病院の外来でリハビリを続けていると、「リハビリの期限が近づいています」「この病気のリハビリは、あと何日までです」と言われることがあります。「まだ良くなっている途中なのに、もう受けられないの?」と不安になるご本人・ご家族も少なくありません。
この記事では、医療保険のリハビリの日数の上限(標準的算定日数)の数え方と、上限を過ぎても続けられる場合、そのあとリハビリをどこで続けられるかをまとめました。
- 医療保険のリハビリには、病気の種類ごとに90日〜180日の日数の上限(標準的算定日数)があり、発症・手術の日などから数える
- 上限を過ぎても、状態の改善が期待できると医師が判断した場合などは、続けられることがある
- 要介護・要支援の認定を受けている人は、上限を過ぎたら、介護保険のリハビリ(デイケア・訪問リハビリ)に移るのが基本
- 上限は「回復が止まる日」ではない。リハビリの場所が変わっても、続けることに意味がある
1. 医療保険のリハビリの日数上限
病院やクリニックで受けるリハビリ(疾患別リハビリテーション)には、病気の種類ごとに、医療保険で受けられる日数の目安(標準的算定日数)が決められています。
| リハビリの種類(主な病気) | 上限 |
|---|---|
| 脳血管疾患等(脳卒中、脊髄損傷、パーキンソン病など) | 180日 |
| 運動器(骨折、関節や脊椎の病気・手術など) | 150日 |
| 心大血管疾患(心筋梗塞、心不全、心臓の手術後など) | 150日 |
| 廃用症候群(治療で安静にしていたことによる体力の低下) | 120日 |
| 呼吸器(肺炎、慢性閉塞性肺疾患など) | 90日 |
- 数え方:発症した日、手術の日、急に悪くなった日、または最初に診断された日から数えます。入院中と退院後の外来の日数は、続けて数えます。
- 回復期リハビリ病棟に入院している間:この上限は当てはまらず、病棟ごとの入院日数の上限(60日〜180日)が別にあります。くわしくは記事「回復期リハビリテーション病棟とは」でまとめています。
- 上限のないリハビリ:がんの患者さんや難病の患者さんのリハビリなど、日数の上限がない種類もあります。
2. 上限を過ぎても続けられる場合
上限の日数を過ぎても、次のような場合は、医療保険でこれまでどおりリハビリを続けられることがあります。
- リハビリを続けることで、状態の改善が期待できると医師が医学的に判断した場合
- 失語症、高次脳機能障害、重度の頸髄損傷、回復期リハビリ病棟を退院してから3か月以内など、国が決めた状態に当てはまる場合
当てはまるかどうかは、主治医が判断します。「まだ良くなっている」と感じるときは、その様子を具体的に(例:「前は手すりがないと立てなかったが、いまはつかまらずに立てる」)伝えてみるのがおすすめです。
3. 上限を過ぎたあとの選択肢
- 数え始める日発症した日、手術をした日、急に悪くなった日(はっきりしない場合は、最初にその病気と診断された日)から数えます。
- 病気ごとの期限脳血管の病気なら180日、運動器なら150日というように、病気の種類ごとに決まっています(1章の表)。
- 期限を過ぎたあと状態がよくなる見込みがあると医師が認めた場合などは、そのまま続けられます(2章)。それ以外は、介護保険の認定(要介護・要支援)を受けているかどうかで分かれます。
介護保険の認定を受けていない外来で、1か月に13単位まで医療保険のリハビリを続けられます。介護保険の認定を受けている介護保険のリハビリ(デイケア・訪問リハビリ)に移ります。入院中は、月13単位まで医療保険で続けられます。
上限を過ぎて、上の「続けられる場合」に当てはまらないときは、要介護・要支援の認定を受けているかどうかで、選択肢が変わります。
要介護・要支援の認定を受けていない人
期限を過ぎても、外来で医療保険のリハビリを、1か月に13単位(1単位20分なので、合わせて4時間20分)まで続けられます。
要介護・要支援の認定を受けている人
外来で続けていた医療保険のリハビリは終わり、介護保険のリハビリ(デイケア=通所リハビリ、訪問リハビリ)に移るのが基本です。2019年4月から、この切り替えが完全に行われるようになりました。
ただし、入院中は介護保険のリハビリを使えないため、入院している間は、期限を過ぎても1か月に13単位まで医療保険のリハビリを受けられます。外来ではこの扱いはありません。
