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五十肩(肩関節周囲炎)|夜の痛みと、着替えの工夫つらい動きがわかると、工夫を選びやすくなります

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月23日/最終確認日:2026年10月23日

「夜中に肩がズキズキして眠れない」「腕が上がらず、髪を結んだり、服を着替えたりがつらい」。五十肩(肩関節周囲炎)で困っているご本人と、ご家族に向けて書きました。「腕が上がらない」といっても、困る動作は、人によって違います。髪を結ぶのがつらい人もいれば、背中に手が回らず、ズボンを上げる、お尻を拭くのがつらい人もいます。どの動きがつらいのかがわかると、工夫も選びやすくなります。夜の寝方の工夫と、時期ごとの考え方、受診の目安も、順に紹介します。

この記事のポイント
  • 肩の動きは、前に上げる・横に上げる・頭の後ろに手を回す・背中に手を回すの4つに分けると、困る動作との結びつきがわかりやすくなります
  • まずはふだんの暮らしで困る場面を思い出して、どの動きにあたるかを見るのがおすすめです。困る動作は、受診のときに、そのままの言葉で伝えると役立ちます
  • 夜の痛みには、痛い肩を上にする、腕の下にタオルやクッションを入れて支えるなどの寝方の工夫があります。楽な姿勢は人によって違うため、試しながら探します
  • 痛みが強い急性期は安静、急性期を過ぎたら温めることと運動でリハビリを行うとされています。今の時期は、医師やリハビリ職に確認するのがおすすめです
  • 肩の痛みにはほかの病気(腱板断裂、石灰沈着性腱板炎など)もあります。まず整形外科を受診するのがおすすめです

1. 五十肩とは

五十肩(肩関節周囲炎)は、肩の関節が痛み、関節の動きが悪くなる病気です。中年以降、とくに50歳代に多いとされています。肩関節の周りの組織が老化して、炎症が起きることが、主な原因と考えられています。

関節を包む袋(関節包)などが癒着すると、さらに動きが悪くなります。これを、拘縮、または凍結肩といいます。主な症状は、動かすときの痛みと、夜中のズキズキする痛みです。夜の痛みは、ときに眠れないほどになることもあります。

2. 「腕が上がらない」にも、いろいろある

肩は、前にも横にも上がり、ひねることもできる、とても大きく動く関節です。五十肩では、上げる動きだけでなく、ひねる動きも固くなることがあります。そのため、同じ「腕が上がらない」でも、困る動作が人によって違います。

肩の動きを4つに分けると、ふだんの動作との結びつきは、次のようになります。

肩の動きこの動きを使う、ふだんの動作
前に上げる高い棚の物を取る、洗濯物を干す、電車のつり革を持つ
横に上げる洗濯物を干す、わきの下を洗う、横の棚の物を取る
頭の後ろに手を回す
(上げて、外にひねる)
髪を結ぶ・洗う、かぶりの服を脱ぐ、首の後ろのボタンを留める
背中に手を回す
(後ろに引いて、内にひねる)
ズボンを後ろまで上げる、お尻を拭く、エプロンのひもを結ぶ、ブラジャーのホックを留める、上着の2本目の袖に腕を通す
高齢の女性が、台所で高い棚に手を伸ばす、ベランダで洗濯物を干す、いすに座って髪を結ぶ、背中に手を回してエプロンのひもを探す、という4つの場面の図
前に上げる、横に上げる、頭の後ろに回す、背中に回す。つらい動きは、人によって違います

どの動きがつらいかは、ふだんの暮らしで困る場面を思い出すだけで、見当がつきます。「髪が結べない」なら頭の後ろ、「ズボンの後ろが上がらない」「お尻が拭きにくい」なら背中、と表の行に当てはめてみます。痛いのに、わざわざ大きく動かして確かめる必要はありません。

困る動作がわかったら、受診やリハビリのときに、「髪が結べない」「お尻が拭きにくい」と、動作の言葉のまま伝えるのがおすすめです。「肩が痛い」だけより、どの動きが固いのかが伝わりやすく、暮らしに合わせた助言をもらいやすくなります。

3. つらい動きごとの、暮らしの工夫

工夫の考え方は、痛い動きを避けて、同じ用事を別の動きで済ませることです。痛みが出る家事や用事を全部やめるのではなく、無理のない形で続けるのがおすすめです。

前に上げる・横に上げるのがつらいとき

頭の後ろに手を回すのがつらいとき

背中に手を回すのがつらいとき

家族が手伝うときに、気をつけること

介護ベッドの頭側を起こして座る高齢の女性の手を、娘が手先から包むように支えている図。腕は持ち上げたり引っぱったりしていない
痛い側の腕は、持ち上げたり引っぱったりせず、手先を包むように支えます

4. 夜の痛みと、寝方の工夫

夜の痛みは、五十肩の症状の1つで、眠れないほど強くなることもあります。痛みが強いときは、がまんせず、整形外科に相談するのがおすすめです。薬を自分の判断で増やさず、かかっている医師に相談します。

寝るときは、痛い側の腕が、重みで後ろに落ちたり、体の下に押しつぶされたりしないように、少し前に曲げた位置で支えるのが、工夫の考え方です。夜の痛みは、寝返りや、腕の置かれる位置で強まることがあるとされています。よく紹介される方法は、次の3つです。

