この記事は、入院中のリハビリについて病院から「計画書」を渡され、どこを見ればよいのか、点数は何を表すのかと戸惑うご家族に向けて書きました。国の様式の実物に番号をつけて、どこに何が書いてあるかと、見る順番、担当者に聞くとよいことをお伝えします。
- 計画書は、入院中のリハビリの目標と、いまの状態、これからの進め方を、ご本人とご家族に伝える書類です
- 最初に見るのは、点数より、目標と、ご本人・ご家族の希望の欄がおすすめです
- 日常生活の点数は、BI か FIM のどちらかで書かれます。BI は「できること」、FIM は「していること」で点をつけます
- 合計点より、項目ごとの「開始時→現在」を見ます
- 担当者に聞くなら、「リハビリをして何が変わったか」と「目標は何か」が中心です
1. 計画書とは:どこに何が書いてあるか
病院のリハビリでは、ご本人の状態を評価して、目標とリハビリの進め方を書面にまとめ、ご本人やご家族に説明します。その書面が計画書で、正式には「リハビリテーション実施計画書(総合実施計画書)」などと呼ばれます。書式は国が定めた様式があり、病院や病棟によって、書式や使うことばが少し違うことがあります。
国の様式は、1ページ目に、体の状態、日常生活の点数、目標が書かれます。2ページ目は「総合実施計画書」として使うときに書く面で、ご本人・ご家族の希望、家での生活、退院後のことが書かれます。渡される計画書が、1ページだけのこともあります。
1ページ目
目標の欄は、1ページ目の下のほうにあります。
国の様式(記入前)。画像を押すと、大きく見られます
| 番号 | 欄 | 書かれること |
|---|---|---|
| 1 | 目標(今後1か月以内) | この1か月で目指すこと |
| 2 | 目標(退院時または終了時) | 退院までに目指すこと。1か月の目標と同じときは、省略されます。この欄の中に、予定入院期間と退院先を書く場所があります |
| 3 | 治療方針・治療内容 | リハビリの進め方と、理学療法・作業療法・言語聴覚療法のどれを行うか |
| 4 | 心身機能・構造 | 麻痺、筋力の低下、関節の動きの制限、痛み、飲みこみ、記憶や注意の状態など。当てはまるものだけ |
| 5 | 基本動作 | 寝返り、起き上がり、立ち上がり、座っていること、立っていることを、自立・一部介助・介助・非実施で |
| 6 | 日常生活活動(動作) | 食事、整容、入浴、更衣、トイレ、移乗、歩行などの点数。FIM と BI の列があり、「開始時→現在」の点数を書きます |
| 7 | 使用用具及び介助内容等 | 使っている道具と、どんな介助をしているか |
| 8 | 前月と比較した当月の患者の状態 | 前の月からの変化。リハビリの期間が標準の日数を超える場合は、必ず書く欄です |
| 9 | 社会保障サービスの申請状況 | 介護保険の要介護度や、障害者手帳などの申請の状況(該当する場合) |
| 10 | 説明日・説明者 | 計画書の説明を受けた日と、説明した人 |
2ページ目
国の様式(記入前)。画像を押すと、大きく見られます
| 番号 | 欄 | 書かれること |
|---|---|---|
| 11 | これまでのリハビリ、障害の受け止め、本人・家族の希望等 | これまでの経過と、ご本人・ご家族の希望 |
| 12 | 参加(目標) | 居住場所、復職、就学、家庭内役割、社会活動、趣味など。暮らしの中での役割や過ごし方 |
| 13 | 活動(目標) | 床上移動、屋内・屋外の移動、自動車運転、トイレ、食事、整容、更衣、入浴、家事、書字、パソコン・スマートフォン、コミュニケーションなど。動作そのもの |
| 14 | 参加・活動等の目標に向けた具体的なアプローチ | 12・13の目標のために、何をするか |
| 15 | 住環境 | 福祉用具や住宅改修が必要な場合に書きます。下に、退院前訪問指導の必要性と、外出・外泊の計画を書く場所があります |
| 16 | 自宅等での食事の留意点 | 食べやすい形や、姿勢など |
| 17 | 本人・家族への指導内容(自主トレ含む)、病棟生活における訓練のポイント等 | 家で行うこと、介助の方法、練習のポイント |
| 18 | 介護保険サービス又は障害福祉サービスとの連携 | 退院後に、介護保険のリハビリサービスなどを使う予定があるとき |
