退院が近づくと、「家に帰ってからも、リハビリを続けられるのだろうか」という不安が出てきます。入院中は毎日のようにリハビリがありますが、家に帰るとその時間がなくなります。
退院後にリハビリを続ける方法は、大きく3つあります。病院に通う外来リハビリ、家に来てもらう訪問リハビリ、施設に通う通所リハビリ(デイケア)です。このうち訪問リハビリと通所リハビリは、介護保険のサービスです。
この記事では、訪問リハビリと通所リハビリの違い、どちらが向いているか、デイサービスとの違い、申し込みの流れと費用の考え方をまとめました。
- 訪問リハビリは家で受ける。家の中の動きを、その場所で練習できる
- 通所リハビリ(デイケア)は施設に通う。機械や広い場所を使え、入浴や送迎がある所も多い
- どちらも医師を置くことが決められた事業所(病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院など)が行い、医師の指示にもとづいて行う
- 訪問リハビリの回数は、制度の上ではふだん週6回まで、退院から3か月以内は週12回まで。ただし実際の回数は、事業所の体制やケアプランによる
- デイサービス(通所介護)は、入浴や食事などの生活の支援と機能訓練が中心で、医師の配置はない
- 両方を組み合わせることもできる。まずはケアマネジャーに相談する
1. 退院後にリハビリを続ける3つの方法
- 外来リハビリ(医療保険):退院した病院などに通って受けます。病気ごとに受けられる期間の決まりがあります(記事「外来リハビリの期限を過ぎたらどうなる?」)。
- 訪問リハビリ(介護保険):理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が家に来ます。
- 通所リハビリ=デイケア(介護保険):施設に通って受けます。
介護保険の認定を受けている方は、退院後のリハビリを訪問リハビリや通所リハビリに切り替えていくことが多くなります。どれを使えるか、いつ切り替えるかは、主治医とケアマネジャーに相談して決めます。
2. 訪問リハビリ:家で受ける
訪問リハビリテーションは、家で受けるリハビリです。体の働きの回復を図り、毎日の生活を自分でできるようにすることを目的に、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が家を訪ねて行います。
サービスを行うのは、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院です。家に来るのはリハビリの専門職で、医師が一緒に来るわけではありませんが、リハビリの計画は医師の診察にもとづいて作られます。持病があっても、「どこまで動いてよいか」を医学的な判断のうえで決めてもらえるということです。
回数と時間の決まり
- 1回は20分以上を1つの単位として数えます。1日に続けて2回(40分)のように受けることもあります。
- 制度の上では、ふだんは1週間に6回までです。
- 退院した日から3か月以内は、医師の指示にもとづいて続けて行う場合、週12回までとされています(7章)。
ただし、これは制度の上限です。実際に受けられる回数は、事業所の空き状況や体制、ほかのサービスと合わせたケアプランによって決まります。上限いっぱいまで受けられる事業所ばかりではないため、「どのくらいの回数なら来てもらえるか」を、ケアマネジャーに確かめておくと安心です。
向いているのは、こんな方
- 外出が負担な方:体力や体調の面で、通うのが難しい時期
- 家の中の動きが心配な方:ベッドからの立ち上がり、トイレ、浴室、玄関など、その場所で練習したいとき
- 家族が介助の方法を教わりたいとき:実際の家具や手すりを使いながら確認できます(記事「ベッドから車いすへの乗り移り(移乗)の介助」)
- 手すりや福祉用具を考えたいとき:置く場所や高さを、家を見ながら相談できます(記事「手すりの高さの決め方」)
3. 通所リハビリ(デイケア):施設に通う
通所リハビリテーション(デイケア)は、介護老人保健施設・病院・診療所などに通って受けるリハビリです。こちらも、体の働きの回復と、毎日の生活を自分でできるようにすることが目的です。
