やまねこのリハビリ・介護手帖理学療法士がひもとく、家族の安心と現場の実践ツール

家屋調査の間取り図の書き方何を測り、どう描けば伝わるか(無料ツールの使い方つき)

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年9月21日/最終確認日:2026年9月21日

退院前の家屋調査や、住宅改修・福祉用具の相談では、家の間取り図(見取り図)を描く場面があります。ところが「どこまで正確に描けばよいのか」「何を書き込めば伝わるのか」は、教わる機会が少ないところです。

この記事では、間取り図に何を測り、何を書き込み、どの順番で描くかをまとめました。手書きでも描けますし、当サイトの無料ツールでも作れます。

対象:理学療法士・作業療法士などのリハビリ職、ケアマネジャー、福祉用具・住宅改修の担当の方、実習や課題に取り組む養成校の学生。ご家族が、相談のために家の様子を伝えたいときにも使えます。

この記事のポイント
  • 目的は「工事の図面」ではなく、動線と、危ない場所が伝わること
  • まず測るのは、出入口の幅・廊下の幅・段差の高さ・トイレと浴室の内寸・ベッド周り
  • 描く順番は、外形 → 部屋 → 出入口 → 段差と手すり → 家具と福祉用具 → 動線
  • 縮尺を合わせることより、測った数字を図に書き込むほうが役に立つ
  • 写真と組み合わせると、伝わり方が大きく変わる

1. 何のために描く図か

家屋調査で描く間取り図は、工事のための図面ではありません。次の3つが伝わればじゅうぶんです。

読む人は、本人・家族・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員・工事の担当者などです。その場にいなかった人が見て、家の中を歩けるかを基準にすると、描く内容が決まります。家屋調査そのものの流れは、記事「退院前の家屋調査とは?」でまとめています。

平屋の間取り図の例。寝室のベッド、廊下、トイレ、洗面所、浴室、居間のソファ、台所、玄関が上から見た図で描かれている
間取り図の例。部屋のつながりと、家具・設備の位置が分かれば十分です

2. まず測る5か所と、測り方

すべてを測る必要はありません。動作や福祉用具に直結する、次の5か所を優先します。

  1. 出入口の幅:戸を開けた状態の、実際に通れる幅(有効幅)を測ります。引き戸は、開いたときに戸が残る分を引きます。車いすや歩行器が通るかの判断に使います。
  2. 廊下の幅:手すりを付けると、その分だけ狭くなります。曲がり角では、回れるかどうかも見ます。
  3. 段差の高さ:玄関の上がり框、敷居、浴室の出入口、勝手口。上の面から下の面までを測ります。
  4. トイレ・浴室の内寸:便器の前と横の空きが、介助する人の立つ場所になります。浴槽は、縁の高さと深さも測ります。
  5. ベッド周り:ベッドの長い辺の空き、車いすを置く側の空き、介助バーを付ける側。記事「介護ベッドの置き場所と介助バーを付ける側」の内容と合わせて決めます。

数字はcmでそろえ、測った場所に直接書き込みます。「78」とだけ書くより「出入口78cm」と書くほうが、あとで見返したときに迷いません。

自宅の玄関で、リハビリ職員がメジャーを当てて上がりかまちの段差の高さを測り、家族がメモを取っている図
段差は、上の面から下の面までを測ります。写真も一緒に撮っておくと、あとで確認しやすくなります

3. 描く順番

  1. 外形:家全体の四角を、おおまかに描きます。方眼紙なら、1マスを45cm(半間)や91cm(1間)と決めておくと早いです。
  2. 部屋:居間、寝室、台所、トイレ、浴室、玄関、廊下を区切ります。部屋名を先に書きます。
  3. 出入口:開き戸、引き戸、戸のない出入口を描き分けます。開き戸は、どちら側に開くかまで描くと、介助の立ち位置が決まります。
  4. 段差と手すり:段差は高さの数字つきで、手すりは付いている位置に線を引きます。「これから付けたい手すり」は、色や点線を変えて描くと分かりやすくなります。
  5. 家具と福祉用具:ベッド、いす、テーブル、車いす、ポータブルトイレ、歩行器。実物に近い大きさで置くと、通れるかどうかが見えてきます。
  6. 動線:寝る場所からトイレ、玄関までを矢印でつなぎます。夜のトイレなど、場面ごとに分けて描くと伝わります。

2階建てで、階段を使う予定があるときは、1階と2階を並べて描き、階段の位置を上下でそろえます。

4. 書き込むと伝わるもの

手すりを付ける高さなど、数字の目安は記事「手すりの高さの決め方」にまとめています。

5. よくある失敗

住宅改修の申請に添える見取り図は、求められる書き込み(通し番号、手すりの形と長さ、段差の高さなど)が少し違います。「住宅改修の見取り図の書き方」にまとめています。

6. 手書きか、ツールか

その場で聞き取りながら描くなら、方眼紙と鉛筆がいちばん速いです。一方、報告書に貼るあとで直す複数人で共有する場合は、パソコンで作るほうが手間が減ります。

当サイトの「かんたん間取り図メーカー」は、この用途のために作った無料のツールです。登録は不要で、描いた図はどこにも送信されません。

学会・研修会の発表資料、配布資料、書籍、Webサイト・SNSなどで使うときは、次のように出典を書いてください。

出典:やまねこのリハビリ・介護手帖「かんたん間取り図メーカー」(https://yamaneko-family.com/madori)

ただし、養成校の課題や臨床実習のレポート、病院からご家族へお渡しする報告書などに使うときは、出典を書く必要はありません。

関連ツール かんたん間取り図メーカー マウスで部屋を描いて、福祉用具・手すり・段差・動線を置くだけ。無料・登録不要で、図は送信されません。

7. よくある質問

手書きの間取り図でも大丈夫ですか?

大丈夫です。伝えたいのは、部屋のつながり・段差・動線です。手書きでも、数字とメモが入っていれば十分に役に立ちます。報告書に残す、あとから直すといった場面では、パソコンで作るほうが手間が減ります。

寸法はどこまで正確に測ればよいですか?

1cm単位で十分です。判断に直結するのは、出入口の幅、廊下の幅、段差の高さ、トイレと浴室の内寸です。ミリ単位の精度が必要になるのは、工事の見積もりの段階で、そこは工事の担当者が測り直します。

写真だけではだめですか?

写真は、その場所の様子を伝えるのが得意です。一方、部屋のつながりや動線は、写真だけでは伝わりにくくなります。間取り図に番号を振り、その番号の写真を並べると、両方の良さが生きます。

家族が、家屋調査の前に間取り図を用意する必要はありますか?

基本的には必要ありません。当日、病院の職員が実際に見て判断します。事前に相談したいときや、家屋調査を希望しないときは、間取り図や写真があると話が進めやすくなります。

図に個人情報を書いてもよいですか?

氏名や住所は、図そのものには書かないほうが安全です。共有する相手が増えるほど、持ち出される場面も増えます。記録として必要な場合は、別の用紙や、報告書の表紙側に書く方法があります。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な進め方をまとめたものです。書式や必要な項目は、病院や事業所によって決まりがある場合があります。