この記事は、医療機関で変形性膝関節症と言われた高齢の方と、そのご家族に向けて書きました。診てもらったあと、家での毎日をどう過ごせばよいか、迷う方は少なくありません。
内容は、家でできる筋トレとストレッチ、痛みがあるときの運動の始め方、立ち座りや階段などの暮らしの工夫が中心です。
膝の痛みの原因は、変形性膝関節症のほかにもいろいろあります。まだ受診していない方や、原因がはっきりしていない方は、先に整形外科で診てもらうのがおすすめです。受診の目安は、次の章にまとめました。
運動の種類や強さは、膝の状態によって人それぞれです。ご本人に合う方法は、医師やリハビリ専門職に確認するのがおすすめです。
- 膝の痛みの原因は変形性膝関節症のほかにもある。まだ受診していないときは、先に整形外科で診てもらう
- 膝に変形があっても、7〜8割の人は痛みを生じないとされる。痛みを「年のせい」とあきらめなくてよい
- 変形性膝関節症の多くはO脚の変形を伴い、膝の内側に負担がかかりやすいとされる。足底板などで、体重のかかる位置を変える方法がある
- 家での運動の基本は、太ももなどの筋トレと、ストレッチ。痛みがあるときは、膝を動かさずに太ももの前に力を入れる運動から始める方法がある
- 筋トレは息を止めず、ゆっくり。ストレッチは反動をつけず、痛みや辛さを感じる強さまで伸ばさない。痛みや疲れを感じたら、すぐ中止する
- 運動の強さや種類は、痛みが強い方、動きが悪い方ほど、理学療法士や医師に相談して決めるのがおすすめ
- 家族の役割は、運動をさせることではなく、続けやすい雰囲気と、暮らしやすい環境づくり
1. まだ受診していないときは、整形外科へ
膝の痛みの原因は、変形性膝関節症のほかにもいろいろあります。原因は、診察や検査を受けて分かるものなので、ご家族が診断をする必要はありません。まずは整形外科を受診するのがおすすめです。どこに行くか迷うときは、かかりつけの医師に相談してもかまいません。
すでに変形性膝関節症と言われている方は、4. 家でできる筋トレとストレッチからお読みいただけます。
受診のときは、ご本人から次のことを聞いておくと、メモになります。メモは「あるとよい」という程度のものです。
- いつ頃から痛いか
- どんなときに痛むか(立ち上がるとき、歩きはじめ、階段、正座、など)
- 右と左の、どちらの膝か
- 膝が腫れている、熱をもっている、赤くなっている
- 突然痛くなった、または痛みがひどい
- 発熱がある、または突然具合が悪くなった感じがする
- 転んだりぶつけたりしたけがのあとに、膝の強い痛みがある、膝を曲げられない、痛くて足に体重をかけられない(骨折の可能性が高まる所見とされています)
この目安は、安全のためのものです。当てはまるかどうか迷う場合も、ご家族の判断で原因を決めず、医療機関に相談するのがおすすめです。
2. 変形性膝関節症とは
膝の軟骨が少しずつ減って、膝の形が変わったり、骨がこすれたりして、痛みが出る病気です。痛みのほかに、膝に水がたまる、こわばる、といった症状が出ます。
かかる人は、男女比がおよそ1:4で女性に多く、高齢になるほど増えるとされています。原因は、関節の軟骨の老化によることが多く、体重や体質(遺伝)も関わるとされています。けがや感染のあとに起こることもあります。ご本人やご家族の、日ごろの過ごし方が悪かったから、というものではありません。
症状の進み方
| 時期 | 主な症状 |
|---|---|
| 初期 | 立ち上がりや歩きはじめなど、動作の始めだけ痛む。休めば痛みがとれる |
| 中期 | 正座や、階段の昇り降りが難しくなる |
| 末期 | 安静にしていても痛い。変形が目立ち、膝がまっすぐ伸びにくく、歩くのが難しくなる |
これは進み方の目安で、全員がこのとおりに進むわけではありません。診断は、医療機関での問診と診察、X線(レントゲン)検査で行われます。必要に応じて、MRI検査が行われることもあります。
変形があっても、痛みをあきらめなくてよい
大切なのは、膝に変形があっても、7〜8割の人は痛みを生じないとされていることです。「変形しているから痛いのは仕方ない」と決めつけず、痛みがあるときは、医療機関に相談してよいものです。
3. O脚・X脚と膝の変形
変形性膝関節症では、膝の形だけでなく、脚の形が変わってくることがあります。脚の形は、膝のどこに負担がかかるかに関わるので、知っておくと、受診のときの説明が聞き取りやすくなります。
O脚とX脚
| 脚の形 | 見た目 | 負担がかかりやすいところ |
|---|---|---|
