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浴室の住宅改修|介護保険で対象になる工事・ならない工事お風呂で転びやすいとき。手すり・滑りにくい床・段差・扉の工事と、福祉用具との使い分け

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月23日/最終確認日:2026年10月23日

お風呂で転びそうになる、浴槽の出入りが怖い、というご本人とご家族、ケアマネジャーに向けて書きました。浴室の工事のうち、介護保険の住宅改修の対象になるものと、福祉用具の購入や貸与になるものを分けて整理します。手すりの位置や、入浴用品の選び方は「お風呂の手すりと入浴用品の選び方」に、住宅改修全体の対象工事は「住宅改修の対象になる工事と、ならない工事」にまとめています。この記事は、その浴室の部分です。

この記事のポイント
  • 浴室で住宅改修の対象になるのは、手すりの取付け、滑りにくい床材への変更、床のかさ上げ(段差の解消)、扉の取替え(折れ戸・引き戸など)と、それらに付帯する工事です
  • 置くだけの「すのこ」は住宅改修ではなく、福祉用具の購入(入浴補助用具)です。シャワーチェア、浴槽台、浴槽につける手すりも、購入の対象です
  • 浴槽の交換や、ユニットバス全体の入れ替えは、対象の6種類の工事に挙げられていません。工事の前に、ケアマネジャーや市区町村の窓口に確認するのがおすすめです
  • 住宅改修は、工事の前に申請します。支給の限度額は1人20万円までで、自己負担は1〜3割(所得に応じて)です
  • 浴室は濡れて滑りやすく、手すりの下地も必要な場所です。見積もりの前に、リハビリ職やケアマネジャーに、実際の動きを見てもらうと安心です
  • 手すりの形は、立ち座りが目的ならL字型から検討するのがおすすめです。冬は脱衣所と浴室を暖めることも、あわせて考えます

1. 浴室の工事を考えるとき

浴室は、濡れて滑りやすく、裸で、足元が不安定になる場所です。転びやすい場面は、洗い場での立ち座り、浴槽をまたぐとき、浴室の出入口の段差、狭い浴室での向きを変えるときなど、いくつかあります。どの場面で困っているかによって、必要なものが変わります。

工事の前に、まず次の順番で考えるのがおすすめです。

  1. どの場面で困るかを、本人と一緒に確かめます(立ち座り・またぎ・出入口・着替え)。
  2. 置くだけの用具で解決できないかを見ます(シャワーチェア、浴槽台、すのこ、滑り止めマット)。これらは、工事をしなくても、購入や貸与で使えます。
  3. 工事が要るもの(手すり、床材、床のかさ上げ、扉)を、住宅改修として考えます。

手すりをどこから付けるか、浴槽のまたぎ方は、本人の体の動きで変わります。実際の動きを、リハビリ職やケアマネジャーに見てもらって決めると、付けたあとに合わない、という失敗を減らせます。

2. 手すりの取付け

手すりの取付けは、住宅改修の6種類の工事の1つです。浴室は、廊下、便所、玄関、玄関から道路までの通路などと並んで、手すりの取付け場所として挙げられています。転倒の予防、移動や乗り移りの動作の助けになることを目的に付けるものです。手すりの形に決まった型はなく、使う方の動きに合わせて、合うものを選びます。浴室でよく使われる形は、次の3つです。

浴室で、高齢の女性が洗い場のシャワーチェアに座り、浴槽の脇の壁に付いたL字型手すりの縦の部分をにぎって立ち上がろうとしている図。横で理学療法士が、手を添えずに動きを見守っている

3. 脱衣所から浴室までの移動と、寒さ

工事とは別に、脱衣所から浴室までの流れも、あわせて見ておくのがおすすめです。脱衣所は、立ったまま服を脱ぐ、向きを変える、濡れた足で浴室の段差をまたぐ、と、ふらつきやすい動きが続く場所です。

脱衣所で、高齢の男性が壁ぎわの腰かけに座り、足元のマットに足をのせて、シャツのボタンを外している図。壁には、腰かけの横から浴室の入口に向かって手すりが続き、足元には小型のヒーターがある

冬は、脱衣所や浴室の寒さも気をつけたい点です。高齢の方の入浴中の事故は、11月から4月の冬の時期を中心に多く起きています。暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移り、熱いお湯につかると、血圧が大きく変動して体調を崩しやすいとされています。

消費者庁が呼びかけている注意点
  1. 入浴前に、脱衣所や浴室を暖める
  2. お湯の温度は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にする
  3. 浴槽から急に立ち上がらない
  4. 食後すぐの入浴や、飲酒後、薬を飲んだあとの入浴は避ける
  5. 入浴する前に、同居しているご家族に一声かけておく

浴室暖房の取付けは、住宅改修の6種類の工事には挙げられていません。浴槽のふたを開けておく、シャワーでお湯を張る、小型の暖房を置く、といった方法でも暖められます。くわしくは「お風呂の手すりと入浴用品の選び方」の「寒さによる事故を防ぐ」を見てください。

4. 滑りにくい床材に替える

浴室の床を、滑りにくいものに変える工事は、「滑りの防止や移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更」の例として挙げられています。居室の畳を板張りやビニール系の床材に替える工事と同じ種類の工事です。床材を変えるための下地の補修や根太の補強も、付帯して必要な工事に含まれます。

床の状態によっては、置くだけの滑り止めマットで足りる場合もあります。工事と用具のどちらで解決するかは、浴室の状態を見て、事業者やリハビリ職と相談するのがおすすめです。

