100、A304 注5、A308 注3、A308-3 注7

回復期リハビリテーション病棟の入院料に含まれる第7部の費用は、「別に厚生労働大臣が定める費用」だけです。令和2年の告示の文では、疾患別リハビリテーション料のうち、1日6単位を超える分などを指しています。

転院の予定がある患者では、機器を使い始めた病棟の扱いと、移った先の扱いが変わります。地域包括ケア病棟へ移ったあとは、この加算が入院料の中に入る点を、病院の間で共有しておくのがおすすめです。

7. 令和8年度の改定で変わったこと

改定の前(令和6年度)とあと(令和8年度)を並べました。

項目令和6年度令和8年度(2026年6月から)
点数月1回に限り150点イ 上肢150点、ロ 下肢150点。それぞれ月1回に限る
算定の数え方1回に限り算定。続けるときは2か月を限度に月1回イ及びロのそれぞれについて1回に限り算定。続けるときは2か月を限度に、イ・ロそれぞれ月1回
対象の患者脳卒中・脊髄障害の急性発症に伴う上肢又は下肢の運動機能障害変更なし
対象の機器3種類(定義の通知)変更なし
計画書の様式別紙様式21の6または23別紙様式21に統一。運動量増加機器加算のチェック欄と、適応箇所(上肢・下肢)の欄がある

表は、横にずらして見られます。

医科点数表 H003-2 注4(令和6年・令和8年)。留意事項通知 H003-2(4)(9)(令和6年・令和8年)。特定診療報酬算定医療機器の定義等について(令和6年・令和8年)

上肢と下肢を分けた理由は、個別改定項目(2026年2月13日)のリハビリテーション総合計画評価料の項には書かれていません。国の会議の議論でも、見つけられませんでした。

疑義解釈と、次の改定に向けた議論

令和8年度の疑義解釈(その1〜その13、2026年9月25日まで)と令和4年度その1に、運動量増加機器加算の問はありませんでした。令和2年度その1の問133(機器の定義)を廃止するという記載も、令和8年度の疑義解釈(その1〜その13)には見当たりません。次の改定に向けた見直しの議論は、2026年10月の時点で見つかっていません。議論が始まったら、このページに書き足します。

8. リハビリ職がかかわるところ

この加算は、計画を立てる職種に理学療法士と作業療法士が入っています。機器を使うかどうかの判断も、リハビリ職の評価が出発点です。

留意事項通知 H003-2(9)(10)。特掲診療料の施設基準等の通知 第40 1(4)。別紙様式21

機器を使う患者を決めるときは、発症日、上肢か下肢か、続ける必要性の見通しを、計画書の欄にそろえて書いておくと、あとで医事の担当者が算定を確かめやすくなります。リハビリの内容は、同じ機器でも患者の状態で変わるので、記録の書き方は病院ごとに決めるのが現実的です。

9. 答えが出ていない点と、確かめ先

このページで確かめた疑義解釈(令和2年度その1、令和4年度その1、令和8年度その1〜その13)で、次の点の答えは見当たりませんでした。

確かめ先疑義解釈で答えが出ていないとき

病院の所在地を受け持つ地方厚生(支)局の医療課(指導監査課)に確かめるのがおすすめです。問い合わせた日・相手・答えを記録しておくと、病院の中で運用をそろえるときや、あとで説明するときに役立ちます。

よくある質問

上肢と下肢の機器は、それぞれ算定できますか

令和8年度から、上肢(イ)と下肢(ロ)が分かれ、それぞれ月1回に限り150点です(医科点数表 H003-2 注4)。同じ月に両方を算定する場合の例は、疑義解釈にありません。

歩行用のロボットスーツは、運動量増加機器加算の対象ですか

対象に入っていません。下肢に装着するロボットスーツ(生体信号反応式運動機能改善装置)は、J118-4 歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)の機器として、別に定められています(特定診療報酬算定医療機器の定義等について)。

歩行神経筋電気刺激装置(NM-F1など)を上肢に使った場合も算定できますか

定義の通知は、歩行神経筋電気刺激装置を「電気刺激により足を背屈させ、歩行を改善させるもの」としています(特定診療報酬算定医療機器の定義等について)。製造販売業者の伊藤超短波も、NM-F1を上肢に使用した場合は、上肢への使用としては算定できないと案内しています。