| O脚(内反膝) | 両足をそろえて立つと、膝と膝のあいだが離れる | 膝の内側 |
| X脚(外反膝) | 膝と膝はつくのに、足首と足首のあいだが離れる | 膝の外側 |
変形性膝関節症では、O脚が多い
変形性膝関節症は、膝の内側が傷む「内側型」が多く、その多くはO脚の変形を伴うとされています。O脚になると、体重のかかる位置が膝の内側へずれて、内側に負担が集中しやすくなるとされています。痛みも、はじめは膝の内側に出ることが多いとされています。
新潟県の住民健診で20年あまり続けられた調査では、はじめの検査でO脚の傾きが強かった人ほど、のちに膝の変形が強くなっていたと報告されています。O脚の傾きは内側型の、X脚の傾きは外側型の悪化に関わるという報告もあります。進んでくると、歩くときに膝が外側へ揺れることもあります。
ご家族が気づけること
次のようなことに気づいたら、受診のときに医師に伝えるのがおすすめです。
- 以前は「がにまた」ではなかったのに、気をつけの姿勢をとると、両膝のあいだがこぶし1つ分ほど離れる
- 左右の膝の形が違う
- 歩くときに、膝が外側へ揺れるように見える
脚の形に合わせた対策
脚の形は、医療機関で、診察やX線(レントゲン)検査を受けて確かめるものです。そのうえで、次のような対策がとられることがあります。
- 足底板(インソール):O脚で膝の内側に体重がかかって痛い場合に、靴の中に入れて、体重のかかる位置を変えます。
- 膝の装具・サポーター:歩くときに膝がぐらつく場合に、膝を安定させます。
- 筋トレと体重の管理:膝を支える筋肉を保ち、膝にかかる負担を減らします(4. 家でできる筋トレとストレッチ)。
- 手術:痛みが強く、ほかの治療で効果が出ない場合に、骨を切ってO脚の変形を矯正する手術(高位脛骨骨切り術)などが検討されることがあります。
X脚の場合は、負担がかかりやすいのが膝の外側になります。どの足底板や装具が合うかは、脚の形や痛む場所で変わるので、医師やリハビリ専門職に確認するのがおすすめです。脚の形を、家でマッサージや市販の道具で直そうとするより、まず医療機関で相談すると安心です。
4. 家でできる筋トレとストレッチ
変形性膝関節症の運動の基本は、膝を支える太ももなどの筋肉を鍛える筋トレと、固くなった筋肉を伸ばすストレッチです。痛いからといって膝をまったく動かさないでいると、筋肉が弱って膝の負担が増え、さらに動かしにくくなる「悪い循環」に入りやすいとされています。
- 痛みや疲労感を感じたら、すぐに中止する
- 強度を高めた運動は、理学療法士や医師に相談してから行う
- 動きが悪い方や、痛みが強い方も、先に理学療法士や医師に相談する
筋トレとストレッチ、共通の注意点
痛みの有無にかかわらず、運動のときに気をつけたい、一般的な注意点です。
筋トレのとき
- 息をこらえない:血圧の急激な上昇を抑えるために、息をこらえないよう注意が必要とされています。
- 反動をつけず、ゆっくり動かす:ゆっくり動かすと、軽めの負荷でも効果が得られ、関節や筋肉への負担が小さいとされています。
- はじめは軽く:日常生活で使う程度の負荷を繰り返し、慣れてきたら、少しずつ強めていきます。
- 休む日もつくる:週に2〜3回が目安とされています。やりすぎは、かえって逆効果になることがあります。
- 人によって内容が違う:回数や強さは、体の状態に合わせて決めるものです。迷うときは、運動指導の専門家(理学療法士など)に相談するのがおすすめです。
ストレッチのとき
- 痛くなく、気持ちよい程度に伸ばす:痛いほど伸ばすと、筋肉を守ろうとする反射(伸張反射)がはたらき、かえって筋肉が硬くなって、効果が下がるとされています。
- 反動や勢いをつけず、ゆっくり伸ばして保つ:自分で行う、伸ばして保つ形(静的ストレッチ)が、安全性の面から勧められています。
- 時間をかける:一般に、20秒以上かけることが目安とされています(最初の5〜10秒は、ちょうどよい伸ばし具合を決める時間です)。この記事の30秒は、この目安に合っています。膝の曲がりを良くするストレッチだけは、5秒保つ形です。
- 伸ばす筋肉を意識する
- 呼吸を止めない:ゆっくりと深い呼吸は、緊張をやわらげるとされています。
- 痛みのない側の膝も、同じように行う
痛みがあるときは、膝を動かさない筋トレから
痛みがあるときは、膝の曲げ伸ばしをせずに、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に力を入れる運動から始める方法があります。強度の低い運動は、次のように行います。