保険の外で受けるリハビリ(自費のリハビリ)
医療保険や介護保険を使わず、全額自己負担で受けるリハビリを行っている施設もあります。回数や時間を自由に決めやすい一方で、費用は施設ごとに大きく違います。利用するときは、料金、担当する人の資格、主治医との情報のやりとりの方法を、事前に確認しておくと安心です。
4. 「通うのが大変」「家に来てほしい」と思ったら
リハビリを続けるかどうかの相談は、制度の話から始まるとは限りません。「病院まで付き添うのが大変」「送り迎えしてほしい」「家の中でできるようになってほしい」といった、暮らしの困りごとから始まることのほうが多いです。
そうした希望は、結果として介護保険のリハビリ(デイケア・訪問リハビリ)で叶うことが多くなります。次のような形です。
- 送り迎えをしてほしい、日中も見てもらえると助かる:デイケア(通所リハビリ)。送迎が付き、入浴や食事のあるところもあります。
- 家の中の動きを良くしたい、外出が難しい:訪問リハビリ。実際の家の段差や動線で練習できます。
- 付き添いの負担を減らしたい:どちらも、ご家族が付き添わずに受けられます。
迷うときは、どちらが良いかを決めてから相談しなくても大丈夫です。「通うのが大変」「家に来てほしい」と伝えれば、ケアマネジャーが合うサービスを一緒に考えてくれます。
手続きの進め方
- 要介護認定を受けていなければ、申請する:市区町村の窓口や地域包括支援センターで申請できます。結果が出るまで1か月ほどかかるので、上限が近づいてきたら早めに動くのがおすすめです。
- ケアマネジャーに相談する:デイケアか訪問リハビリか、どのくらいの回数を使うかを、ケアプランに入れてもらいます。
- 病院のリハビリ職員から情報を引き継ぐ:これまでのリハビリの内容や注意点を、介護保険のリハビリの事業所に伝えてもらうと、切れ目なく続けやすくなります。
- 併用できる期間:切り替えの時期には、介護保険のリハビリを始めた月の翌々月まで、医療保険のリハビリと併用できる決まりがあります(医療保険で受けられる量には上限があります)。
- 短期集中のリハビリ:退院(退所)した日や、要介護認定を受けた日から3か月以内は、デイケアや訪問リハビリで、短期間に集中してリハビリを受けられる仕組みがあります。
5. よくある質問
「リハビリは今月で終わり」と言われましたが、まだ良くなっている気がします。
主治医に、そう感じる理由を具体的に伝えて相談してみるのがおすすめです。状態の改善が期待できると判断されれば、上限を過ぎても続けられることがあります。続けられない場合も、介護保険のリハビリなどでリハビリの場所を移して続ける方法があります。
デイケアと訪問リハビリは、どちらがいいですか?
外出できる体力があり、ほかの人と一緒の時間も楽しめるならデイケア、外出が難しい場合や、自宅の中の動作を実際の場所で練習したい場合は訪問リハビリが向いています。デイケア/デイサービス診断でも確かめられます。
介護保険のリハビリにも、日数の上限はありますか?
医療保険のような日数の上限はありません。ただし、要介護度ごとの1か月の利用限度額の範囲で、ほかのサービスと組み合わせて使います。また、長く続けている場合の報酬の見直しなど、細かな決まりは介護報酬の改定で変わることがあるので、ケアマネジャーに確認しておくと確実です。
出典・参考にした資料
- 診療報酬点数表 H001 脳血管疾患等リハビリテーション料(令和8年度):180日の限度と起算日、状態の改善が期待できる場合の継続、要介護被保険者等以外は1月13単位、入院中の要介護被保険者等は1月13単位 掲載ページ
- 特掲診療料の施設基準等 別表第九の八「算定日数の上限の除外対象患者」(令和8年度):失語症、高次脳機能障害、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者、回復期リハビリテーション病棟を退棟した日から3月以内の患者など 掲載ページ
- GemMed「要介護高齢者への維持期『疾患別リハ料』は2019年3月末で終了、介護保険への移行完了」 ページ
- 大阪府理学療法士会「医療保険と介護保険の併用禁止に関して」:介護保険のリハビリの利用開始月の翌々月までの併用 PDF
この記事は一般的な仕組みをまとめたものです。リハビリを続けられるかどうかは、ご本人の状態をもとに主治医が判断します。