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家屋調査の報告書の書き方ケアマネジャー・事業者・ご家族に伝わる、項目と書き方

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月4日/最終確認日:2026年10月4日

この記事は、家屋調査の報告書を書く、リハビリ職(理学療法士・作業療法士)や看護師の方に向けて書きました。報告書を受け取る、ケアマネジャーやご家族にも、何が書かれているかの参考になります。

家屋調査の報告書は、測った記録ではなく、退院してからの暮らしを、ほかの人に引き継ぐための書類です。誰が読んで、何に使うのかを先に決めておくと、載せる項目と書き方が、自然に決まります。当日に見る点は「家屋調査のチェックリスト」、間取り図は「家屋調査の間取り図の書き方」にまとめています。

この記事のポイント
  • 報告書を主に読むのはケアマネジャー。そのほか、福祉用具の事業者、施工業者、ご家族が読む。ケアプランや、住宅改修の理由書、用具の手配に使われる
  • 載せる項目は、場所ごとの写真、寸法、動作、提案(福祉用具・住宅改修など)、間取り図など。書式は、病院によって違う
  • 寸法は、提案の根拠としても使い、提案と結びつけて書く。測った数字が並んでいるだけでは、何に使うのか、読む人に伝わりにくい
  • 場所ごとだけでなく、家に帰ってからの1日の流れで書くと、生活が伝わる
  • 提案は、どこに・何を・どの高さや長さで・なぜを書き、優先順位をつける
  • 専門職から見た安全だけでなく、ご本人の性格や生活リズムに合うか、暮らしの邪魔にならないかを確かめる

1. 報告書は、誰が読んで、何に使うか

報告書を主に読むのは、ケアマネジャーです。そのほかに、福祉用具の事業者や施工業者、ご家族が読みます。読む人ごとに、報告書から知りたいことが違います。

家屋調査の報告書を読む人と、使い方 家屋調査の報告書を読む人と、使い方。ケアマネジャーは、ケアプラン、住宅改修の理由書、福祉用具の手配に使う。福祉用具の事業者は、どの用具をどこに置くかを知る。施工業者は、どこに何をどの高さで工事するかを知る。ご家族は、家で何が変わるか、何を準備するかを知る。 家屋調査の 報告書 ケアマネジャー(主に読む人) ケアプラン、住宅改修の理由書、福祉用具の手配 福祉用具の事業者 どの用具を、どこに置くか 施工業者 どこに・何を、どの高さで工事するか ご家族 家で何が変わるか、何を準備するか 家屋調査の報告書を読む人と、使い方(スマートフォン用) 家屋調査の報告書を読む人と、使い方。ケアマネジャーは、ケアプラン、住宅改修の理由書、福祉用具の手配に使う。福祉用具の事業者は、どの用具をどこに置くかを知る。施工業者は、どこに何をどの高さで工事するかを知る。ご家族は、家で何が変わるか、何を準備するかを知る。 家屋調査の報告書 ケアマネジャー(主に読む人) ケアプラン、住宅改修の理由書 福祉用具の手配 福祉用具の事業者 どの用具を、どこに置くか 施工業者 どこに・何を どの高さで工事するか ご家族 家で何が変わるか 何を準備するか
報告書は、読む人ごとに、使われ方が違います

病院の中では、退院前訪問指導として行った場合、指導や指示の内容の要点を、診療録(カルテ)などに記載することになっています。点数や回数、家屋調査のあいだの時間の扱いは、退院前訪問指導料の算定と、家屋調査の時間にまとめています。カルテの記録と、外に渡す報告書は、読む人が違います。外に渡す報告書は、医療の専門職ではない人が読んでも分かることを前提に書きます。

2. 報告書に載せる項目

報告書の書式は、病院によって違います。よく入るのは、次の項目です。

項目書くこと
写真場所ごとに。玄関、廊下、トイレ、浴室、寝室など、ご本人が使う場所。手すりを付ける壁や、段差の場所が分かるように撮る
寸法段差の高さ、便座や浴槽の高さ、通路やドアの幅など。提案の根拠としても使う
動作その場所で、ご本人がどう動けたか、どこで手助けが要ったか。自分でできたこと、見守りが要ること、介助が要ること
提案福祉用具(レンタル・購入)、住宅改修、家具の配置、介助の方法。優先順位もつける
間取り図部屋のつながりと、動線、提案した場所の印
意向ご本人とご家族の希望、まだ決まっていないこと
自宅の寝室で、リハビリ職員が、ベッドの高さを巻き尺で測っている。ベッドの端には高齢の女性が座り、もう1人の職員が写真を撮ってノートに記録している
家屋調査では、場所ごとに、写真と寸法を記録します

病院によっては、入院中に、ご家族に調査票(住宅の状況、場所ごとのドアの形や段差など)と、見取り図や写真を出してもらい、調査の前に情報を集めているところもあります。前もってふだんの生活や、ご本人・ご家族の意向を聞いておくと、当日に見る場所が絞れ、報告書にも生かせます。

