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家屋調査のチェックリスト場所ごとの見る点と、調査のあとに決まること・記録の書き方

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月1日/最終確認日:2026年10月1日

入院中のご家族が自宅へ戻るときに、家屋調査(退院前訪問指導)が行われることがあります。退院の前に、リハビリ職などが自宅を訪ねて、動き方や環境を確認する訪問のことです。

この記事では、調査でどんな場所を、どんな点から見るのかを、場所ごとのチェックリストにしました。あわせて、調査のあとに何が決まるのか、記録には何が書かれるのかをまとめています。当日の流れは、別の記事「退院前の家屋調査|当日の流れと家族の準備」で紹介しています。

家屋調査を行うかどうか、誰が行くかは、病院の体制やご本人の状態によって違います。この記事は、現場でよく確認する点をまとめた一般的な内容として読んでください。

この記事のポイント
  • 家屋調査は、退院後の暮らしに合わせて、動き方・道具・改修を一緒に考える機会。気になることや希望を伝えてよい
  • リハビリ職のほか、ケアマネジャーなどが同席することもある。行うかどうかや回数は、病院の体制で違うので、まず病院に相談してよい
  • 玄関・屋外、家の中の移動、トイレ、浴室、寝室を、動線と段差を中心に確認する。測るのは専門職なので、家族が事前に測る必要はない
  • 調査のあとは、福祉用具・住宅改修・介助の方法を話し合う。決めたことは最終ではなく、退院後に見直すこともある
  • 記録には、写真・図面、本人の動き方、困りごと、提案、医学的な注意点がまとまる
  • 手すりの位置や高さ、ベッドの置き方など動作に関わることは、リハビリ専門職の指導が最優先

1. 家屋調査では、何を見ているのか

「家の中を厳しくチェックされるのでは」と、不安に感じるご家族もいます。けれども、調査の目的は、ご本人が退院後の在宅生活をスムーズに始められるように、自宅の状況を知ることです。

病院の病棟と自宅では、床の素材も、段差も、物の配置も違います。そのため、ご本人の今の動きに合わせて、どんな工夫があれば暮らしやすくなるかを、専門職が実際の家で確認します。

ご家族にとっても、退院に向けた不安や気になることを、その場で相談できる機会になります。家が狭い、古い、段差が多い、といった場合でも、まずは今の状態をそのまま見てもらい、気になることを伝えるのがおすすめです。

2. 誰が来て、何を決める場か

訪問する人

訪問するのは、基本的に、リハビリを担当している理学療法士・作業療法士です。あわせて、退院後のサービスを調整するケアマネジャーと、手すりなどの福祉用具や住宅改修の担当者が加わることがあります。必要に応じて、看護師、訪問看護師、ホームヘルパーが同席することもあります。同席者は、退院後の連絡調整や申し送りにも関わります。

誰が来るかは、病院によって違います。日程が決まったら、病院のスタッフに聞いておくと安心です。

居間に集まった5人。ダイニングチェアに座る高齢の女性に、紺のポロシャツの理学療法士が目線を合わせて話しかけている。後ろに、書類ばさみを持つケアマネジャー、手すりの見本を持つ福祉用具の担当者、ご家族の女性が立っている
家屋調査には、リハビリの担当者のほか、ケアマネジャーや福祉用具の担当者が加わることがあります

ケアマネジャーが所属する窓口は、地域包括支援センターと居宅介護支援の違いが参考になります。関係する職種が集まって話し合う場については、退院前カンファレンスで確認したいことで紹介しています。

対象になる方と、相談のしかた

おもな対象は、入院が長くなる見込みで、退院して自宅に戻る方です。行うかどうかや、行く時期、誰がどのくらいの人数で訪問するかは、病院の体制やご本人の状態で決まります。

当てはまるかわからない場合や、当日ご家族が立ち会えない場合も、まず病院に相談してよいものです。訪問の日時は、ご本人・ご家族と相談して決めるとされています。

3. 場所ごとのチェックリスト

家屋調査では、生活の動線を順番にたどりながら確認します。次のチェックリストは、現場でよく確認する点をまとめたものです。測るのは専門職なので、ご家族が事前に測っておく必要はありません。

手すりの位置や高さ、ベッドの置き方や寝る向きなど、動作に関わる方法は、ご本人の状態で最適なものが変わります。一つのやり方に決めつけず、リハビリ専門職の指導を最優先にして決めるのがおすすめです。

玄関・屋外

家の中の移動(床・段差)

トイレ

浴室・脱衣所

浴室で、理学療法士が浴槽のふちに巻き尺をあてて高さを確かめている。洗い場には背もたれ付きの入浴用いすが置かれ、浴室の入り口でご家族がノートに書き留めている
浴槽のふちの高さや、入浴用いすを置く場所を、巻き尺で確かめます

寝室・ベッドのまわり

畳の寝室で、介護用ベッドのふちに足を床につけて腰かけた男性の前で、理学療法士が片ひざをついて、床からマットレスまでの高さを巻き尺で確かめている。ご家族がノートを持って見守っている
ベッドのふちに座った姿勢で、ベッドの高さを確かめます。座ったときに足のうらが床につくかも、見るポイントです
理学療法士の視点から

玄関だけでなく、家の中にも段差が多いお宅は、少なくありません。段差が多いと聞くと不安になるご家族も多いのですが、段差の数だけで、退院できるかどうかが決まるわけではありません。段差の高さと、ご本人の動き方を見ながら、手すりや福祉用具、動き方の工夫を一緒に考えていきます。気になる段差があれば、調査のときにそのまま伝えてみるのがおすすめです。