- 床に座って脚を伸ばし、膝の下にクッションを置きます。
- クッションをつぶすように、膝の裏で押しつけて、戻します。
- 反対側の膝は立てておきます。
ベッドの上で過ごす時間が長い方も、寝たままでも行える形があるか、専門職に相談できます。
膝を支える筋トレ
筋トレは、太ももの前、外側、裏側、足全体の4か所が基本です。それぞれに、強度の低い運動と、強度を高めた運動があります。強度を高めた運動は、専門職に相談してから行うのがおすすめです。
| 鍛える場所 | 強度の低い運動 | 強度を高めた運動 |
|---|---|---|
| 太ももの前 | 膝の下のクッションを押しつける | 浅く腰かけ、膝がまっすぐになるまで持ち上げる |
| 太ももの外側 | 横向きに寝て、上の足を真上に持ち上げる | 四つ這いで、片足を外側に持ち上げ、胸へ引きつける |
| 太ももの裏 | 仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる | 同じ動きを、片足で行う |
| 足全体 | 両手をテーブルや椅子に置いて、お尻をおろして戻す | 片手で支えて行う |
回数の目安は、各3秒ずつ、1セット15〜20回、2〜3セットです。実際の回数は、痛みや疲れの具合で変わるので、専門職に決めてもらうのがおすすめです。
ストレッチ
ストレッチは、膝の曲がり、太ももの裏、ふくらはぎ、太ももの内側、太ももの前の5つが基本です。時間の目安は、膝の曲がりを良くするストレッチが5秒、そのほかは30秒です。図の赤い部分が、伸びるところです。
- 痛みや辛さを感じる強さで伸ばすと、逆効果とされています。
- 痛みのない側の膝も、同じようにストレッチします。
- お風呂の中で、かかとをつけたまま膝を曲げて保つストレッチもあります。
- 太ももの前のストレッチは、横向きに寝て、上になった脚の膝を曲げ、手で足首か足先をつかみます。かかとをお尻に近づけながら、太ももを体の後ろへ軽く引くと、太ももの前が伸びます。反対側の足は、まっすぐ伸ばしておきます。
続けるための工夫
運動は、「やらなければいけない課題」にすると、続きにくいものです。ご本人の毎日の流れ(お風呂、朝の身じたく、好きな番組の時間など)に合わせて、組み込める形を考えるのがおすすめです。歩くときは、歩き出す前に、その場で足踏みをしてからにするのがおすすめです。毎日の歩数を記録するのも、続けるための一つの方法です。
膝の痛みの運動は、基本的に、筋トレとストレッチです。痛みがある方には、膝を曲げ伸ばししないで、太ももの前に力を入れる運動(パテラセッティング)から始めることがあります。どの運動から始めるかは、膝の状態で人それぞれなので、実際の動きを見てもらうのがおすすめです。
現場でよく出会うのは、痛みをかばって膝を動かさなくなり、歩く量や出かける機会が、少しずつ減っていく方です。ご家族が「痛いなら休んでいて」と先回りして用事を引き受けると、ご本人の役割が減ってしまうことがあります。続けたいことを聞いて、どうすれば安全に続けられるかを、リハビリ専門職と一緒に考えるのがおすすめです。
もう一つ多いのが、「年のせいだから」と受診を後回しにして、いつもどおり動き続けている方です。腫れや熱があるときは、年のせいと決めつけず、整形外科を受診するのがおすすめです。「一度、見てもらおうか」と、ご家族から声をかけてみてもよいと思います。
5. 暮らしの工夫(場面別)
高い段差の昇り降りや、低いいすからの立ち上がりは、膝への負担が大きいとされています。ご本人が家での役割や好きなことを続けられるように、場面ごとに、ご家族と一緒に考えられる工夫をまとめました。膝を冷やさないこと(保温)や、体重が増えすぎないようにすることも、生活の指導の一つに挙げられています。体重については、減らし方を含めて、医師や専門職に相談できます。
立ち座り
低いいすやソファからの立ち上がりは、膝に負担がかかるとされています。いすの高さや、立つときにつかまれるものがあるかを見直すのも、一つの方法です。高さは、ご本人の体格や痛みで変わるので、立ち上がりの様子をリハビリ専門職に見てもらって決めると安心です。
くわしくは、いす・ベッドからの立ち上がりの介助と、家の中の転倒を防ぐ工夫にまとめています。
階段
階段は、膝に負担を感じやすい場所です。一般的な方法として、昇るときは痛くない足から、降りるときは痛い方の足から出す、というものがあります。手すりがあると、体を支えやすくなります。
くわしくは、階段の上り下りが不安になったらをご覧ください。
歩くとき・外出
