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布団のままか、ベッドにするか立ち上がりやすさと、介護する人の負担で考える選び方

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年9月17日/最終確認日:2026年9月17日

長年、畳の部屋で布団を敷いて寝てきた方が、退院をきっかけに「ベッドにしたほうがいいですよ」と言われることがあります。一方で、「部屋が狭い」「本人が布団がいいと言う」「ベッドから落ちないか心配」と迷うご家族も多いです。

この記事では、布団とベッドの違い、ベッドが合いやすい場合と布団を続けやすい場合、布団のまま暮らす工夫と床からの立ち上がり方、介護保険でのベッドや手すりの借り方をまとめました。

この記事のポイント
  • ベッドは、立ち上がりが楽で、介護する人の腰の負担も軽い。布団は、高いところから落ちる心配がなく、慣れた暮らしを続けやすい
  • 床から立ち上がるのに何かにつかまらないと難しい、夜中のトイレが多い、介助が必要な場合は、ベッドを検討するのがおすすめ
  • 股関節の手術のあとは、深くしゃがむ姿勢を避けるため、ベッドをすすめられることが多い
  • 布団を続けるなら、床からの立ち上がり用の置き型手すり(介護保険のレンタルで要支援1から)が役立つ
  • 介護ベッドのレンタルは、原則要介護2から

1. 布団とベッドの違い

背中の部分が少し起き上がり、頭側にサイドレールが付いた電動の介護ベッドの図
介護ベッド(特殊寝台)。背中を起こしたり、高さを変えたりできます
布団ベッド
立ち上がり床から立つため、脚の力と、体を大きく動かす動作が必要腰かけた姿勢から立てるので楽。高さを合わせられるとさらに楽
起き上がり手をつく場所が低く、起き上がりにくい介護ベッドは背中を起こせる。介助バーにつかまれる
落ちる心配高いところから落ちる心配がないベッドから落ちることがある。柵のすき間の事故にも注意
介護する人床に近い位置での介助になり、腰に負担がかかりやすい介護ベッドは高さを上げて介助でき、腰の負担が軽い
部屋たたんで部屋を広く使える置いたままになり、場所をとる

2. ベッドが合いやすい場合

布団とベッドのどちらが合うかは、ご本人を実際に見ているリハビリの専門職の意見を優先するのがおすすめです。入院中なら、病院のリハビリ職員に、家での寝起きの方法について相談しておくと安心です。
夜の寝室で、ベッドのすぐ横に置いた木製のポータブルトイレと、ベッドの端に腰かけて一息ついている高齢の女性の図
夜中のトイレ。ベッドなら、端に座って少し落ち着いてから立ち上がれます

脚の骨折や、股関節・膝の手術のあと

股関節の人工関節の手術のあとは、手術の方法によって、股関節を深く曲げる姿勢(深くしゃがむ、床に座るなど)を避けるよう言われることがあります。布団からの寝起きはこの姿勢になりやすいため、ベッドにすることをすすめられることが多いです。膝の手術や、脚の骨折のあとも、膝を深く曲げる動作や、片脚に体重をかける動作が難しい時期は、ベッドのほうが寝起きしやすくなります。避けたほうがよい姿勢は手術によって違うため、主治医やリハビリの専門職に確かめておきます。

片方の手足に麻痺がある場合

麻痺があると、床から立ち上がるときに使える手足が片側に限られ、動作が難しくなります。ベッドにする場合は、麻痺のない側から降りられる向きに置くのが基本です(記事「介護ベッドの置き場所と、介助バーを付ける側」)。

3. 布団を続けやすい場合

理学療法士の視点から 「今は布団から立てるから大丈夫」と思っていても、入院中は体力が落ちていて、退院直後は思っていたより立ち上がりにくいことがよくあります。また、昼間に一度立てることと、夜中に寝ぼけた状態で毎回安全に立てることは違います。迷う場合は、退院直後はベッドを借りて始め、体の状態が落ち着いてから布団に戻すかを考える、という方法もあります。レンタルなら、不要になったときに返せます。

4. 布団のまま暮らす工夫と、床からの立ち上がり方

布団のまま暮らす工夫

床に置いた広い土台から2本の支柱が立ち、上に横向きの握りが付いた据置型手すりの図
床に置く手すり(据置型)。土台を布団の横に置いて、立ち上がるときにつかまります

床からの立ち上がり方(一般的な方法)

畳の上の布団の手前に、布団と並行に置いた床置きの手すり。高齢の女性が布団に片膝をつき、もう片方の足を手すりの土台に乗せて、こちらを向いて両手で横向きの握りをつかみ、立ち上がろうとしている図
布団と並行に置いた床置きの手すり。手すりに正面から向き合い、片膝立ちから両手で押して立ち上がります
  1. 横向きになり、下になった側の肘と手をついて、上半身を起こします。
  2. 両手と両膝を床について、四つばいの姿勢になります。
  3. 手すりや、しっかりした台に両手を移し、片方の膝を立てます(片膝立ち)。
  4. 手すりや台を押しながら、立てた脚に体重を乗せて、ゆっくり立ち上がります。