| 19 | 退院後の生活の注意点、退院後のリハビリテーションの必要性 | 退院後の生活で気をつけることと、リハビリを続ける必要があるか |
2. 最初に見る欄:目標と、ご本人・ご家族の希望
点数や専門用語が並んでいて目が止まりやすいのですが、まず見るのは「目標」の欄(図の1・2)がおすすめです。目標を見ると、どの動作を練習し、家でどう過ごすことを目指しているのかがわかります。
目標の欄
目標は2つの欄に分かれています。
- 今後1か月以内の目標(図の1)
- 退院時(または終了時)の目標(図の2):1か月の目標と同じときは、省略されることがあります。終了時期の目安がわかるときは、書かれます。
目標の下には、リハビリの方針と、実施する内容の欄(図の3)があります。目標に向けて、どんなリハビリをするのかが書かれます。
「参加」と「活動」
2ページ目がある場合は、目標が「参加」(図の12)と「活動」(図の13)に分けて書かれます。
| 欄 | 書かれること |
|---|---|
| 参加(目標) | 暮らしの中での役割や過ごし方。居住場所、復職、就学、家庭内の役割、社会活動、趣味など |
| 活動(目標) | 動作そのもの。床の上での移動、屋内・屋外の移動、トイレ、食事、入浴、家事など |
動作の目標だけでなく、家での役割や趣味を書く欄があることがわかります。「台所に立ちたい」「また畑に出たい」といった希望があれば、担当者に伝えておくのがおすすめです。
ご本人・ご家族の希望の欄
2ページ目の最初(図の11)に、これまでのリハビリの様子や、障害の受け止め方、ご本人・ご家族の希望を書く欄があります。ご本人が何をしたいのか、ご家族が何に困りそうかは、目標を決める材料になります。書かれている内容が、実際の希望と合っているかを見ておくと安心です。
3. 体の状態と、基本動作の欄
心身機能の欄(図の4)
麻痺、筋力の低下、関節の動きの制限、痛み、飲みこみ、見え方や聞こえ方、記憶や注意の状態など、当てはまるものだけが書かれます。動作が難しくなっている理由を知る手がかりになります。
基本動作の欄(図の5)
次の動作を、自立・一部介助・介助・非実施(行っていない)から選んで書きます。
- 寝返り
- 起き上がり
- 立ち上がり
- 座位保持(座っていること)
- 立位保持(立っていること)
見るときのこつは、「一部介助」の中身を聞くことです。たとえば、起き上がりの「一部介助」には、背中に手を添える程度から、体を支え続ける場合まで幅があります。どこを、どのくらい手伝うのかを聞くと、退院後の介助がイメージしやすくなります。
4. 日常生活の点数の欄(BI・FIM)
日常生活の動作(食事、トイレ、入浴、更衣、移乗、歩行、階段など)を点数にした欄です(図の6)。様式には、「BIまたはFIMのいずれかを必ず記載すること」とあります。病院によって、どちらかが使われます。
BI と FIM の違い
いちばん大きな違いは、BI は「できること」、FIM は「していること」で点をつけることです。練習の場面でできる動作と、病棟でふだんしている動作は、違うことがあります。
| BI(Barthel Index) | FIM | |
|---|---|---|
| 点をつけるもの | できること | していること |
| 項目の数 | 10項目 | 18項目(運動13+認知5) |
| 運動の項目 | 食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段、更衣、排便、排尿 | 食事、整容、清拭・入浴、更衣(上半身・下半身)、トイレ、排尿、排便、移乗(ベッド・椅子・車椅子、トイレ、浴槽・シャワー)、歩行・車椅子、階段 |
| 認知の項目 | なし | あり(理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶) |
| 1項目の点数 | 0・5・10・15点(項目によって違う) | 1〜7点(7段階) |
| 点数の範囲 | 0〜100点 | 運動13〜91点、認知5〜35点、合計18〜126点 |
| 点数の見方 | どちらも、点数が高いほど、介助が少ない状態です | |