外出で杖を使う場合は、一般に、痛みがある側と反対の手で持つと有効とされています。杖の長さは杖の長さの合わせ方と選び方、歩行器は歩行器の種類と選び方、靴は高齢の方の靴の選び方にまとめています。膝の内側に体重がかかって痛い方には、靴の中に入れる足底板(インソール)で、体重のかかる位置を変える方法もあります。
玄関など、高い段差の昇り降りは、膝への負担が大きいとされています。簡易的な手すりを付けたり、スロープを置いて段差をなくしたりする方法があります。玄関の上がり框の段差をどうする?をご覧ください。
トイレ・お風呂
洋式のトイレを使うことは、日本整形外科学会のページでも、生活の指導の一つに挙げられています。立ち座りがつらいときは、手すりなどの道具で支える方法があります。くわしくは、トイレの手すりの付け方、手すりの高さの決め方、ポータブルトイレの置き場所と選び方、お風呂の手すりと入浴用品の選び方をご覧ください。
家の工事や福祉用具の費用を調べるときは、下のツールも使えます。
関連ツール 住宅改修と福祉用具の費用 手すりや段差の工事、福祉用具の、自己負担の目安がわかります。正座や、しゃがむ動作
正座などを無理に行うと、痛みが強くなることがあるとされています。しゃがんで膝が痛いときは、まず片膝をつく方法があります。床での暮らしが長い方は、いすを使う場面を一部に取り入れる方法もあります。どこまで変えるかは、ご本人の暮らしや気持ちを大切に、専門職に相談して決めるのがおすすめです。
6. 受診したあとに受けられること
受診したあとは、診察の結果とご本人の状態に合わせた治療が行われます。変形性膝関節症の治療は、大きく保存療法と手術療法に分けられるとされています。
保存療法
- 薬:痛みをやわらげる飲み薬や塗り薬があります。膝の関節の中に薬を入れる注射(ヒアルロン酸の注射など)が行われることもあります。
- 装具:膝の内側に体重がかかって痛い場合に、靴の中に入れる「足底板」があります。歩くときに膝がぐらつく、痛い、力が入りにくいときに、膝を安定させる「膝の装具」もあります。
- 理学療法:運動療法、理学療法士が手で行う徒手療法、温めたり電気や超音波を使ったりする物理療法があります。
手術療法
保存療法で効果が出ない場合に、手術が検討されます。手術には、関節鏡視下手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などの種類があります。どの方法がよいかは、膝の状態やご本人の希望、暮らし方によって違います。医師とよく相談して決めていきます。
外来・訪問・通所のリハビリの違いは訪問リハビリと通所リハビリ(デイケア)の違いと選び方、外来リハビリの期限については外来リハビリの期限を過ぎたらどうなる?にまとめています。
7. 家族ができる関わり
ご家族がいちばん力になれるのは、ご本人が「痛い」「手伝ってほしい」と言いやすい雰囲気をつくることです。痛みを我慢してしまうと、動く範囲がせまくなりやすいためです。「最近、膝の調子はどう?」と声をかけたり、受診に付き添ったりすることは、ご本人の安心につながります。
運動は、ご家族が「やらせる」ものではありません。ご本人のペースで、続けやすい形を一緒に考えるのがおすすめです。気になることは、リハビリ専門職や医師に一緒に聞いてみるのも一つの方法です。痛みが強い日は、休んでもかまいません。
ご本人が、これからも続けたいこと(日課や趣味、家での役割)を聞いて、それを安全に続ける工夫を、専門職と一緒に相談するのもおすすめです。「痛いなら階段は使わないで」「正座は絶対にだめ」と禁止するのではなく、どうすれば負担を減らして続けられるかを考えます。
また、痛みの原因をご家族で診断すること、インターネットで調べた運動をご本人に勧めることは、しなくてよいことです。運動や体重のことは、医師やリハビリ専門職にお任せしてよい部分です。
よくある質問
膝が痛いときは、何科に行けばよいですか
整形外科を受診するのがおすすめです。
とくに、膝が腫れている、熱をもっているときは、整形外科を受診しましょう。どこに行くか迷うときは、かかりつけの医師に相談してもよいものです。
膝が痛いときも、運動したほうがよいですか
痛みがあるときは、膝を動かさずに太ももの前の筋肉に力を入れる、強度の低い運動から始める方法があります。
痛みや疲労感を感じたら、すぐに中止します。動きが悪い方や痛みが強い方は、理学療法士や医師に相談するのがおすすめです。ご本人に合う運動も、専門職に確認するのがおすすめです。
筋トレのとき、力を入れる瞬間に息を止めてもよいですか