写真の撮り方や、図面の考え方は、住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方も参考になります。

写真に、手すりの位置や寸法を書き込んで、A4の写真貼付シートにするときは、無料の「住宅改修の写真書き込みシート」が使えます。

3. 慣れないうちに、起こりやすいこと

家屋調査の報告書は、項目がそろっていても、読む人に使ってもらえないことがあります。慣れないうちに起こりやすいのは、次のようなことです。

測った数字が、使われていない

測れるところを全部測って、数字を並べたものの、その数字が、何の提案に使われたかが書かれていない。読む人は、どの数字を見ればよいか分かりません。

直し方:測った数字は、提案の根拠としても使い、提案の文の中で結びつけます。数字と、動作と、提案をつなげて書きます(4章の例)。

家に帰ってからの生活が、伝わらない

場所ごとの記録はあるのに、朝起きてから寝るまで、ご本人が家でどう過ごすのかが見えない。ケアマネジャーは、生活の流れが分からないと、どの時間に、どんな手助けを入れればよいか、考えにくくなります。

直し方:場所ごとの記録とは別に、1日の流れ(起きる→トイレ→着替え→食事→日中→入浴→寝る)に沿って、どこで何が難しく、何を使えばできるかを、短くまとめます。

家に帰ってからの1日の流れで書く例 家に帰ってからの1日の流れに沿った書き方の例。起きる、トイレ、着替え、食事、日中、入浴、寝るの順に、どこで何が難しいかと、使えるものを短く書く。例として、起きるでは、ベッドから起き上がるのが難しく、介助バーとベッドの高さが使える。トイレでは、夜に暗い廊下を歩くのが難しく、足元の照明と手すりが使える。ご本人に合わせて書く。 1日の流れで書く例(ご本人に合わせて書きます) 場面 難しいこと(例) 使えるもの(例) 1 起きる ベッドから起き上がる 介助バー、ベッドの高さ 2 トイレ 夜、暗い廊下を歩く 足元の照明、手すり 3 着替え 立ったままズボンをはく 座れるいす 4 食事 食卓までの移動 いすの高さ、歩行器 5 日中 居間での立ち座り 手すり、いすの高さ 6 入浴 浴槽をまたぐ 手すり、入浴用いす 7 寝る 夜のトイレの回数 ポータブルトイレ 家に帰ってからの1日の流れで書く例(スマートフォン用) 家に帰ってからの1日の流れに沿った書き方の例。起きる、トイレ、着替え、食事、日中、入浴、寝るの順に、どこで何が難しいかと、使えるものを短く書く。例として、起きるでは、ベッドから起き上がるのが難しく、介助バーとベッドの高さが使える。トイレでは、夜に暗い廊下を歩くのが難しく、足元の照明と手すりが使える。ご本人に合わせて書く。 1日の流れで書く例 (ご本人に合わせて書きます) 1 起きる 難しい:ベッドから起き上がる 使える:介助バー、ベッドの高さ 2 トイレ 難しい:夜、暗い廊下を歩く 使える:足元の照明、手すり 3 着替え 難しい:立ったままズボンをはく 使える:座れるいす 4 食事 難しい:食卓までの移動 使える:いすの高さ、歩行器 5 日中 難しい:居間での立ち座り 使える:手すり、いすの高さ 6 入浴 難しい:浴槽をまたぐ 使える:手すり、入浴用いす 7 寝る 難しい:夜のトイレの回数 使える:ポータブルトイレ
1日の流れに沿って、場面ごとに「難しいこと」と「使えるもの」を短く書きます

提案が、本人の暮らしに合っていない

安全を考えるほど、専門職の側の希望を詰め込みすぎてしまうことがあります。その結果、ご本人の性格や生活リズムに合わない、手すりや用具が通り道をふさいで、かえって暮らしの邪魔になる、ということが起こります。使われない用具や、外されてしまう手すりにもなります。

直し方:提案ごとに、ご本人とご家族が、その形で暮らしたいかを確かめます。毎日の動きで本当に使うか、家族の動線をふさがないか、ご本人が受け入れられるかも、あわせて考えます。やめてもらう前提ではなく、今の暮らしを続けるための工夫として提案します。

