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回復期リハビリテーション病棟とは入院できる期間、1日の過ごし方、退院までの準備

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年9月15日/最終確認日:2026年10月5日

脳卒中や骨折で急性期の病院に入院したあと、「回復期リハビリテーション病棟のある病院へ移りましょう」と言われることがあります。聞き慣れない名前で、どんな場所なのか、いつまでいられるのか、その間に家族は何をすればよいのか、戸惑うご家族は多いと思います。

この記事では、回復期リハビリ病棟がどんな病棟なのかから始めて、転院の流れ、1日の過ごし方、入院できる日数の上限と実際の退院日の決まり方、入院中にかかるお金、ご家族ができることまでをまとめました。

いつまで入院できるかを先に知りたい方へ:上限は病気やけがの種類ごとに60日〜180日と決まっています。くわしくは4. いつまで入院できる?をご覧ください。

この記事のポイント
  • 病状が落ち着いたあと、自宅に戻ることを目指して集中的にリハビリを行う病棟。1日に最大3時間(骨折や人工関節の手術のあとなどは、原則として最大2時間)までリハビリを受けられる
  • 入院できる日数の上限は、病気やけがの種類ごとに60日〜180日。回復期リハビリ病棟に入院した日から数える
  • 上限は「そこまで入院していられる日数」ではない。実際の退院日は、リハビリの進み具合と、退院後の生活の準備で決まり、上限より早いことが多い
  • 訓練室だけでなく、着替えやトイレなど病棟での毎日の動作も練習の場。家族は入院前の暮らしを伝えることで力になれる
  • 介護保険の申請や家の準備は、入院の早い時期から進めておくと、退院の時期に慌てずに済む

1. 回復期リハビリ病棟とは

急性期の病院で治療を受けて、病状が落ち着いたあとに、自宅や社会に戻ることを目指して集中的にリハビリを行う病棟です。医師、看護師、介護福祉士、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどがチームで関わります。

病院の訓練室で、高齢の女性が理学療法士に付き添われて杖で歩く練習をし、奥では作業療法士や言語聴覚士もそれぞれ患者さんとリハビリをしている様子
回復期リハビリ病棟では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、それぞれの専門からリハビリを行います

2. 急性期の病院から、どう移るのか

脳卒中や骨折で救急搬送されると、まず急性期の病院で治療を受けます。手術や点滴などの治療が一段落し、体の状態が落ち着いてくると、回復期リハビリ病棟のある病院へ移る(転院する)話が出てきます。

いつごろ話が出るか

急性期の病院は、集中的な治療を行う場所なので、入院できる期間は長くありません。手術から2〜3週間ほどで転院の話が出ることが多く、ご家族にとっては「まだ落ち着いていないのに」と感じる時期と重なりますが、これは急性期の治療が一段落して、次の段階に進むという意味です。

誰が、どう決めるのか

転院先の候補を探すのは、急性期の病院にいる医療ソーシャルワーカー(相談員)です。ご本人の状態、住んでいる場所、病棟の空き状況をもとに、いくつかの候補を挙げてくれます。

ただし、相談員が転院先を決めるわけではありません。いつ転院できる状態か、回復期リハビリの対象になるかを判断するのは医師です。受け入れる側の病院でも、送られてきた診療情報をもとに、その病院の医師が受け入れられるかどうかを判断します。相談員は、その医学的な判断の範囲の中で、条件に合う候補を探して調整する役割です。

最終的にどこへ移るかは、この医師どうしの判断と、ご家族の希望をあわせて決まります。

希望は、どんなことでも遠慮なく伝えて構いません。「自宅から通いやすい場所がよい」「面会に行きやすい時間帯がある」「この病院が気になっている」といった内容を伝えてはいけない、ということはありません。伝えておかないと、条件に合う候補があっても選べなくなります。
ただし、伝えた希望がそのまま通るとは限りません。どの病棟に受け入れてもらえるかは、空き状況やご本人の状態によって決まり、ほかにも待っている方がいます。希望を伝えたうえで、通らなかったときにどうするかも相談員と話しておくと、次の手が早く動きます。

選ぶときに見ておくとよいこと

迷ったときは、急性期の病院の相談員に「何を基準に選べばよいか」を率直に聞いてみるのがおすすめです。地域の病院の特徴をよく知っているので、ご本人の状態に合う候補を絞ってもらえます。