医師とリハビリの専門職が関わると、何がよいのか
通所リハビリには、医師とリハビリの専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が関わることが決められています。ご家族にとっては、次のような安心につながります。
- 持病があっても、体調に合わせて運動の内容を決めてもらえる:血圧や心臓、糖尿病などの持病があると、「どこまで動いてよいのか」が心配になります。通所リハビリでは、医師が体の状態を踏まえてリハビリの方針を決め、その日の体調を見ながら運動の強さを調整します。
- 困っている動作に合わせた練習をしてもらえる:体操やレクリエーションだけでなく、「立ち上がりが不安」「外を歩けるようになりたい」といった目標に合わせて、練習の内容を組み立ててもらえます。
- 相談できる内容が広がる:歩く・立つ・階段などの動きは理学療法士、着替え・トイレ・料理などの生活の動作や手の使い方は作業療法士、飲み込みや言葉のことは言語聴覚士が専門です。
ただし、医師はその事業所に所属しているという意味で、リハビリの時間にずっとそばにいるわけではありません。リハビリの専門職も、3つの職種がそろっている事業所もあれば、理学療法士だけという事業所もあります。そのため、気になっていることを相談できる人がいるかを、見学や問い合わせのときに確かめておくのがおすすめです。
- 「飲み込みや言葉が心配」→ 言語聴覚士がいるか
- 「家事や着替えを自分でできるようになりたい」→ 作業療法士がいるか
- 「1回に、どのくらい個別に見てもらえるか」(体操や機械が中心か、個別の練習の時間があるか)
時間と費用の決まり方
- サービスの時間は、1〜2時間の短いものから7〜8時間の長いものまで、事業所によって幅があります。
- 費用は、利用した時間・要介護度・事業所の規模によって変わります。
- 入浴の介助や送迎を行っている事業所も多く、利用の仕方によって費用が変わります。
向いているのは、こんな方
- 外に出る機会をつくりたい方:家に閉じこもりがちなとき
- しっかり体を動かしたい方:家では置けない機械や、広い場所を使った練習ができます
- お風呂が心配な方:家の浴室では不安なとき、入浴の介助を受けられる事業所があります(記事「お風呂の手すりと入浴用品の選び方」)
- 人と会う時間をつくりたい方:ほかの利用者や職員との関わりが生まれます
4. どちらを選ぶ? 組み合わせもできる
どちらが良い・悪いではなく、いま困っていることが「家の中」にあるのか、「外に出ること・体力」にあるのかで考えると選びやすくなります。
| 訪問リハビリ | 通所リハビリ(デイケア) | |
|---|---|---|
| 場所 | 自分の家 | 施設(老健・病院・診療所など) |
| 得意なこと | 家の中の動き、家具や段差に合わせた練習、家族への助言 | 機械や広い場所を使った運動、外出の習慣づくり、人との関わり |
| 1回の長さ・回数 | 20分を1回として数える。制度の上ではふだん週6回まで(実際は事業所の体制による) | 1〜2時間から7〜8時間まで(事業所による) |
| 入浴・食事 | なし | 行っている事業所が多い |
| 送迎 | 不要 | あり(事業所による) |
両方を使うこともできます。たとえば、退院してすぐは訪問リハビリで家の中の動きを整え、慣れてきたらデイケアに通って体力をつける、という進め方です。ケアプランの中で、回数や組み合わせを決めていきます。
関連ツール デイケアとデイサービス、どちらが合う?かんたん診断 いくつかの質問に答えると、通う先を選ぶときの考え方が整理できます。5. デイサービス(通所介護)との違い
名前が似ているサービスに、デイサービス(通所介護)があります。通所介護は、施設に通って、入浴・排せつ・食事などの介護、生活の相談や助言、健康状態の確認、日常生活上の世話、機能訓練を受けるサービスです。