5. 段差を減らす:床のかさ上げ

浴室の出入口の段差や、洗い場と脱衣所の段差は、つまずきやすい場所です。段差の解消は、居室、廊下、便所、浴室、玄関などの各室の間の床の段差を解消する工事で、浴室の床のかさ上げが、具体例として挙げられています。かさ上げに伴う給排水設備の工事も、付帯して必要な工事に含まれます。

方法介護保険での扱い
浴室の床を、工事でかさ上げする住宅改修(段差の解消)の対象です。
置くだけの「浴室内すのこ」住宅改修からは除かれ、福祉用具の購入(入浴補助用具)の対象です。
置くだけのスロープ住宅改修からは除かれ、福祉用具の貸与の対象です。

すのこは、安く、あとから外せる一方で、浴槽のまたぎ高さが変わる、水はけを考える、といった点があります。工事でかさ上げする場合は、排水の位置や、浴槽の高さとの関係があるため、事前に見積もりと図面で確かめます。

6. 扉の取替え:折れ戸・引き戸

浴室の扉が、開き戸で、杖や介助のときに引っかかる場合などに、引き戸、折れ戸(折戸)、アコーディオンカーテンなどへ取り替える工事が、対象になります。扉全体の取替えのほか、扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含まれます。扉の取替えに伴う、壁や柱の改修工事も、付帯する工事です。

引き戸にあわせて自動ドアにする場合は、自動ドアの動力部分は対象外です。扉の考え方は「ドアを引き戸に替える工事」にくわしくまとめています。

7. 対象にならないもの、福祉用具との使い分け

住宅改修の対象は、手すりの取付け、段差の解消、床材の変更、扉の取替え、便器の取替え、それらに付帯して必要な工事の6種類です。浴槽の交換や、ユニットバス全体の入れ替えは、この中に挙げられていません。

浴室で、住宅改修ではなく、福祉用具の購入(入浴補助用具)になるものは、次のとおりです。

これらは、介護保険では、レンタルではなく購入です。購入費の限度額や自己負担は、「お風呂の手すりと入浴用品の選び方」にまとめています。なお、浴室などに固定して人を持ち上げる機器は、扱いが別になるため、ケアマネジャーに確認します。

8. 申請の流れ

  1. ケアマネジャーに相談する:浴室のどこで困っているか、どの工事を考えるかを伝えます。
  2. 事業者に見積もりを頼む:浴室の写真と、見取り図(寸法)を用意します。
  3. 理由書を作る:なぜその工事が必要かを、ケアマネジャーなどが書きます。
  4. 工事の前に、市区町村へ申請する:申請書、理由書、見積書、図面、写真などを出します。
  5. 承認のあと、工事を行い、工事後に、写真や領収書で完了を報告して、支給を受けます。

書類の書き方は「住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方」、写真の撮り方は「住宅改修の写真の撮り方」にあります。工事を先に済ませてしまうと、対象にならないことがあります。申請は、工事の前です。支給の限度額は、浴室以外の場所の工事も合わせて1人20万円までで、自己負担は1〜3割です(20万円の工事なら、保険給付は通常18万円)。上限まで使う必要はなく、必要な工事だけを選びます。

よくある質問

浴室の手すりを付ける工事は、介護保険の対象ですか

対象になります。手すりの取付けは、住宅改修の6種類の工事の1つで、廊下、便所、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などが挙げられています。手すりの形は、使う方の動きに合わせて選びます。手すりを付けるための壁の下地補強も、付帯する工事として含まれます。

浴室の床を、滑りにくいものに替える工事は、対象ですか

対象になります。浴室では、床材を滑りにくいものに変える工事が、「滑りの防止や移動の円滑化のための床の材料の変更」の例として挙げられています。床材を変えるための下地の補修も、付帯する工事に含まれます。

すのこを置くのは、住宅改修ですか

住宅改修ではありません。浴室の床の段差をなくすために置く浴室内すのこは、住宅改修の「段差の解消」からは除かれ、福祉用具の購入(入浴補助用具)の対象とされています。工事で、浴室の床そのものをかさ上げする場合は、住宅改修の対象になります。

シャワーチェアや浴槽台は、住宅改修ですか

住宅改修ではありません。入浴用いす、浴槽用手すり、浴槽内いす、入浴台などは、福祉用具の購入(入浴補助用具)の対象とされています。購入の限度額や自己負担は、お風呂の手すりと入浴用品の記事にまとめています。

浴槽の交換や、ユニットバスへの入れ替えは、対象ですか

住宅改修の対象は、手すり、段差の解消、床材の変更、扉の取替え、便器の取替え、それらに付帯する工事の6種類で、浴槽の交換や、ユニットバス全体の入れ替えは、その中に挙げられていません。浴槽の取替えを含む工事を考えるときは、対象になる部分があるかどうかを、工事の前に、ケアマネジャーや市区町村の窓口に確認するのがおすすめです。

浴室の折れ戸を、引き戸に替えるのは対象ですか

対象になります。開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテンなどに取り替える、扉全体の取替えのほか、扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置も含まれます。

工事は、いつ申請しますか

住宅改修は、工事の前に申請(事前申請)が必要です。工事を先に済ませてしまうと、対象にならないことがあります。支給の限度額は、1人20万円までで、自己負担は1〜3割(所得に応じて)です。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。対象になるかどうかは、工事の内容と、ご本人の状況をもとに、市区町村が判断します。細かい扱いは、市区町村によって違います。工事の前に、担当のケアマネジャーや、お住まいの市区町村の窓口で、最新の内容を確認するのがおすすめです。