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腰部脊柱管狭窄症|歩くと足がしびれるとき安静にしすぎず、症状が出にくい姿勢と、専門家の指導のもとでの運動を

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月20日/最終確認日:2026年10月20日

「少し歩くと、足がしびれる」「休むと楽になって、また歩ける」。このような様子に気づいたご本人と、ご家族に向けて書きました。腰の神経の通り道がせまくなる腰部脊柱管狭窄症で、よく見られる症状です。まず受診する先、治療の流れ、安静にしすぎず、症状が出にくい姿勢で暮らす工夫、運動の考え方を、順にまとめます。

この記事のポイント
  • 歩くと足にしびれや痛みが出て、休むと楽になる症状を間欠跛行といい、腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状です。足の血管の病気でも似た症状が出るため、まず整形外科を受診するのがおすすめです
  • 神経の障害は、ひどくなると回復しにくくなるとされています。早めに診断を受け、悪化を防ぐことが大切です
  • 腰を反らす姿勢で症状が出やすく、前かがみだと出にくくなります。杖や押し車、自転車、踏み台などで、症状が出にくい姿勢を作る工夫があります
  • 診療ガイドラインでは、運動療法が提案されています。専門家の指導のもとで行う運動は、自分だけのトレーニングより有効とされています。痛みを我慢して長く歩くのは、逆効果とされています
  • 歩ける距離は、「電柱2本分」のようないつもの道のりの言葉で伝えれば十分です。道のりに休める場所を決めておくと、外出を続けやすくなります
  • 足に力が入りにくい、尿が出にくい・漏れやすいなどが出たときは、早めに受診するのがおすすめです

1. まず受診:整形外科へ

歩くと足がしびれる、休むと楽になる、という症状があるときは、整形外科を受診するのがおすすめです。同じような症状は、足の血管の病気(血管性の間欠跛行)でも出るため、診断では区別が大切とされています。

神経への障害は、ひどくなると回復しにくくなるとされています。症状が悪化しないうちに治療を始め、悪化を防ぐことが大切とされています。「年のせい」と我慢せず、早めに診てもらうのがおすすめです。

2. 腰部脊柱管狭窄症とは

背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が、さまざまな原因でせまくなり、お尻から足にかけて、痛みやしびれが出る状態です。代表的な症状は、次のとおりです。

症状どんな様子か
間欠跛行(かんけつはこう)最も代表的な症状です。安静にしているときは症状がない、または軽い方が、ある程度の距離を歩くと、足に痛みやしびれが出て、歩くのが難しくなります。しばらく休むと、また歩けるようになります。進むと、歩ける距離や時間が短くなります。
足の痛み・しびれお尻から足にかけての痛みやしびれ(坐骨神経痛)、冷えるような感じ、焼けるような感じが出ることもあります。
力が入りにくい歩くときに体重を支えにくい、足が上がりにくい、スリッパが脱げやすい、などが出ることがあります。
腰の痛み腰の痛みや、重い・張る感じが出ることもあれば、足の症状だけで、腰痛がまったくないこともあります。
排尿・排便の症状進行すると、肛門のまわりのほてり、尿が漏れやすい・出にくい、などが出ることがあります。

神経の圧迫のされ方で、両足に症状が出るタイプ(馬尾型)、片方の足に出るタイプ(神経根型)、両方が混ざるタイプがあります。画像の検査と症状が合わないときは、追加の検査で原因を調べます。

3. 治療の流れ

手術をしない治療(保存療法)には、薬による治療、リハビリ(運動療法など)、生活の工夫があります。診療ガイドラインでは、運動療法を行うことが提案されています。

運動療法は、手術(神経の圧迫をとる手術)よりは効果が劣るとされていますが、副作用などのリスクが低く、費用の負担も少ないため、重症の場合を除いて、おすすめできる治療とされています。保存療法で改善しないときや、症状が重いときは、手術が検討されることがあります。どの治療が合うかは、症状や画像の検査をみて、医師が決めます。

4. 暮らしの工夫:症状が出にくい姿勢

腰を反らす姿勢では、神経が圧迫されて、症状が出やすくなります。前かがみの姿勢は、症状が出にくい姿勢です。症状が出にくい姿勢をとることで、神経のダメージが悪化するのを防ぐ、という考え方です。

腰を反らして立つ高齢の女性と、押し車に手を置いて前かがみで立つ女性を、横から描いた図。それぞれの腰の拡大図で、反らした姿勢では神経の通り道がせまくなって神経が押され、前かがみでは通り道にゆとりができている
腰を反らすと神経の通り道がせまくなり、前かがみだとゆとりができます(イメージ図)

