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ポータブルトイレの置き場所と選び方ベッドとの位置・高さ、夜のトイレで転ばない工夫

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年9月16日/最終確認日:2026年9月23日

「夜中のトイレが心配」「トイレまで間に合わない」というときに役立つのが、部屋の中に置けるポータブルトイレです。一方で、置き場所や高さが合っていないと、立ち座りや向きを変えるときにふらついて、かえって転びやすくなることもあります。

この記事では、ベッドとの位置関係を中心に、置き方の工夫、種類と値段の目安、夜のトイレを安全にする工夫、立ち座りを介助するときのポイント、介護保険で買う流れと注意点をまとめました。

この記事のポイント
  • 排泄はトイレでするのが基本。トイレまで行くのが難しい時間や場面で使う(夜だけ使う方も多い)
  • 置き場所は、ベッドの降りる側で、基本はベッドのすぐ横に寄せて置く(動作が安定してくれば、少し離すこともある)
  • 片麻痺の方は麻痺のない側、骨折や脚の痛みがある方は痛くない脚の側へ回って座れる位置が基本。ただしリハビリの専門職の指導が最優先
  • 高さは、座ってかかとまで床につくくらい。立ち上がるときに足を後ろに引ける形のものが立ちやすい
  • 夜は、足元の明かりと、起きてすぐに立たないことを大切に
  • 値段はプラスチック製・金属製で2万円前後から、木製(家具調)で3万〜8万円ほどが目安
  • 介護保険では購入になる。年度ごとに10万円まで、指定を受けた事業者で買う(通信販売は対象外とされることがある)

1. ポータブルトイレを使う場面

排泄は、できるだけトイレでするのが基本です。トイレまで安全に歩いて行ける方は、トイレを使い続けるほうが、歩く機会や生活のリズムを保ちやすくなります。

ポータブルトイレが役に立つのは、次のような場面です。

「日中はトイレ、夜だけポータブルトイレ」というように、時間帯で使い分ける方も多いです。

理学療法士の視点から 退院直後は、夜だけポータブルトイレを使い、慣れてきたらトイレに戻す、という進め方もよくあります。一方で、置いてあると、歩ける日でもつい使ってしまい、歩く機会が減ってしまうこともあります。「どの時間帯に使うか」をご本人・ご家族・専門職で決めておき、体の状態がよくなってきたら、使う場面を減らしていけるとよいと思います。

2. 置き場所(ベッドとの位置)

寝室を上から見た図。左の壁に寄せたベッドの、降りる側のすぐ横にポータブルトイレを寄せて置いている。ポータブルトイレの背もたれは足元側にあり、座る向きはベッドの頭側を向いている。ベッドの頭側の側面には、外側へ開いたL字の介助バーが付いている
ポータブルトイレの置き方の例(上から見た図)。基本は、ベッドの側面にくっつけるように寄せて置きます

ポータブルトイレは、主にベッドの横に置いて使います。置き場所の考え方は次のとおりです。

ここで紹介したのは一般的な基本の考え方です。リハビリの時期や目指している動き方によっては、あえて別の向きで練習することもあります。担当のリハビリの専門職から乗り移り方を教わっている場合は、その指導を何よりも優先します。

介助バーの位置、ベッドの向き、部屋の広さによって、置ける場所は変わります。ご本人が実際に立って向きを変えて座る動きを、リハビリの専門職や福祉用具専門相談員に見てもらって決めるのがおすすめです。家具の配置を考えるときは、かんたん間取り図メーカーで、ベッドとポータブルトイレの位置を描いて試すこともできます。

3. 置き方の工夫(高さ・固定)

肘掛けの付いた木製(家具調)のポータブルトイレに腰かけた高齢の女性を横から見た図。両手を肘掛けに置き、上体を前に傾けて立ち上がろうとしている
立ち上がるときは、肘掛けに手を置き、足を少し後ろに引いて、おじぎをするように上体を前に傾けます

4. 種類と選び方

ポータブルトイレを3つ並べた図。左は白いプラスチック製、中央は木製の家具調、右は金属パイプの枠に便座が付いた高さ調節できるもの
ポータブルトイレの種類。左からプラスチック製、木製(家具調)、金属製(パイプの枠)

プラスチック製

軽くて持ち運びやすく、丸洗いしやすいのが特長です。値段も比較的手ごろです。一方で、軽いぶん、体重をかけると動きやすいことがあります。

向いている方:立ち座りが比較的安定している方、夜だけなど使う時間が短い方

木製(家具調)

重さがあって安定しやすく、ふたを閉めると椅子のように見えるため、部屋になじみます。肘掛けがはね上がるものは、横から乗り移りやすくなります。重いぶん、移動や掃除には手間がかかります。

向いている方:立ち座りのときに体重を預けやすいものがほしい方、居間など人目のある部屋に置く方

金属製(パイプの枠のもの)

パイプ椅子のような形で、軽くて動かしやすく、脚の高さを細かく調節しやすいのが特長です。折りたためるものもあり、使わないときは片付けられます。枠だけの形なので、掃除もしやすくなっています。