片膝を立てるときは、力の入る脚(片麻痺では麻痺のない側、痛みのある方は痛みのない側)を前に出すと立ちやすくなります。どの順番がやりやすいかは体の状態によって違うため、リハビリの専門職と一緒に練習しておくのがおすすめです。

床に座り込んで自分で立てなくなったときに、家族が両腕を持って真上に引っ張り上げるのは、ご本人の肩を痛めたり、介護する人が腰を痛めたりする原因になります。けがや痛みがないかを確かめ、無理に立たせようとせず、立ち上がり方を知っている人に助けを求めることを優先します。頭を打った、強い痛みがある場合は、救急の相談を考えます。

5. ベッドにするときの選び方

介護ベッドの端に腰かけた高齢の女性を横から見た図。足の裏がかかとまで床についている
ベッドの高さの目安。端に座ったときに、かかとまで床につく高さです
介護ベッドの端に浅く腰かけた高齢の女性を横から見た図。足をひざより後ろに引き、上体を前に傾けて、介助バーにつかまって立ち上がろうとしている
介助バーを使った立ち上がり。浅く腰かけ、足を後ろに引いて、おじぎをするように上体を前へ傾けると立ち上がりやすくなります

ベッドの置き場所や、介助バーを付ける側、柵のすき間の事故の防ぎ方は、記事「介護ベッドの置き場所と、介助バーを付ける側」でくわしくまとめています。

6. 介護保険の使い方

関連ツール 住宅改修と福祉用具の費用 寝起きや立ち上がりなど、困っている場面から、介護ベッドや手すりのレンタルの自己負担の目安がわかります。

7. よくある質問

本人がベッドを嫌がります。どうすればよいですか?

嫌がる理由がどこにあるかで、対応が変わります。「介護される人になったようで嫌だ」という気持ちの問題か、「落ちそうで怖い」という不安か、「畳の部屋を洋室にしたくない」という住まいへのこだわりか、で打つ手が違います。
落ちるのが怖い場合は、低くできるベッドや、マットレスを床に近づける置き方で解決できることがあります。まずは理由を聞いてみて、無理に切り替えず、日中だけ使ってみるといった段階的な方法も検討できます。

ベッドにすると、脚が弱くなりませんか?

床からの立ち上がりは、確かに脚とお尻の力を使う動作です。ただし、立ち上がれずに一日中座ったままになったり、転ぶのが怖くて動かなくなったりするほうが、活動量は減ります。
ベッドにして動きやすくなった分、トイレや台所へ行く回数が増えるなら、全体としては動く量が増えます。床からの立ち上がりを続けたい場合は、リハビリの時間や、決まった場面だけに残すという方法もあります。

布団のままで、立ち上がりやすくする方法はありますか?

床に置いて使う手すり(据置型の手すり)を布団のそばに置くと、手をついて立ち上がりやすくなります。介護保険のレンタルの対象で、自己負担は1〜3割です。
また、布団を二つ折りにして高さを出す、そばに安定した椅子を置いて手をつく、といった方法もあります。立ち上がり方そのものも、横向きになってから四つばいを経て立つ手順を確かめておくと、楽に起きられることがあります。

ベッドと布団では、寝心地はどう違いますか?

マットレスの硬さによるところが大きく、ベッドだから寝心地が悪いということはありません。介護ベッド用のマットレスにも、硬めのもの、体圧を分散するもの、床ずれを防ぐための空気が入るものなど種類があります。
柔らかすぎるマットレスは、体が沈んで寝返りや起き上がりがしにくくなります。動きやすさを優先するなら、少し硬めを選ぶことが多いです。レンタルなら交換できるので、使ってみて合わなければ相談できます。

ベッドを置くと部屋が狭くなります。

ベッド本体の大きさだけでなく、降りる側に人が立てるすき間が必要です。この分を含めて置けるかを先に確かめます。
幅の狭いタイプ(83cm幅など)や、使わないときに背もたれを倒せるものもあります。どうしても場所が足りない場合は、家具の配置そのものを見直すことになるので、家屋調査や福祉用具の相談のときに、部屋の寸法を測って相談するのがおすすめです。

介護保険でベッドを借りるには、どうすればよいですか?

担当のケアマネジャー(まだ担当がいない方は地域包括支援センター)に相談します。ケアプランに位置づけたうえで、福祉用具貸与事業所と契約する流れです。
介護ベッド(特殊寝台)は原則として要介護2以上が対象で、要支援・要介護1の方でも体の状態によっては例外として認められることがあります。自己負担は1〜3割です。マットレスや介助バーなどの付属品も、ベッドとあわせて借りられます。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な考え方をまとめたものです。布団とベッドのどちらが合うか、どんな方法で寝起きするかは、ご本人の体の状態や家の環境によって変わります。