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入院中の外出・外泊:退院前に家で確かめたいこと始める時期、出かける前の準備、家で見ておきたいこと、帰ってから伝えること

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月30日/最終確認日:2026年10月30日

入院中のご本人やご家族が「退院したら家で暮らせるか」を考えるとき、病棟での様子だけでは見えないことがあります。トイレまでの距離、夜の動き、家具の並び、家族の手のかかり方は、実際に家で過ごしてみると見えてきます。そのために、退院が近づいたころに外出(日帰り)や外泊(泊まり)をする方法があります。

ここでは、外出・外泊でわかること、始める時期、出かける前の準備、家で見ておきたいこと、帰ってから病院に伝えることを順に書きます。

この記事のポイント
  • 外出・外泊は、退院の時期が見えてきたころ、退院が近づいたころに進めることが多いです。ご本人やご家族から「やってみたい」と伝えてかまいません。病院から確認されることもあります
  • 目的は、うまくやりとげることではなく、家での実際の様子を知ることです。うまくいかなかったことも、退院の準備には大事な情報です
  • 身の回りのことが自分でできる方では、家族の介助の練習は基本的にしません。おむつ交換や吸引が必要な場合などは、病院で練習してから出かけます
  • 外泊に必要な物は、病院にあるものを貸し出せる場合が多いです。退院後に必要な物は、ケアマネジャーに相談することが多いです
  • 家では、病棟より疲れやすいことがあります。トイレまで何度も歩く想定が、疲れて難しかった、という話はときどき聞かれます
  • 帰ってから、困ったこと、生活環境で難しかったことは、どんなことでも病院に伝えると、対応を考えてもらえます。ご本人からでも、ご家族からでもかまいません

1. 外出・外泊でわかること

2. いつごろ始めるか

外出・外泊は、退院の時期が見えてきたころ、退院が近づいてきたころに進めるのが一般的な流れです。

ご家族から「一度、家に帰らせてみたい」と話されることもあれば、病院のほうから「外泊はどうしますか」と確認することもあります。ご本人やご家族から言い出してかまいません。看護師やリハビリの担当者、相談員に声をかけると、病院の進め方を教えてもらえます。回数や時間、付き添いの決まりは、病院や病棟によって違います。リハビリテーション実施計画書の様式にも外出・外泊の計画を書く欄があり、病院にとっても退院に向けた段取りの1つです(「リハビリテーション実施計画書の見方」)。

退院前に病院の担当者が家を訪問して、家の中の様子を確かめる家屋調査を、外泊の日に合わせて行える場合もあります。くわしくは「家屋調査」の記事にあります。

3. 出かける前の準備

準備は、病院から必要と言われたものに絞れば足ります。

体調が急に悪くなったときの連絡先は、出かける前に病院で確認しておきます
夜間や休日に、どこへ電話するか、病院に戻るのか、ほかの病院にかかるのかは、病院によって違います。外出・外泊の前に、看護師に聞いておくと安心です。
意識がはっきりしない、呼吸が苦しそう、急に片方の手足に力が入らないなど、本当に緊急を要するときは、ためらわず119番に連絡します。

4. 家で見ておきたいこと

上手にこなすことよりも、「どこで困ったか」を見ておくと、病院に伝えやすくなります。

場面見ておくとよいこと
家に着いたとき・出るとき車の乗り降り、玄関の段差、靴の脱ぎ履き
トイレ昼と夜の回数、行くまでの距離と時間、立ち座り、ズボンの上げ下ろし。何度も歩いて行くと疲れるか
寝るところベッドやふとんからの起き上がり、夜中に目が覚めたときの動き
過ごす場所日中どこで過ごしたか(いす、ソファ、床、ベッド)。立ち上がりやすかったか
食事座る姿勢、食べやすさ、食卓までの移動
着替え・入浴着替えの手順。入浴するかどうかは、出かける前に病院と相談
1日の疲れ午前と午後、夜での疲れ方の変化

5. 帰ってから病院に伝えること

戻ったら、看護師やリハビリの担当者、相談員に、見たことを伝えます。困ったこと、生活環境で難しかったことは、どんなことでもかまいません。ご本人からでも、ご家族からでも、伝えてもらえれば、それに対して対応を考えられます。

伝えた内容は、退院までのリハビリの練習、手すりや福祉用具の相談、介護保険サービスの検討に生かされます。外泊でうまくいかなかったことがあっても、それは退院をあきらめる理由ではありません。家で困る場面が、退院の前にわかったということです。

退院後に必要になりそうなベッドや手すり、福祉用具は、ふつうはケアマネジャーと相談して決めていきます。介護保険の申請がまだの場合や、ケアマネジャーが決まっていない場合は、病院の相談員に聞くと、進め方を教えてもらえます(「退院前カンファレンス」の記事も参考になります)。

理学療法士の視点から 外泊のあとに、ご本人やご家族から聞く話の1つに、「思ったより疲れてしまった」というものがあります。病棟では歩けていても、家ではトイレに何度も通ったり、気をつかったりして、疲れ方が変わります。ベッドで過ごす想定だったのに、気づいたら床に座っていた、ということもあります。こうした話は、うまくいかなかった報告ではなく、退院後の暮らしを考えるうえでの大事な手がかりです。困ったことや、生活環境で難しかったことは、どんな小さなことでも、教えていただければ、対応を考えられます。

よくある質問

外泊すると、入院費はどうなりますか

医療保険の入院料は、外泊の期間は、ふだんの入院料の15%で計算されると、国の通知に定められています(病棟の種類によって、入院基本料または特定入院料の15%)。入院料の扱いでは、1泊2日は外泊にならないとされていて、その場合はふだんどおりの入院料です。実際の支払いがどれだけ変わるかは、自己負担の割合や高額療養費の上限によって違います。
食事代は、病院が実際に提供した食事の分だけがかかります。外泊中に病院で食べなかった食事の分は、かかりません。個室代など、そのほかの費用の扱いは病院ごとに違うので、会計の窓口で確かめます。

介助の練習は、必ず必要ですか

身の回りのことが自分でできる方では、家族の練習は基本的にしません。おむつをして帰る場合のおむつ交換や、吸引が必要な場合の吸引など、特別な場合に、病院で練習してから出かけます。

外泊に使う車いすなどは、どう用意しますか

病院にあるものは、貸し出せる場合が多いです。何が要りそうか、出かける前に病院に聞いてみるのがおすすめです。退院後に使う物は、ケアマネジャーとの相談で決めていく流れが一般的です。

外泊でうまくいかなかったら、退院は難しいのでしょうか

うまくいかなかったことは、退院をあきらめる理由にはなりません。家で困る場面が、退院の前にわかったということです。困ったことは病院に伝えると、リハビリの練習や、手すり・福祉用具の相談に生かされます。

出典・参考にした資料

外出・外泊の進め方、回数、時間、付き添い、費用の請求のしかたは、病院や病棟によって違います。具体的なことは、入院先の看護師、リハビリの担当者、相談員、会計の窓口に確認するのがおすすめです。