向いている方:使うときだけ出して、片付けておきたい方、置く場所が限られている方

高さ調節、肘掛けのはね上げ、背もたれの有無は、素材にかかわらず、製品によって違います。素材だけで決めず、必要な機能が付いているかを確かめるのがおすすめです。

あると助かる機能

機能が増えるほど値段は上がります。介護保険の補助は年度で10万円までなので、必要な機能をしぼって選ぶのがおすすめです。

5. 夜のトイレを安全にする工夫

夜の寝室で、ベッドのすぐ横に置いた木製のポータブルトイレと、ベッドの端に腰かけて一息ついている高齢の女性。壁ぎわの小さなセンサーライトが足元を照らしている
夜の場面。足元を照らす小さな明かりを用意し、起きてすぐ立たずに、ベッドの端に座って少し落ち着いてから立ちます

眠る前に飲む薬によっては、夜中にふらつきやすくなることがあります。夜中のふらつきが気になるときは、医師や薬剤師に相談しておくと安心です。

6. 立ち座りを介助するときのポイント

ご家族が横で手を貸す場合は、次のような点に気をつけると、お互いに安全で、体への負担も少なくなります。

ベッドから立ち上がって向きを変える動きの詳しい手順は、記事「ベッドから車いすへの乗り移り(移乗)介助のポイント」でまとめています。ポータブルトイレへの乗り移りにも、同じ考え方が使えます。

介助のしかたは、ご本人の体の状態によって変わります。担当のリハビリの専門職から手順を教わっている場合は、その指導を何よりも優先します。

7. においと後片付け

ポータブルトイレを使うと、バケツの片付けが毎日の仕事になります。無理なく続けられる方法を、はじめに決めておくのがおすすめです。

ご家族だけでの後片付けが難しい場合は、選ぶ前にケアマネジャーに相談しておくと、ホームヘルパー(訪問介護)の手伝いも含めて考えてもらえます。

8. 値段の目安と、介護保険で買う流れ

ポータブルトイレは、直接肌に触れて使うため、介護保険ではレンタルではなく購入(特定福祉用具販売)の対象です。

値段の目安

介護保険を使うと、自己負担は1〜3割です。たとえば3万円のものを自己負担1割で買うと、3千円ほどになります。介護保険の枠は年度で10万円までなので、必要な機能をしぼって選ぶのがおすすめです。

相談から購入までの流れ

  1. 担当のケアマネジャー(要支援の方や、まだ担当がいない方は地域包括支援センター)に相談します。
  2. 福祉用具専門相談員に、部屋の広さ、ベッドの高さ、立ち座りの様子、後片付けをする方の都合を伝えて、合うものを選びます。実物を見られるお店もあります。
  3. 都道府県などの指定を受けた事業者から購入します。
  4. 市区町村へ支給の申請をします。いったん全額を支払い、あとから自己負担分を除いた額が戻るのが基本です(市区町村によっては、はじめから自己負担分だけを支払う方法もあります)。

気をつけたいこと

買う前に、担当のケアマネジャー(要支援の方や、まだ担当がいない方は地域包括支援センター)に相談するところから始めるのがおすすめです。それぞれの役割は、記事「地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違い」でまとめています。

9. よくある質問

ポータブルトイレは、介護保険でレンタルできますか?

できません。直接肌に触れて使うものなので、介護保険では購入(特定福祉用具販売)の対象になります。年度ごとに購入費10万円までが対象で、自己負担は1〜3割です。

値段はどれくらいですか?

プラスチック製や金属製で2万円前後から、木製(家具調)で3万〜8万円ほどが目安です。温水で洗う機能やラップ式などが付くと、10万円を超えるものもあります。自己負担1割の方なら、3万円のもので3千円ほどになります。

インターネットの通販で買っても、介護保険の対象になりますか?

対象にならないとしている市区町村があります。福祉用具専門相談員の助言を受けて選ぶことが前提になっているためです。取り扱いは市区町村によって違うので、買う前にケアマネジャーや市区町村に確認しておくのがおすすめです。

認定の結果が出る前に買っても大丈夫ですか?

認定の申請中に買った場合は、要支援・要介護のいずれかに認定されれば対象になります。ただし、非該当となったときは全額自己負担になります。急ぎでなければ、認定の結果を待つか、ケアマネジャーに相談してから決めると安心です。

においが気になります。どうすればよいですか?

バケツに少し水や消臭剤を入れておく、固まる薬剤の入った処理袋を使う、ふたを閉めておく、こまめに片付ける、といった方法があります。においを抑えるふたや消臭の機能が付いた製品もあります。それでも気になるときは、部屋の換気や、置く位置(ベッドの頭側から少し離す)も合わせて見直します。

使わなくなったら、どう片付けますか?

体の状態がよくなって使わなくなった場合は、お住まいの市区町村のごみの区分にしたがって処分します(多くは粗大ごみです)。買ったお店で引き取りを行っていることもあるため、まず相談してみるのがおすすめです。しばらく様子を見たい時期は、ふたを閉めていすとして置いておく方もいます。

関連ツール 住宅改修と福祉用具の費用 トイレで困っている場面から、手すりの工事や福祉用具の自己負担の目安がわかります。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な考え方をまとめたものです。実際の置き場所や選ぶ種類は、ご本人の体の状態や部屋の広さによって変わります。