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退院先の介護施設の種類特養・老健・介護医療院・有料老人ホームなどの違いと選び方

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年9月15日/最終確認日:2026年10月21日

迷ったら、まずは病院の相談員へ

入院中に「自宅以外への退院」を考え始めたら、病院の相談室(医療ソーシャルワーカー)に相談するのがおすすめです。ご本人の体の状態や費用の希望に合う施設を、一緒に探してもらえます。すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、ケアマネジャーにも伝えておくと話が進みやすくなります。

退院が近づき、「自宅に帰るのは難しいかもしれない」と言われると、特養・老健・有料老人ホームなど、似た名前の施設がたくさん出てきて戸惑うことがあります。

この記事では、退院先の候補になる施設・住まいの種類と、それぞれの目的、入れる人、費用のしくみ、選ぶときに考える順番をまとめました。

この記事のポイント
  • 介護保険で入る施設は3つ。特養は長く暮らす場所(原則、要介護3以上)、老健はリハビリをして自宅に戻ることを目指す場所、介護医療院は医療的なケアが続く人の長期療養の場所
  • ほかに、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホーム(認知症の人)などの「住まい」がある
  • 選ぶときは「医療的なケアがどのくらい必要か」「自宅に戻ることを目指すか」「費用と場所」の順に考えると整理しやすい
  • 介護保険の施設には、所得などに応じて居住費・食費が軽くなる制度がある

1. 退院先の候補の全体像

自宅以外の退院先は、大きく分けると、介護保険で入る「施設」と、介護の必要な高齢者も暮らせる「住まい」の2つです。

名前どんな所か主に入る人
介護保険の施設
特別養護老人ホーム(特養)介護を受けながら長く暮らす場所原則、要介護3以上
介護老人保健施設(老健)リハビリをして、自宅に戻ることを目指す場所要介護1以上
介護医療院医療的なケアを受けながら長く療養する場所要介護1以上
高齢者向けの住まい
介護付き有料老人ホームホームの職員から介護を受けて暮らす住まいホームごとに決まる(自立の人も入れるホームもある)
住宅型有料老人ホーム生活の支援付きの住まい。介護は外部のサービスを使うホームごとに決まる
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)見守りと生活相談の付いた、バリアフリーの賃貸住宅高齢者(ひとり暮らし・夫婦)
グループホーム認知症の人が少人数で共同生活をする住まい認知症で、要支援2以上

2. 介護保険の施設(特養・老健・介護医療院)

介護保険法で決められた施設で、要介護の認定を受けた人が入ります(要支援1・2の人は入れません)。入るときにまとまったお金(入居一時金)はかかりません。

特別養護老人ホーム(特養)

家族の写真が飾られた居室で、背もたれを起こしたベッドの上で高齢の女性がお茶を飲み、そばに立った介護職員と話している様子
特養は、介護を受けながら長く暮らす場所です

食事や入浴、排せつなどの介護を受けながら、長く暮らす場所です。正式な名前は「介護老人福祉施設」です。

  • 入れる人:原則として要介護3以上。要介護1・2の人は、認知症などで自宅での生活が難しい、やむを得ない事情がある場合に限って入れます(特例入所)。
  • 入る順番:申し込み順ではなく、介護の必要性やご家族の状況などから、入所の必要性が高い人が優先されます。地域によっては、入所まで時間がかかることがあります。
  • リハビリ:機能訓練指導員が1人以上配置されますが、看護職員などが兼ねていることもあり、リハビリ専門職がいるとは限りません。

こんな人の候補に:介護の手が多く必要で、自宅に戻るのが難しく、長く暮らす場所を探している人

介護老人保健施設(老健)

リハビリ室で、高齢の女性が平行棒につかまって歩く練習をし、理学療法士が横から支えている様子
老健では、リハビリを続けながら自宅に戻ることを目指します

医師や看護職員、リハビリ職員がいて、リハビリや必要な医療・介護を受けながら、自宅に戻ることを目指す施設です。病院と自宅の「中間」の施設といわれます。

  • 入れる人:要介護1以上。
  • 入れる期間:自宅に戻ることを目指す施設なので、少なくとも3か月ごとに、自宅で生活できるかどうかを施設で検討することが決められています。上限の日数は法令にはありませんが、長く暮らす場所というより、一定の期間を過ごす場所です。実際の入所期間は施設によって大きく違い、3〜6か月ほどを目安にしている施設が多くあります。
  • リハビリ:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置が決められていて(入所者100人に1人以上)、入所して間もない時期に集中的にリハビリを行う仕組みもあります。