いちばんの違いは、医師とリハビリの専門職が関わるかどうかです。通所リハビリ(デイケア)には、医師と、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかが関わることが決められています。そのため、持病を踏まえた運動の調整や、困っている動作に合わせた練習を頼みやすくなります。
通所介護(デイサービス)で決められているのは、生活相談員・看護職員・介護職員と、機能訓練指導員で、医師を置く決まりはありません。そのぶん、入浴や食事、日中の過ごし方といった生活の支援が中心になります。体操や体を動かす時間はありますが、内容は事業所によって幅があります。
- 体の働きの回復や、動作の練習が目的のとき:通所リハビリ(デイケア)が合いやすい
- 入浴や食事の支援、日中の過ごし方、家族の休息が目的のとき:通所介護(デイサービス)が合いやすい
デイサービスでも機能訓練は行われます。どちらが合うかは、いまの目的と、地域にある事業所の中身によって変わるため、ケアマネジャーと見学のうえで決めるのがおすすめです。
6. 要支援の方の場合
要支援1・2の方も、リハビリのサービスを使えます。名前が変わり、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーションになります。介護予防訪問リハビリテーションも、1回20分以上で、1週間に6回までです。
目的は、いまの生活を続けられるようにすること、できることを増やすことです。担当の窓口は、要支援の方は地域包括支援センターになります(記事「地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違い」)。
7. 退院してからの3か月は、集中して受けられる
訪問リハビリは、制度の上ではふだん1週間に6回までですが、退院した日から3か月以内は、医師の指示にもとづいて続けて行う場合、週12回までとされています。家に帰ったばかりの時期に、集中してリハビリを受けられるしくみです。
実際にどれくらいの回数になるかは、事業所の空き状況や、ほかのサービスとの組み合わせによって決まります。回数を増やすことよりも、この時期に一度、家での動きを見てもらうことに意味があります。
この時期は、家の中の動き方を決め、危ない場所に手を打つのに向いています。退院前に家屋調査がある場合は、そこで出た課題を、退院後の訪問リハビリで続けて見てもらうと引き継ぎがスムーズです(記事「退院前の家屋調査とは?」)。
退院後にどのくらいの回数でリハビリを受けるかは、退院前の話し合いの場で相談できます(記事「退院前カンファレンスで確認しておきたいこと」)。
そのため、短い期間でもいいので、まずはサービスを使ってみることをおすすめしています。ねらいは2つです。1つは、困ったときに相談できる人がいるという安心。もう1つは、起きる時間、体を動かす時間が決まった生活のリズムを作ることです。訪問リハビリでも、デイケアでもかまいません。慣れてきたら、そのとき必要な形に変えていけます。
8. 申し込みの流れと、費用の考え方
- ケアマネジャーに相談する:「退院後もリハビリを続けたい」と伝えます。担当がまだ決まっていない方や要支援の方は、地域包括支援センターに相談します。
- 主治医に相談する:訪問リハビリも通所リハビリも、医師の指示にもとづいて行います。かかりつけ医や退院する病院の医師に、リハビリを続けたいことを伝えます。
- 事業所を決める:ケアマネジャーから候補を聞き、見学や相談のうえで決めます。送迎の範囲や、入浴があるかどうかも確認しておくと安心です。
- 計画を作って始める:事業所の医師やリハビリの担当者が、目標と計画を作ります。始まったあとも、目標に近づいたかを見ながら見直していきます。
費用の考え方
- 介護保険のサービスなので、自己負担は1割・2割・3割のいずれかです(所得によって変わります)。
- 訪問リハビリは回数で、通所リハビリは利用した時間・要介護度・事業所の規模で、金額が変わります。
- 通所リハビリでは、食事代など保険の対象外の費用がかかることがあります。
- ほかのサービスと合わせた1か月の金額は、ケアマネジャーに試算してもらうのが確実です。
9. よくある質問
訪問リハビリと通所リハビリは、両方使えますか?