靴は、足元がぶれにくいものを選ぶと、歩くときの安心が増えます(記事「高齢の方の靴の選び方」)。

「どこまで歩けるか」は、いつもの道のりで伝える

受診のときに、「歩くと足がしびれます」だけでなく、どこまで歩くと休みたくなるかが伝わると、症状の様子がわかりやすくなります。「何メートル」と測らなくても、ふだんの道のりで十分です。

記録の表のようなものを作る必要はありません。「前より短くなった気がする」と気づいたときに、ノートやスマホのメモにひとこと残しておくと、受診のときに、いつごろからかを思い出しやすくなります。歩ける距離が急に短くなったときは、早めの受診を考える症状にあたります。

診察室で、高齢の女性が医師に向かって、歩ける距離を手ぶりで伝えている図。隣では娘がノートに書き留めている
「どこまで歩くと休みたくなるか」は、ふだんの道のりの言葉で伝えれば十分です

いつもの道のりに、休める場所を決めておく

「休むと楽になる」という特徴は、休める場所があれば、外出や買い物を続けやすくなるということでもあります。無理をして一気に歩くよりも、途中で座れる場所をあらかじめ決めておくのがおすすめです。

休む場所は、ご本人の「ここなら座りやすい」という感覚が大切です。ご家族は、一緒に歩きながら探してみるのがおすすめです。

歩道の木の下のベンチで、高齢の女性が手押し車を脇に置いて休み、娘が水筒を渡している図。道の先にスーパーが見える
道のりの途中にベンチがあると、休みながら買い物に行けます
家の廊下で、高齢の男性が壁の手すりに手を添えて、途中に置いたいすに座って休んでいる図。左に介護ベッド、右の奥にトイレのドアがある
家の中でも、寝室からトイレまでの途中にいすがあると、休みながら行けます

5. 運動は、専門家の指導のもとで

筋力の低下を防ぐために、ある程度の運動は有効とされています。診療ガイドラインでは、専門家の指導のもとで行う運動療法は、自分で行うトレーニングよりも、痛みの軽減や、体の機能、日常生活動作、生活の質の改善に有効とされています。最適な運動の種類は、まだ明らかになっていません。

「安静にしていれば治る」と思って、動かない時間が増えると、筋力が落ちて、かえって歩きにくくなることがあります。休むことと、動くことの、ちょうどよい配分を、医師やリハビリ職と一緒に探していくのがおすすめです。

6. 早めの受診を考える症状

様子を見ずに、受診するのがおすすめなとき
  • 足に力が入りにくくなった、足が上がらず、つまずきやすくなったとき
  • 尿が出にくい・漏れやすい、肛門のまわりのほてり、など、排尿・排便の症状が出たとき
  • 歩ける距離が、急に短くなったとき、安静にしていても症状が出るようになったとき

7. 家族ができる関わり

よくある質問

歩くと足がしびれて、休むと楽になります。何科に行けばよいですか

整形外科を受診するのがおすすめです。このような症状は、腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状(間欠跛行)ですが、足の血管の病気でも似た症状が出るため、診断では区別が重要とされています。

腰を反らすと、痛いのはなぜですか

腰部脊柱管狭窄症では、腰を反らす姿勢で、神経の通り道がさらにせまくなり、神経が圧迫されて、症状が出やすくなるとされています。反対に、前かがみになると、症状が出にくくなります。

運動は、したほうがよいですか

診療ガイドラインでは、運動療法を行うことが提案されています。専門家の指導のもとで行う運動は、自分で行うトレーニングよりも、痛みの軽減や、体の機能、日常生活動作の改善に有効とされています。一方で、最適な運動の種類は、まだ明らかになっていません。症状が出ない範囲で行い、痛みを我慢して長く歩くなどの無理は、神経に負担がかかるため、避けたほうがよいとされています。

杖や押し車を使うと、よいのですか

外出のときに、杖や押し車(シルバーカー)を使うと、症状が出にくい前かがみの姿勢で歩きやすくなるとされています。選び方は、杖と歩行器の記事で紹介しています。

自転車なら、楽に乗れるのはなぜですか

自転車をこぐ姿勢は、腰が曲がり、症状が出にくい姿勢とされています。遠くへ行くときや、買い物には、自転車を使うとよいとされています。ただし、ふらつきがある方や、交通の状況によっては、安全を優先して、医師やリハビリ職に相談するのがおすすめです。

重い荷物は、どう持てばよいですか

重い荷物は、体の近くで持つと、体をそらさずに持てるとされています。買い物は、少量ずつにしたり、宅配を使ったりするのも1つの方法です。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。診断や治療は、医師が、症状や検査の結果をみて決めます。運動や歩き方は、ご本人の状態によって合うものが違います。迷うときは、かかりつけの医師や、担当のリハビリ職に相談するのがおすすめです。