3. 病棟での1日の過ごし方

回復期リハビリ病棟は、1日のうちリハビリに使う時間が長いのが特徴です。イメージがつかめると、面会の時間を決めるときにも役立ちます。

リハビリの時間

20分を1単位として、1日に最大9単位(3時間)まで受けられます。骨折や人工関節の手術のあとなどで運動器リハビリを受ける方は、原則として最大6単位(2時間)までです。ただし、骨折などのけがや、その手術の日から60日以内の方などは、9単位まで受けられる場合があります。ベッドから離れずに、姿勢を整えたり、関節が固くならないための訓練をしたりするだけの日は、1日2単位(40分)までとされています(体の状態によって医師が必要と認めた場合などを除く)。どれも制度上の上限で、全員が上限まで受けるわけではありません。実際の量は、ご本人の体力や状態に合わせて決まり、入院した直後は少なめから始まることがよくあります。

理学療法士は起き上がりや歩くことを、作業療法士は着替えやトイレ、食事などの生活動作を、言語聴覚士は話すことや飲み込むことを担当します。全員がこの3つを受けるとは限らず、必要に応じて組み合わされます。

リハビリ以外の時間も練習の場

訓練室での時間だけがリハビリではありません。朝の着替え、トイレへの移動、食堂での食事、夜のトイレといった、病棟での毎日の動作そのものが、自宅に戻るための練習になります。

そのため、看護師や介護福祉士も、どこまで自分でできるかを見ながら関わっています。「手伝ってもらえばできる」ことを、少しずつ「自分でできる」に近づけていくのが、病棟全体の役割です。

面会に行くときに聞いておくとよいこと

担当のリハビリ職員が、いつ病棟にいるかは決まっていることが多いので、相談員や看護師に聞いておくと、話せる時間に合わせて面会できます。そのとき、「いま何ができるようになっていて、次に何を目指しているか」を聞いておくと、退院後の生活も想像しやすくなります。

4. いつまで入院できる?(病名ごとの上限)

回復期リハビリ病棟に入院できる日数には、病気やけがの種類(国が決めた「回復期リハビリテーションを要する状態」)ごとに上限があります。上限は、発症した日や手術の日ではなく、回復期リハビリ病棟に入院した日から数えます。

病気やけがの種類上限
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、脊髄損傷、頭部外傷など150日
上のうち、高次脳機能障害を伴う重症の脳血管障害、重度の頸髄損傷、頭部外傷を含む多発外傷180日
大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の骨折、2か所以上の骨折の後や手術の後90日
手術や肺炎などの治療で安静にしていたことによる体力の低下(廃用症候群)90日
股関節・膝関節の人工関節などの手術(置換術)の後90日
急性心筋梗塞など、急に起きた心臓・大血管の病気や、その手術の後90日
大腿骨・骨盤・脊椎・股関節・膝関節の神経・筋肉・靱帯の損傷の後60日

どの区分に当てはまるかは、病院が医学的に判断します。心臓・大血管の病気の区分は、2022年度の改定で新しく加わりました。

入院した日と上限の区分がわかれば、上限の日付を退院前後の準備カレンダーの「参考:制度上の最長期限」で計算できます。

5. 実際の退院日は、どう決まる?

上限の日数は、あくまで「制度上、最長でここまで」という目安です。実際の退院日は、次のようなことを見ながら、病院のチームとご本人・ご家族で話し合って決まります。

病院の会議室で、高齢の女性と娘が、医師・理学療法士・看護師・医療ソーシャルワーカー・ケアマネジャーとテーブルを囲んで話し合っている様子
退院の時期や退院後の生活は、病院のチームとご本人・ご家族、ケアマネジャーなどで話し合って決めていきます

病院は、限られた入院期間の中でリハビリの成果を出すことを求められていて、多くの人は上限より早く退院します。「上限いっぱいまで入院できる」と考えていると、退院の話が出たときに準備が間に合わないことがあるので注意が必要です。

病院によっては、平均の入院日数や、自宅に退院した人の割合をホームページで公開しています。転院先を選ぶときの参考になります。

理学療法士の視点から 回復期リハビリ病棟での回復は、入院してからしばらくの時期に大きく伸び、その後はゆるやかになっていくことが多いです。「もう少し入院すれば、もっと良くなるのでは」と感じる時期もありますが、退院後もデイケアや訪問リハビリなどでリハビリは続けられます。病院での練習で身につけた動きを、実際の自宅で使い続けることも、大切なリハビリの一つです。