もう一つ、現場でよく出会うのが、調査のときに想定した福祉用具(レンタル品)が、家で暮らし始めてみると使いにくい、という場面です。病院にいるときの動きと、自宅で暮らし始めてからの動きは、同じとは限りません。そのときは、ケアマネジャーや訪問リハビリが、用具を変更することもあります。調査で決めたことが最終ではないので、「使いにくいな」と感じたときは、遠慮せずケアマネジャーに伝えるのがおすすめです。

4. 調査のあとに決まること

調査のあとは、安全に暮らすための具体的な内容を話し合います。主に、福祉用具の貸与・購入、住宅改修(家の工事)、介助の方法の3つです。ご本人に合わせて、ベッド、車いす、ポータブルトイレ、入浴用いすなどの道具について助言があります。

調査のあと、居間のテーブルで、手描きの間取り図と写真を見ながら話し合っている。理学療法士が間取り図を指さし、ご本人が写真を手にして笑顔で聞き、ケアマネジャーとご家族が見守っている
調査のあとは、間取り図や写真を見ながら、福祉用具や改修の内容を話し合います

住宅改修と、貸与から始める考え方

介護保険の住宅改修の対象は、国の告示で、次の6種類とされています。

支給の限度額は、1人あたり20万円で、自己負担は1〜3割です。20万円は上限であり、使い切ることが前提のものではありません。

作業療法士の団体の案内には、在宅に戻った初期は、住宅改修を最小限にして、貸与のサービスを優先する考え方が紹介されています。病気が進む可能性や、暮らし方の変化も考えて、計画を立てるためとされています。

住宅改修は、工事の前に申請(事前申請)が必要です(書類と図面・写真の書き方は、住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方にまとめています)。賃貸住宅の場合は、所有者の承諾書と賃貸契約書の写しが必要です。はじめから「できない」と決めず、まず専門職やケアマネジャーに相談するのがおすすめです。手すりについては、トイレの手すりの付け方と手すりの高さの決め方でも紹介しています。

関連ツール 住宅改修と福祉用具の費用 提案された住宅改修や福祉用具の、自己負担の目安がわかります。

決めたことは、退院後に見直せる

調査のときは、福祉用具のレンタル品を想定して退院を迎えることが多くなります。家で暮らし始めてから、「使いにくい」「別の用具のほうがよさそう」と分かったときは、ケアマネジャーや訪問リハビリの職員が、退院後に見直すことがあります。調査で決めたことが、最終的な答えとは限りません。

5. 記録には何を書くか

調査が終わると、専門職が記録をまとめます。病院の診療録(カルテ)には、ご本人やご家族に行った指導の内容の要点が書かれます。

記録にまとめられるのは、主に次のような内容です。

リハビリ職やケアマネジャーの方へ。どこを測って、どう図面にするかは、家屋調査の間取り図の書き方にまとめています。図面づくりには、下のツールも使えます。

関連ツール 家屋調査の記録シート この記事の確認項目を、場所ごとにチェックして記録できます。A4で印刷・PDF保存もできます。 関連ツール かんたん間取り図メーカー 家屋調査の図を、ブラウザ上で描いて、画像として保存できます。

6. 家族ができる関わり

家屋調査のために、ご家族が特別な準備をする必要はありません。ご家族にしかわからないことを、負担にならない範囲で伝えていただけると、話し合いが進みやすくなります。

ご本人の好きなことや役割は、取り上げるのではなく、安全に続けられる工夫を専門職に相談するのがおすすめです。段差の多い家や、タイルの浴室など、難しそうに見える環境でも、その中でできる方法を一緒に探すことができます。まずは、気になっていることをそのまま伝えてみることをおすすめします。

よくある質問

家屋調査には、誰が来ますか

基本的に、リハビリを担当している理学療法士・作業療法士が訪問します。
あわせて、ケアマネジャーや、福祉用具・住宅改修の担当者が加わることがあります。必要に応じて、看護師、訪問看護師、ホームヘルパーが同席することもあります。病院によって違うので、病院のスタッフに聞いておくと安心です。

家族が立ち会えないときは、どうなりますか

訪問の日時は、ご本人・ご家族と相談して決めるとされています。
日程が合わない場合や、立ち会えない場合も、まず病院のスタッフに相談してよいものです。対応は病院の体制で違います。

調査の日に、手すりなどの工事をしてもらえますか

介護保険の住宅改修は、工事の前に申請(事前申請)が必要です。調査の日に工事を行うものではありません。
調査で提案された内容をもとに、ケアマネジャーと相談しながら、申請の準備を進めます。

賃貸の家でも、住宅改修はできますか

賃貸住宅の場合は、所有者の承諾書と賃貸契約書の写しが必要とされています。
できるかどうかを、はじめから決めずに、ケアマネジャーや専門職に相談するのがおすすめです。

調査で決めた福祉用具が、家で使いにくかったらどうなりますか

退院後に、ケアマネジャーや訪問リハビリの職員が状況を確認して、用具を変更することがあります。
「使いにくい」と感じたときは、遠慮せずにケアマネジャーに伝えるのがおすすめです。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。制度や費用は、変わることがあります。最新の情報は、受診している病院、担当のケアマネジャー、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。