寝る姿勢工夫
仰向け痛い側の肘から手首の下に、たたんだタオルやクッションを入れます。腕が布団に沈み込まず、手がおなかの上あたりに来る高さが目安です。
横向き痛くない側を下にして、痛い肩を上にします。上になった痛い側の腕は、抱き枕やクッションの上に乗せ、体の前に、少し曲げた位置で支えます。この姿勢で、痛みがやわらぐとされています。
上体を少し起こす布団のときは背中に座布団などを重ね、ベッドのときは頭側を少し上げます。少し起きた姿勢のほうが楽という方もいます。
寝室のベッドで、高齢の女性が眠っている2つの図。左は仰向けで、痛い側の腕の下にたたんだタオルを入れている。右は横向きで、痛い側を上にして、腕を抱き枕の上に乗せている
左:仰向けは、腕の下にタオルを入れる。右:横向きは、痛い肩を上にして、腕をクッションの上に乗せる

痛い側の肩を下にして寝ないのが基本です。楽な姿勢は人によって違うため、1つの型にこだわらず、家にあるタオルやクッションで試しながら探すのがおすすめです。新しい枕を買うのは、楽な形がわかってからでも遅くありません。

ベッドで過ごす時間が長い方は、昼間に座って過ごすときも、痛い側の腕をクッションやテーブルの上に乗せておくと、腕の重みが肩にかかりにくくなります。

楽だった姿勢と、どの向きで痛むかは、受診のときに伝えると、助言をもらう手がかりになります。担当のリハビリ職がいるときは、実際に寝る姿勢を見てもらうと確かです。

5. 経過と、時期ごとの考え方

五十肩は、自然に治ることもあるとされています。ただし、放置すると、関節が癒着して動かなくなることもあります。時期によって、次のような治療やリハビリが行われるとされています。

時期考え方
痛みが強い時期(急性期)三角巾やアームスリングなどで安静を保ちます。消炎鎮痛薬の内服や、注射が有効なことがあります。
急性期を過ぎたあとホットパックや入浴などで温める方法(温熱療法)と、動きが固くなるのを防ぐ運動、筋肉を強くする運動(運動療法)で、リハビリを行います。
これらで改善しないとき手術(関節鏡など)が、勧められることもあります。

今がどの時期にあたるかは、痛み方や、動きの様子をみて、医師やリハビリ職が判断します。「痛いから、まったく動かさない」「痛くても、無理に動かす」のどちらも、合わない時期があります。今の時期に合う動かし方を教えてもらうのがおすすめです。

6. 受診の目安:ほかの肩の病気

肩の痛みは、五十肩だけではありません。上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂などもあり、X線(レントゲン)、関節造影、MRI、超音波などの検査で区別します。

整形外科の受診をおすすめするとき
  • 肩の痛みで、夜に眠れない、日常の動作(着替え、髪、トイレ、洗濯物)に困るとき
  • 腕が上がらない状態が続くとき(放置すると、関節が癒着して、動かなくなることもあるとされています)
  • 転んだり、強くぶつけたりして、急に肩が動かなくなったとき、首の痛みや、腕のしびれを伴うとき

7. 家族ができる関わり

よくある質問

夜に痛くて眠れません。五十肩の特徴ですか

夜中にズキズキと痛み、ときに眠れないほどになることは、五十肩の症状の1つとして挙げられています。寝るときは、痛い肩を上にして、腕を少し前に曲げた位置にすると、痛みがやわらぐとされています(くわしくは「夜の痛みと、寝方の工夫」)。痛みが強いときは、がまんせず、整形外科に相談するのがおすすめです。

痛いので、肩をまったく動かさないほうがよいですか

動かさないでいると、肩の動きがさらに悪くなることがあるとされています。一方、痛みが強い時期(急性期)は、三角巾やアームスリングなどで安静にすることがあります。時期によって、休ませるときと、動かすときがあるため、今がどの時期かは、医師やリハビリ職に確認するのがおすすめです。

五十肩は、自然に治りますか

自然に治ることもあるとされています。ただし、放置すると、日常生活が不自由になるだけでなく、関節が癒着して動かなくなることもあります。腕が上がりにくい状態が続くときは、整形外科で診てもらうのがおすすめです。

温めたほうがよいですか、冷やしたほうがよいですか

痛みが強い急性期は、安静と、痛み止めなどの治療が中心です。急性期を過ぎたら、ホットパックや入浴などで温める方法(温熱療法)と、運動療法(動きを保つ運動、筋肉を強くする運動)を行います。時期の見分け方は、医師やリハビリ職に確認するのがおすすめです。

五十肩と、ほかの肩の病気は、見分けられますか

肩の痛みには、五十肩のほかに、上腕二頭筋長頭腱炎、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂などがあります。これらは、X線、関節造影、MRI、超音波などの検査で区別します。自己判断せず、整形外科で診てもらうのがおすすめです。

改善しないときは、どうなりますか

これらの方法で改善しない場合には、手術(関節鏡など)が勧められることもあります。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。診断や治療、時期ごとの運動は、医師や、担当のリハビリ職が、症状や検査の結果をみて決めます。寝方や暮らしの工夫は、人によって合うものが違います。迷うときは、かかりつけの医師や、リハビリ職に相談するのがおすすめです。