6. 入院中にかかるお金の考え方

回復期リハビリ病棟の入院は医療保険です(介護保険ではありません)。窓口で払う割合は、年齢と所得によって1〜3割です。

高額療養費という仕組みがあります

1か月の医療費の自己負担が一定の額を超えると、超えた分が払い戻される高額療養費制度があります。数か月にわたる入院では、この仕組みが効いてくる場面が多くあります。

限度額は年齢と所得によって変わり、制度自体も見直しが行われています。そのため、金額はここには載せていません。加入している健康保険(健康保険組合、協会けんぽ、市区町村の国民健康保険、後期高齢者医療広域連合)に確認するのが確実です。

あわせて、「限度額適用認定証」またはマイナ保険証の利用登録をしておくと、窓口での支払いを最初から限度額までにできます。後から払い戻しを受ける手間がなくなるので、入院が決まった段階で手続きしておくのがおすすめです。

高額療養費の対象にならないもの

おむつ代や洗濯のしかたは病院ごとに違い、月あたりの金額にも差が出ます。転院が決まったら、入院の説明のときに、医療費以外に毎月どれくらいかかるのかを聞いておくと、見通しが立てやすくなります。

7. 入院中に進めておきたい準備

退院の時期に慌てないために、入院の早い時期から次のことを進めておくのがおすすめです。

家屋調査で、理学療法士が玄関の上がりかまちの段差の高さをメジャーで測り、娘がメモを持って話を聞いている様子
家屋調査では、玄関の段差の高さなどを実際に測って、退院後の生活の準備に生かします

くわしくは、次の記事でまとめています。

関連ツール 退院前後の準備カレンダー 入院中から退院後までの準備のチェックリストと、退院予定日から逆算したスケジュールがわかります。

8. 家族が入院中にできること

「リハビリは病院にお任せするしかない」と感じる方が多いのですが、ご家族にしかできないこともあります。

ふだんの暮らしを伝える

病院のスタッフが知らないのは、入院する前にどう暮らしていたかです。どこで寝ていたか、トイレまで何歩くらいか、台所に立っていたか、何を楽しみにしていたか。こうした情報が、リハビリの目標を決める材料になります。

とくに、ご本人が大事にしていたことは伝える価値があります。畑に出たい、孫の送り迎えをしたい、といった希望があると、「歩けるようになる」より具体的な目標が立てられます。

家の写真を撮っておく

玄関、廊下、トイレ、お風呂、寝室、それに家の前の道を撮っておくと、家屋調査の前でも話が進みます。段差のそばにメジャーや定規を置いて撮ると、だいたいの高さも伝わります。家屋調査の間取り図の書き方も参考になります。

介助の練習に参加する

退院が近づくと、乗り移りや歩行の介助を家族が練習する機会が設けられることがあります。参加できる日を早めに伝えておくと、日程を合わせてもらいやすくなります。実際に体を支えてみると、家に必要な手すりの位置も見えてきます。

面会のときの声のかけ方

「頑張って」と励ますより、できるようになったことを一緒に確かめるほうが、本人の張り合いにつながることが多いです。リハビリが思うように進まない時期は、本人がいちばん焦っています。

理学療法士の視点から

ご家族に入院前の様子をうかがうと、「趣味は何もありませんでした」と言われることがよくあります。けれども、毎朝新聞を取りに行っていた、決まった時間にお茶を飲んでいた、夕方になると仏壇の水を替えていた、といったことは、たいていのお宅にあります。

こうしたもともとの生活のリズムや、家の中での役割が分かると、退院後のリハビリがずいぶん組み立てやすくなります。運動として何かを課すのではなく、その人がもともとしていた動きを毎日の生活に戻していくことで、自然に動く量が増えていくからです。新聞を取りに行くなら玄関までの往復が、お茶を入れるなら台所での立ち仕事が、そのまま練習になります。

入院中に面会へ来られない事情があっても、電話で伝えていただくだけで十分です。遠方にお住まいのご家族も多いので、来られないことを申し訳なく思う必要はありません。どんなに些細に思えることでも手がかりになりますので、思い出したときに相談員へ伝えていただけると助かります。

9. よくある質問

結局、いつまで入院できますか?