こんな人の候補に:退院の時点では自宅に戻るのが難しいけれど、リハビリを続けて、いずれは自宅に戻りたい人

介護医療院

個室のベッドで休む高齢の女性を、看護師が聴診器でみている様子
介護医療院では、医療的なケアを受けながら療養します

長く療養が必要な人が、医療的なケアと介護を受けながら暮らす施設です。医師や看護職員が多めに配置されています。2018年にできた新しい種類の施設で、以前の介護療養病床の役割を引き継いでいます。

  • 入れる人:要介護1以上。
  • 特徴:たんの吸引や経管栄養(胃ろうなど)といった医療的なケアが続く人も、受け入れていることが多い施設です。

こんな人の候補に:医療的なケアが日常的に必要で、長く療養する場所を探している人

3. 高齢者向けの住まい(有料老人ホーム・サ高住・グループホームなど)

民間の会社や社会福祉法人などが運営する住まいです。家賃や食費などは住まいごとに決まっていて、同じ種類でも費用やサービスの内容に大きな差があります。

有料老人ホーム

ソファのある明るいラウンジで、高齢の女性が歩行器を使って歩き、介護職員が横で付き添っている様子
介護付き有料老人ホームでは、ホームの職員の介護を受けながら暮らします

表示のしかたが国の指針で決められていて、主に次の3種類があります。

  • 介護付き:都道府県などから指定を受けて、ホームの職員が介護を提供します。介護が必要になっても、そのホームで暮らし続けられます。
  • 住宅型:生活の支援などが付いた住まいで、介護が必要になったら、訪問介護などの外部の介護サービスを自分で選んで使います。
  • 健康型:自立した人向けで、介護が必要になると退去しなければなりません。退院先の候補になることは、ほとんどありません。

入居のときに「前払金(入居一時金)」がかかるホームと、月払いだけのホームがあります。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

小さな台所の付いた自分の部屋で過ごす高齢の女性を、職員が玄関から様子を見に訪ねている様子
サ高住は、自分の部屋で暮らしながら、見守りと生活相談を受けられる住まいです

段差のない床や手すりなど、バリアフリーの造りの賃貸住宅です。安否確認と生活相談のサービスが必ず付いていて、日中は介護福祉士や看護師などの専門職が常駐します。

介護が必要なときは、外部の介護サービスを契約して使うのが基本です(一部、介護付き有料老人ホームと同じ指定を受けている住宅もあります)。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

庭の見える家庭的な居間の食卓で、4人の入居者と介護職員が、野菜の皮むきやタオルたたみを一緒にしている様子
グループホームでは、少人数で家事などを一緒にしながら暮らします

認知症の人が、5〜9人の少人数で、介護職員の支えを受けながら共同生活をする住まいです。家事などを一緒に行いながら、なじみの関係の中で暮らします。

  • 入れる人:認知症で、要支援2以上の人。
  • 住所:地域に密着したサービスのため、原則として、そのグループホームがある市区町村に住んでいる人が対象です。

このほか、身の回りのことは自分でできる人が入る「ケアハウス(軽費老人ホーム)」や、市区町村の判断で入所が決まる「養護老人ホーム」もあります。

4. 部屋と設備の違い

部屋の広さや、トイレ・台所があるかどうかは、施設の種類ごとに国の基準(最低限の決まり)があります。主なものをまとめました(広さは、1畳を約1.62㎡として換算した目安です)。