4. 伝わる書き方のコツ

提案の書き方を、トイレを例に比べると、次のようになります。

伝わりにくい書き方と、伝わる書き方の比較(トイレの例) トイレの記録の書き方の比較。伝わりにくい書き方は、「トイレ:手すり設置。便座高さ40cm、トイレ幅80cm、ドア幅70cm」と数字を並べただけで、何に使う数字か分からない。伝わる書き方は、見たこと(高さ40cmの便座から立つとき、前にふらつき、壁に手をついている)、提案(便器の先端から25cm前の横の壁に、長さ80cmの縦の手すり)、理由(ひとりで立ち座りし、夜もトイレに行けるようにするため)、優先(退院までに必要)を、分けて書く。数字は説明のための例。 伝わりにくい書き方 トイレ:手すり設置 便座高さ 40cm トイレ幅 80cm ドア幅 70cm 数字が並んでいるだけで、 何に使うか分からない 伝わる書き方 見たこと 便座(高さ40cm)から立つとき、 前にふらつき、壁に手をついている 提案 便器の先端から25cm前の横の壁に、 縦の手すり(長さ80cm) 理由 ひとりで立ち座りし、 夜もトイレに行けるようにするため 優先 退院までに必要 伝わりにくい書き方と、伝わる書き方の比較(トイレの例・スマートフォン用) トイレの記録の書き方の比較。伝わりにくい書き方は、「トイレ:手すり設置。便座高さ40cm、トイレ幅80cm、ドア幅70cm」と数字を並べただけで、何に使う数字か分からない。伝わる書き方は、見たこと(高さ40cmの便座から立つとき、前にふらつき、壁に手をついている)、提案(便器の先端から25cm前の横の壁に、長さ80cmの縦の手すり)、理由(ひとりで立ち座りし、夜もトイレに行けるようにするため)、優先(退院までに必要)を、分けて書く。数字は説明のための例。 伝わりにくい書き方 トイレ:手すり設置 便座高さ 40cm トイレ幅 80cm ドア幅 70cm 数字が並んでいるだけで、 何に使うか分からない 伝わる書き方 見たこと 便座(高さ40cm)から 立つとき、前にふらつき、 壁に手をついている 提案 便器の先端から25cm前の 横の壁に、縦の手すり (長さ80cm) 理由 ひとりで立ち座りし、 夜もトイレに行ける ようにするため 優先 退院までに必要
トイレを例にした、書き方の比べ方

数字は、説明のための例です。手すりの高さや位置の考え方は、トイレの手すりの高さと位置、手すりの高さの決め方にまとめています。

5. ケアマネジャーが使う形を意識する

報告書を受け取ったケアマネジャーは、主に次のことに使います。それぞれに必要な材料が、報告書にあると、手配が進みやすくなります。

病院の面談室で、理学療法士が、テーブルの上の報告書を指しながら、ケアマネジャーと、同席する女性に説明している
報告書は、見せながら説明すると、伝わりやすくなります

住宅改修の理由書

住宅改修の申請では、住宅改修が必要な理由書を出します。国の通知では、ご本人の心身の状況、日常生活の動線、住宅の状況、福祉用具の導入状況などをふまえて、工事の種類と、それを選んだ理由を書くものとされています。報告書に、どの動作が、なぜ難しく、改修で何ができるようになるかが書かれていれば、理由書の材料になります。くわしくは、住宅改修の申請書類と、図面・写真の書き方をご覧ください。

福祉用具の手配

要支援1・2と要介護1の方は、車いす、特殊寝台(ベッド)、床ずれ防止用具、体位変換器などの貸与が、原則、介護保険の対象外です。日常的に起き上がりや寝返りが難しい方などは、例外にあたる場合があり、その判断には、認定調査の結果や、医師の所見、サービス担当者会議などでの話し合いが使われます。起き上がりや寝返り、歩行の様子を、具体的に書いておくと、話し合いの材料の一つになります。

要介護度が決まっていないときは、介護保険の申請の流れの「結果を待つあいだ」もご覧ください。

6. 記録シートと間取り図を使う

場所ごとのチェックと写真、ご本人の動き、ご家族の困りごと・希望、提案のまとめは、下のツールで記録できます。間取り図も、ブラウザで描いて、画像として保存できます。

関連ツール 家屋調査の記録シート 場所ごとのチェック、写真、動作、提案のまとめを記録して、A4で印刷・PDF保存できます。 関連ツール かんたん間取り図メーカー 家屋調査の間取り図を、ブラウザ上で描いて、画像として保存できます。

よくある質問

家屋調査の報告書は、誰に渡しますか

主に、ケアマネジャーに渡します。そのほか、福祉用具の事業者や施工業者、ご家族が読むことがあります。
病院の中では、退院前訪問指導として行った場合、指導や指示の内容の要点を、診療録(カルテ)などに記載します。

報告書には、どんな項目を書けばよいですか

書式は病院によって違いますが、場所ごとの写真、寸法、その場所での動作、提案(福祉用具・住宅改修・家具の配置・介助の方法)、間取り図、ご本人とご家族の意向が、よく入る項目です。

測った寸法は、どう書けばよいですか

測った寸法は、提案の根拠としても使い、提案の文の中で結びつけて書くのがおすすめです。数字が並んでいるだけでは、何に使う数字なのか、読む人に伝わりにくくなります。

決まった書式はありますか

報告書そのものに、国が決めた書式はありません。退院前訪問指導では、指導や指示の内容の要点を診療録などに記載することになっています。住宅改修の申請に使う理由書には、国の標準様式があります。

報告書は、いつまでに渡せばよいですか

決まった期限はありませんが、住宅改修は工事の前に市区町村への申請が要り、福祉用具の手配にも時間がかかります。まとめたら、早めにケアマネジャーに渡すのがおすすめです。

出典・参考にした資料

報告書の書式や項目は、病院や地域によって違います。この記事は一般的な内容です。所属する施設の書式や決まり、受け取る側のケアマネジャーとの取り決めを優先するのがおすすめです。