| 計画書での書き方 | 右の列。更衣(上・下)や移乗(3か所)、歩行・車椅子は、まとめて1つの点で書く | 左の列。項目ごとに書く |
計画書にはFIM と BI の列が並んでいます。どちらかを書く決まりなので、使われていないほうの列は、空いていることがあります。
見るのは「開始時→現在」
点数の欄は、開始時から現在への変化が書かれます。合計点だけを見るより、どの項目が変わったか、変わっていないかを見るのがおすすめです。合計点が同じでも、どの動作で介助が要るかは、人によって違います。
項目の横には、「使用用具及び介助内容等」の欄(図の7)があります。杖や手すりなどの道具や、どんな介助をしているかが書かれる欄です。家で必要になる道具や介助のヒントになります。
点数の欄の下には、前の月と比べた、今月の状態を書く欄(図の8)もあります。リハビリの期間が長くなった場合などに書かれる欄です。
BI の10項目と、点数ごとの基準は、次のページにまとめています。
関連ツール バーセルインデックス(Barthel Index)の点数表 10項目を選ぶと、合計点(100点満点)を計算します。各項目の基準の文と、記録用紙(PDF)も使えます。5. 退院後のことの欄
退院後の生活に関わる欄は、おもに次のものです。
| 図 | 欄 | 見ること |
|---|---|---|
| 2 | 予定入院期間・退院先 | 退院の時期と、退院する先(自宅、施設など)の見込み |
| 9 | 要介護状態区分など | 介護保険の申請や認定の状況(申請の流れ) |
| 15 | 住環境 | 福祉用具の導入や、住宅改修が必要かどうか(住宅改修の申請)。退院前訪問指導の必要性も、ここに書く場所がある(家屋調査) |
| 16 | 自宅等での食事の留意点 | 食べやすい形や、姿勢など |
| 17 | 本人・家族への指導内容 | 自主トレ、介助の方法など、家で行うこと |
| 18 | 介護保険サービスとの連携 | 退院後に使う予定のリハビリサービス(訪問リハと通所リハ) |
| 19 | 退院後の生活の注意点、退院後のリハビリの必要性 | 退院後の生活で気をつけることと、リハビリを続ける必要があるか |
これらの欄は、入院している病棟などによって、書かれないこともあります。気になる項目があれば、担当者に聞いてみるのがおすすめです。
6. 担当者に聞くとよいこと
計画書のすべてを理解する必要はありません。次の2つを軸にすると、話がしやすくなります。
- リハビリをして、何が変わりましたか?(開始時→現在で、動作や点数が変わったところ)
- いまの目標は何ですか?(1か月の目標と、退院時の目標。そのために何を練習しますか)
そのうえで、必要に応じて次のことを聞くと、退院後がイメージしやすくなります。
- 変わっていない項目:「この動作は、家ではどう手伝えばよいですか」「道具で補えますか」
- 「一部介助」の中身:どこを、どのくらい手伝うのか。介助の方法を見せてもらえるか
- 練習でできることと、病棟でしていること:違いがあれば、病棟や家でもできるようにするには、どうすればよいか
- 希望の欄:ご本人の希望(家での役割や趣味)が、目標に入っているか
- 退院後:リハビリは続けられるか、どこで続けるか。家に必要な道具や工事はあるか
専門用語や略語がわからないときは、そのまま聞いてみるのがおすすめです。退院前の話し合いでは、退院前カンファレンスで確認したいことも参考になります。脳卒中の方の退院は、脳卒中の親が退院するときに、病院で聞いておくことをまとめています。
出典・参考にした資料
- 厚生労働省 令和8年度診療報酬改定「様式(医科)」別紙様式21 リハビリテーション実施計画書(総合実施計画書):図は、この様式(記入前)を画像にして、欄の番号を加えたもの。説明日・説明者、心身機能、基本動作、日常生活活動(BI または FIM)、参加・活動の目標、本人・家族の希望、退院後の生活の注意点などの欄 様式(医科)のPDF(厚生労働省)
- 厚生労働省 第2回指定難病検討委員会 資料1「臓器領域毎の重症度分類等について」:Barthel Index の10項目と点数 資料(PDF)
計画書の書式や、記入される内容は、病院によって異なります。ご本人の計画書の内容は、担当の医師やリハビリの担当者に確認するのがおすすめです。