病気やけがの種類ごとに上限が決まっていて、脳卒中などは150日(重症の場合は180日)、大腿骨などの骨折や人工関節の手術後、廃用症候群、心臓の病気は90日、靱帯や筋肉の損傷は60日です。数え始めるのは、発症した日や手術の日ではなく、回復期リハビリ病棟に入院した日です。
ただし、この日数まで入院していられるという意味ではありません。実際の退院日は、リハビリの進み具合と、退院後の生活の準備が整ったかで決まり、上限より早いことのほうが多くなります。くわしくは4章と5章をご覧ください。

上限の日数まで入院させてほしい、と頼むことはできますか?

希望を伝えることはできますが、退院の時期は、リハビリの進み具合などを見て、病院のチームが医学的に判断します。気になることがあれば、主治医や担当のリハビリ職員に、「いま何ができるようになっていて、あと何が課題か」を聞いてみると、退院の時期の見通しを理解しやすくなります。

退院したら、リハビリはもう受けられませんか?

受けられます。介護保険のデイケア(通所リハビリ)や訪問リハビリ、病院の外来リハビリなどがあります。退院から3か月以内は、短期間に集中してリハビリを受けられる仕組みもあります。どちらが合うかは、デイケア/デイサービス診断でも確かめられます。医療保険のリハビリの日数の上限については、記事「リハビリの日数上限を過ぎたらどうなる?」でまとめています。

転院先は、自分で探してもよいですか?

候補を調べて相談員に伝えることもできます。ただし、受け入れができるかどうかは、病棟の空き状況とご本人の状態によって決まるため、直接申し込む形にはなりません。急性期の病院の相談員を通して進めるのが一般的です。
「この病院が気になっている」と伝えれば、相談員が空き状況を確認してくれます。地域の病院の特徴を知っているので、あわせて意見を聞いてみるのがおすすめです。

入院中に、別の回復期リハビリ病棟へ移れますか?

制度上できないわけではありませんが、実際には難しいことが多いです。入院日数の上限は、最初に回復期リハビリ病棟へ入院した日から数えるため、移っても期間が増えるわけではありません。移る手間と、関わるスタッフが変わることを考えると、得られるものは限られます。
今の病院のリハビリに疑問があるときは、移ることを考える前に、主治医や担当のリハビリ職員に、いまの方針を聞いてみるのがおすすめです。

リハビリの時間が短いように感じます。増やしてもらえますか?

1日に受けられるのは、最大9単位(3時間)まで(骨折や人工関節の手術のあとなどで運動器リハビリを受ける方は、原則として最大6単位・2時間まで。けがや手術の日から60日以内の方などは9単位まで受けられる場合があります)と決まっていて、これを超えることはできません。ベッドから離れずに行う訓練だけの日は、1日2単位(40分)までです。また、上限まで受けるのが常によいわけでもなく、体力や痛みの状態によっては、増やすとかえって疲れが残ることがあります。
気になるときは、いまの単位数と、その量にしている理由を聞いてみるのがおすすめです。理由を聞いたうえで、本人の様子(帰ってからぐったりしていないか、意欲はどうか)を伝えると、調整してもらえることがあります。

入院中の費用は、どれくらいかかりますか?

医療費の部分は高額療養費制度で上限があり、年齢と所得によって変わります。金額は加入している健康保険に確認するのが確実です。
それに加えて、食事代、おむつ代、洗濯代、差額ベッド代などがかかります。ここは病院によって扱いが違い、月あたりの金額にも差が出ます。入院の説明のときに、医療費以外に毎月どれくらいかかるかを聞いておくと、見通しが立てやすくなります。

上限を過ぎそうなときは、どうなりますか?

上限の日数を過ぎると、回復期リハビリ病棟にはいられなくなります。住宅改修などの準備が間に合わない場合は、いったん自宅に退院して、福祉用具のレンタルや介護サービスを使いながら、残りの準備を進めることになる場合もあります。施設は申し込みをして空きが出ないと入れないため、施設への入所を考えている場合は、早めに申し込んでおくことが大切です。慌てないためにも、入院の早い時期から準備を進めておくのがおすすめです。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な仕組みをまとめたものです。入院期間や退院の時期は、ご本人の状態や病院によって異なります。