息をこらえないように、注意が必要とされています。息をこらえると、血圧が急に上がることがあるためです。
力を入れるときも、自然に呼吸を続けながら、ゆっくり行うのがおすすめです。
ストレッチは、痛くなるまで伸ばしたほうが効きますか
いいえ。痛みや辛さを感じる強さのストレッチは、逆効果とされています。
呼吸を止めずに、無理のない範囲でゆっくり行うのがおすすめです。痛みのない側の膝も、同じようにストレッチします。
正座は、しないほうがよいですか
正座を無理に行うと、痛みが強くなることがあるとされています。日本整形外科学会のページでも、生活の指導の一つとして、正座を避けることが挙げられています。
ただし、ご本人の暮らし方もあるので、どうしても必要な場面での工夫は、リハビリ専門職や医師に相談できます。
杖は、どちらの手に持てばよいですか
痛みがある側と反対の手で持つと有効とされています。
膝の状態や痛む場所は人によって違うので、リハビリ専門職や医師の指導が最優先です。長さの合わせ方は、記事「杖の長さの合わせ方と選び方」にまとめています。
膝の形が変わっていると、必ず痛みますか
必ず痛むわけではありません。膝に変形があっても、7〜8割の人は痛みを生じないとされています(新潟県の住民健診の調査)。
変形があるから痛いと決めつけず、痛みがあるときは、医療機関で相談してよいものです。
出典・参考にした資料
- 日本整形外科学会「変形性膝関節症」:患者の男女比、症状の進み方、原因、診断の方法、治療の種類、生活の指導。2026年10月確認 リンク
- 日本理学療法士協会「理学療法ハンドブック シリーズ7 変形性膝関節症」(2020年3月31日現在):病気の説明、変形があっても7〜8割の人は痛みを生じないこと、治療の種類、足底板と膝の装具、自宅でできる運動療法(ストレッチ、筋トレ、回数と時間の目安、中止の基準)、生活の工夫(腫れや熱があるときの受診、杖、階段、正座、歩き方、歩数の記録)、膝の健康自己チェック(O脚の気づき方)。2026年10月確認 リンク
- MSDマニュアル家庭版「関節痛:1つの関節」:医師の受診が必要となる警戒すべき徴候(突然の痛み、赤み・熱感・腫れ、発熱など)。2026年10月確認 リンク
- MSDマニュアル家庭版「膝のねんざおよび関連する損傷」:膝のけがで、強い痛み、膝を曲げられない、体重をかけられないことが、骨折の可能性が高まる所見とされていること。2026年10月確認 リンク
- 立花陽明「変形性膝関節症の診断と治療」理学療法科学 20巻3号 235〜240ページ(2005年):内側型が多く、多くはO脚(内反膝)の変形を伴うこと、O脚で膝の内側に負担が集中しやすいこと、痛みがはじめ膝の内側に出やすいこと、歩くときの膝の横揺れ、O脚がある場合の足底板。2026年10月確認 リンク
- 大森豪「変形性膝関節症の病態と悪化因子」新潟医学会雑誌 117巻8号 397〜400ページ(2003年):新潟県の住民健診(松代膝検診)の長期調査で、O脚の傾きが強い人ほど、のちに膝の変形が強くなっていたこと、O脚の傾きは内側型、X脚の傾きは外側型の悪化に関わるという報告。
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチングの実際」(宮地元彦、2026年7月15日更新):ストレッチの5つの原則(20秒以上、伸ばす部位を意識、痛くなく気持ちよい程度、呼吸を止めない)、静的・動的・セルフ・パートナーの分類と、セルフの静的ストレッチが安全性の面から勧められること。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート「筋力トレーニングについて」(2024年2月22日更新):息をこらえないこと、少しずつ負荷を高めること、休息日、やりすぎへの注意、専門家への相談。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」(2025年2月17日):息をこらえないこと、週2〜3回の頻度の目安。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「スロートレーニングとは」:ゆっくり動かす筋トレは、軽めの負荷でも効果が得られ、関節や筋肉への負担が小さいこと。2026年10月確認 リンク
この記事は一般的な内容です。診断や治療の代わりにはなりません。運動の内容や強さは、膝の状態によって異なります。最新の情報や、ご本人の状態に合う方法は、医療機関やリハビリ専門職でご確認ください。