言語聴覚士が計画を立てた場合も算定できますか

通知は、計画を作成する職種を「医師、理学療法士又は作業療法士のうち1名以上」としています。言語聴覚士は文の中に入っていません(留意事項通知 H003-2(9))。

脳卒中が再発した患者も対象ですか

対象です。通知は「脳卒中又は脊髄障害の再発によるものを含む」と書いています(留意事項通知 H003-2(9))。

地域包括ケア病棟で、この加算は別に算定できますか

地域包括ケア病棟入院料では、第7部リハビリテーションの費用のうち摂食機能療法だけが入院料の外に置かれていて、総合計画評価料の加算は入院料に含まれます(医科点数表 A308-3 注7)。

発症から60日を過ぎても算定できますか

告示は対象の患者を「発症日から起算して60日以内のもの」としていて、留意事項通知も、続ける場合に「発症日から起算して2月を限度」としています(特掲診療料の施設基準等、留意事項通知 H003-2(9))。

出典・参考にした資料

出典を見る(17件)
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」:告示・通知・様式・疑義解釈資料の一覧。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表:H003-2 注4、A100、A304、A308、A308-3、J118-4。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保医発0305第6号)別添1(10月7日の訂正後):H003-2(4)(9)(10)。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
  • 「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について(令和8年3月27日保医発0327第2号)別添1(10月7日の訂正後):リハビリテーション H003-2 注4の摘要欄。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757375.pdf
  • 「特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第8号):第40 1(4)(脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の機器の備え)。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757367.pdf
  • 「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和2年3月5日厚生労働省告示):リハビリテーション総合計画評価料の加算の対象患者「発症日から起算して六十日以内のもの」(縦書きの原文を画像で確認。令和6年・令和8年の改正告示に、この部分の変更は見当たらない)。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000602944.pdf
  • 「特定診療報酬算定医療機器の定義等について」(令和8年3月5日保医発0305第3号):運動量増加機器、歩行運動処置用ロボットスーツの定義。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001707257.pdf
  • 「特定診療報酬算定医療機器の定義等について」(令和6年3月5日保医発0305第11号):改定前との比較に使用。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001219119.pdf
  • 「診療報酬の算定方法の一部を改正する告示」(令和6年)別表第一 医科診療報酬点数表:H003-2 注4(月1回150点。改定前との比較に使用)。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
  • 「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和6年3月5日保医発0305第4号)別添1:H003-2(9)(10)(改定前との比較に使用)。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001293312.pdf
  • 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定「様式(医科)」(6月19日の訂正後):別紙様式21 リハビリテーション総合実施計画書。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001713885.pdf
  • 中央社会保険医療協議会 総会「個別改定項目について」(令和8年2月13日 総-1):リハビリテーション総合実施計画評価料の見直し(Ⅲ-4-⑤)に、運動量増加機器加算の記載がないことを確認。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001655176.pdf
  • 「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和2年3月31日事務連絡)別添1:問133(運動量増加機器の定義)。2026年10月確認 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000615888.pdf
  • 「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和4年3月31日事務連絡)別添1:運動量増加機器加算の問がないことを確認(近畿厚生局の掲載)。2026年10月確認 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/000235052.pdf
  • 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その1)」(令和8年3月23日事務連絡)、中国四国厚生局「令和8年度診療報酬改定関係」:疑義解釈資料(その2)〜(その13)(2026年9月25日まで)に、運動量増加機器加算の問がないことを確認。2026年10月確認 https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/newpage_00855.html
  • 伊藤超短波「電気刺激装置 NM-F1」医療関係者向けページ:一般的名称(歩行神経筋電気刺激装置)、運動量増加機器加算の対象機器、上肢に使用した場合は上肢への使用として算定できないことの案内。2026年10月28日確認 https://www.medical.itolator.co.jp/product/nm-f1/
  • 酒井医療「【肩・肘用CPM】運動量増加機器加算の算定ができるようになりました。」(2020年の案内)。2026年10月28日確認 https://www.sakaimed.co.jp/topics/info/cpmhokentekiyou/

個別の算定の判断は、告示・通知の原文と、地方厚生(支)局の案内で確かめることをおすすめします。