名前部屋トイレ・台所など
特養(従来型)1人部屋が原則。ただし、2〜4人の相部屋の施設もある。1人あたり10.65㎡(約6.5畳)以上トイレと洗面所は、居室のある階ごとに共用。浴室には介助用の特別な浴槽がある
特養(ユニット型)個室。10人ほどのグループ(ユニット)ごとに、共同で使う居間(共同生活室)があるトイレと洗面は、居室ごと、またはユニットごとにある
老健4人以下の相部屋が多い(個室の施設もある)。1人あたり8㎡(約5畳)以上トイレは階ごとに共用。リハビリのための機能訓練室がある
介護医療院4人以下。1人あたり8㎡(約5畳)以上。相部屋は家具などで間仕切りし、プライバシーに配慮する医療的なケアのための設備がある
有料老人ホーム個室。13㎡(約8畳)以上(国の指針。細かな決まりは都道府県ごと)トイレと洗面は、居室にあることが多い(ない場合は階ごとに共用)
サ高住住戸は原則25㎡(約15畳)以上。共用の居間・台所などが十分にある場合は18㎡(約11畳)以上各住戸にトイレと洗面がある。台所・浴室・収納も原則として各住戸にあるが、共用のものがある場合は住戸にないこともある
グループホーム個室。7.43㎡(約4.5畳)以上居間・食堂・台所・浴室は、入居者みんなで使う

これは最低限の決まりなので、実際の広さや設備は施設によって違います。個室か相部屋か、トイレが部屋にあるかどうかで費用(居住費)も変わるので、見学のときに確かめておくと安心です。

5. 費用のしくみ

介護保険の施設(特養・老健・介護医療院)

毎月の費用は、主に次の4つを合わせた金額です。

要介護度・部屋の種類・市区町村を選んで、月の目安を出せる介護施設の費用計算もあります。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムには、特養の相部屋で要介護5・1割負担の場合の例として、合わせて月11万円ほど(施設サービス費の1割 約2.6万円、居住費 約2.7万円、食費 約4.3万円、日常生活費 約1万円)が紹介されています。この例の食費は、2026年8月より前の基準(1日1,445円)での金額です。2026年8月からは、食費の基準の額が1日1,545円(月4.7万円ほど)に上がったため、食費は、この例より月3,000円ほど高くなります。個室を選んだ場合や、2割・3割負担の場合は、これより高くなります。

居住費・食費が軽くなる制度:世帯全員が住民税非課税で、預貯金などが一定以下の人は、市区町村に申請して「負担限度額認定」を受けると、居住費と食費が所得に応じた金額まで軽くなります。金額や条件は見直されることがあり、2026年8月にも一部が変わっています。くわしくは、お住まいの市区町村の介護保険の窓口で確認できます。

老健の一部(「その他型」「療養型」)とⅡ型の介護医療院では、2025年8月から、相部屋(多床室)にも月8,000円ほどの室料の負担が加わりました。負担限度額認定を受けている人などは、この負担はありません。

有料老人ホーム・サ高住など

家賃(または利用料)、管理費、食費などが、住まいごとに決まっています。介護サービスを使った分の自己負担(1〜3割)は、これとは別にかかります。前払金の有無や金額、退去するときの返金の決まりは、契約の前に書面で確認しておくと安心です。

6. 選ぶときに考える順番

候補がたくさんあるときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。

  1. 医療的なケアがどのくらい必要かたんの吸引、経管栄養(胃ろうなど)、インスリン注射、酸素などが必要な場合は、受け入れられる施設が限られます。医療的なケアが多い場合は、介護医療院などが候補になります。受け入れの可否は施設ごとに違うので、病院の相談員に確認してもらうのが確実です。
  2. 自宅に戻ることを目指すかリハビリを続けて、いずれ自宅に戻りたい場合は、老健が候補になります。
  3. 長く暮らす場所として選ぶか長く暮らす場所なら、特養(原則、要介護3以上)、介護付き有料老人ホーム、認知症の場合はグループホームなどが候補になります。
  4. 費用と場所毎月払える金額と、ご家族が通いやすい場所かどうかも、長く続けるうえで大切です。
理学療法士の視点から 回復期リハビリ病棟から老健に移る場合、1日に受けられるリハビリの時間は、病院にいたときより短くなるのが一般的です。そのぶん、食事やトイレ、着替えなど、毎日の生活の動作そのものが大切な練習になります。見学のときは、リハビリの回数や時間だけでなく、「日中どのように過ごしているか」「できることは自分でしてもらう方針か」も聞いてみるのがおすすめです。