使えます。ケアプランの中で組み合わせることができ、家での動作は訪問リハビリで確かめ、体力づくりや人と会う機会は通所リハビリで、という分け方がよくとられます。
ただし、どちらも区分支給限度基準額の範囲に入るため、回数を増やすとほかのサービスに使える分が減ります。どこに重点を置くかを、担当のケアマネジャーと相談して決めることになります。
どちらのほうが効果がありますか?
どちらが優れているというものではなく、目的が違います。訪問リハビリは、実際の家の中で、実際に使う家具や段差を使って練習できるのが強みです。通所リハビリは、機器がそろっていて、体力づくりや、ほかの人と過ごす機会が得られるのが強みです。
「家のお風呂に入れるようになりたい」なら訪問、「外に出る機会を作りたい」なら通所、というように、何をしたいかで選ぶと決めやすくなります。
リハビリの時間は、どのくらいですか?
訪問リハビリは1回20分を単位として、続けて40分や60分受けることが多いです。通所リハビリは、施設で過ごす時間が1〜2時間の短時間型から、7〜8時間の長時間型まであり、その中でリハビリを受ける時間は施設によって違います。
通所リハビリを選ぶときは、滞在時間だけでなく、リハビリの専門職と実際に関わる時間がどれくらいかを確かめておくと、あとで違いを感じにくくなります。
本人が通所を嫌がります。
理由を分けて考えると、打つ手が見えてきます。「人の集まる場が苦手」「お世話になるようで嫌だ」という気持ちの問題か、「送迎の時間が長い」「知らない場所が不安」という条件の問題かで違います。
条件の問題なら、短時間型の施設や、送迎の順番を相談することで解決できることがあります。気持ちの問題なら、まず訪問リハビリから始めて、慣れてから通所を考える方法もあります。見学や体験ができる施設が多いので、担当のケアマネジャーに頼んでみるのがおすすめです。
医師の指示は、どうやってもらいますか?
訪問リハビリと通所リハビリは、どちらも医師の指示が必要です。ただし、ご家族が手続きを進めるわけではなく、担当のケアマネジャーが事業所と医療機関の間に入って調整します。
かかりつけ医がいる場合は、その医師に診てもらう流れになります。退院直後であれば、入院していた病院の医師が指示を出すこともあります。まずは担当のケアマネジャーに「リハビリを続けたい」と伝えるところから始めます。
どのくらいの期間、続けられますか?
介護保険のリハビリには、医療保険のような日数の上限はありません。ケアプランに位置づけられていれば続けられます。
ただし、要支援1・2の方の介護予防の通所リハビリと訪問リハビリは、利用を始めてから12か月を超えると、事業所の体制によって報酬が少し下がるしくみがあります。これは利用できなくなるという意味ではありません。定期的にケアプランを見直す中で、目的が達成できたか、別のサービスに切り替えるかを検討していくことになります。
出典・参考にした資料
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第220回、2023年7月24日)資料4「訪問リハビリテーション」:訪問リハビリの定義(居宅で行う理学療法・作業療法その他必要なリハビリテーション)、事業所は病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院であること、専任の常勤医師と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置、1回20分以上で1週に6回を限度、退院(所)の日から3か月以内は医師の指示にもとづき週12回まで、介護予防訪問リハビリテーションも1回20分以上・週6回まで PDF
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第219回、2023年7月10日)資料3「通所リハビリテーション」:通所リハビリの定義(介護老人保健施設、病院、診療所その他の施設で行う)、専任の常勤医師と理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置、費用はサービスの提供時間(1〜2時間から7〜8時間)・要介護度・事業所の規模で変わること、入浴介助や送迎に関する加算・減算があること PDF
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第219回、2023年7月10日)資料1「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」:通所介護の定義(入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他日常生活上の世話、機能訓練)、人員基準は生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員(医師は人員基準に含まれない) PDF
この記事は一般的な考え方をまとめたものです。使えるサービスや回数は、体の状態と地域の事業所によって変わるため、主治医とケアマネジャーに確認しながら決めるのがおすすめです。