見学で確かめたいこと

施設の廊下で、職員が居室を手で示しながら案内し、家族がメモを取っている様子
見学では、居室や設備を実際に見ながら、気になることをその場で聞けます

相談の前に、伝えられるようにしておくこと

病院の相談員やケアマネジャーが次のことを知っていると、候補を挙げたり、申し込みや病院との調整を進めたりしやすくなります。ご家族が自分で見学や申し込みをすることもできますが、どの施設を考えているかを相談員にも伝えておくと安心です。特養の申込書でも、ほぼ同じことを聞かれます(様式は自治体によって違います)。

グループホームや、定員29人以下の小規模な特養・介護付き有料老人ホーム(地域密着型)は、原則として、その施設がある市区町村の住民が対象です。ご家族の近くの施設を考えるなど、いま住んでいる市区町村と違う場所の施設を探すときは、先に市区町村の窓口に確認するのがおすすめです。運用は市区町村によって違います。

7. 相談から入所までの流れ

  1. 病院の相談員やケアマネジャーに相談するご本人の状態、ご家族の希望、費用の目安を伝えて、候補を挙げてもらいます。
  2. 見学するできれば実際に見学して、雰囲気や設備を確かめます。ご家族だけで見学することもできます。
  3. 申し込む施設に申込書を出します。空きが出るまで待つことが多いので、いくつかの施設に並行して申し込んでおくのが一般的です。1か所に入所が決まったら、ほかの申し込み先には連絡して取り下げれば大丈夫です。特養の入所は、申し込み順ではなく、必要性の高い人から決まります。
  4. 面談施設の職員が病院を訪ねて、ご本人の様子を確認したり、病院からの情報を受け取ったりすることが多いです。
  5. 入所日を決める入所が決まったら、病院と施設で退院日・入所日を調整します。

要介護認定をまだ受けていない場合は、先に申請が必要です。相談先や申請の流れは、記事「地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違い」でまとめています。

関連ツール 退院前後の準備カレンダー 退院予定日から逆算して、入院中から退院後までにしておくことを一覧で確認できます。

8. よくある質問

老健には、どのくらいの期間いられますか?

老健は自宅に戻ることを目指す施設で、原則として少なくとも3か月ごとに、自宅で生活できるかどうかを施設で検討(判定)することが決められています。検討の結果、自宅に戻る準備が整えば退所となり、まだ難しい場合は入所を続けることもあります。上限の日数は法令にはなく、3〜6か月ほどを目安にしている施設が多いものの、実際の期間は施設によって大きく違います。入所の前に、その施設での目安や、検討の進め方を確認しておくと安心です。

要介護1・2だと、特養には入れませんか?

原則は要介護3以上ですが、認知症などで自宅での生活が難しいなど、やむを得ない事情がある場合は、要介護1・2でも入れることがあります(特例入所)。認められるかどうかは、施設や市区町村が判断します。

どの施設に申し込めばよいか、わかりません。どうすればよいですか?

申し込み先は、ご本人の希望、体の状態、医療的なケア、介護する人の状況、費用によって変わるため、この記事だけで決めるのは難しいです。第6章の「相談の前に、伝えられるようにしておくこと」の5つをまとめて、病院の相談員かケアマネジャーに伝え、「この状況で申し込める施設と、申し込む順番」を一緒に考えてもらうのがおすすめです。

いくつもの施設に申し込んでも大丈夫ですか?

大丈夫です。すぐに空きが出るとは限らないので、条件に合う施設にいくつか並行して申し込み、順番を待つのが一般的です。1か所に入所が決まったら、ほかの施設には早めに連絡して申し込みを取り下げます(キャンセルしても問題ありません)。地域によっては、特養の申し込みをまとめて受け付ける窓口があるなど、申し込みの方法が決まっていることもあるので、病院の相談員やケアマネジャーに確認しておくと安心です。

入院中に、施設の見学や申し込みはできますか?

できます。ご家族だけで見学・申し込みをすることもできます。入院中から動いておくと、退院までに入所先が決まりやすくなります。病院の相談員に、「施設も考えている」と早めに伝えておくのがおすすめです。

施設に入っても、自宅に戻ることはできますか?

できます。とくに老健は、自宅に戻ることを目指す施設です。自宅に戻る前には、手すりの取り付けや福祉用具の準備が必要になることもあります。自宅の環境の整え方は、記事「退院前の家屋調査とは?」や「手すりの高さの決め方」も参考になります。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な仕組みをまとめたものです。入所の条件や費用、受け入れられる医療的なケアは施設ごとに異なります。