この記事は、家屋調査(退院前の自宅訪問)に関わる、リハビリ職(理学療法士・作業療法士)、看護師、医事の担当の方に向けて書きました。退院前訪問指導料をどう算定するか、家屋調査のあいだの時間を、どの点数に当てられるのかは、現場で迷いやすいところです。
この記事では、令和8年度の診療報酬の告示・通知と、国の疑義解釈の原文をもとに、決まっていることを整理します。文面だけでは判断しきれないところは、そのように書いています。
この記事は、公開されている告示・通知・疑義解釈をまとめたものです。実際の算定は、所属する医療機関の医事の担当や、地方厚生(支)局などに確認してから行ってください。内容は、令和8年度の改定(2026年6月施行)にもとづきます。
- 退院前訪問指導料は580点。1か月を超えて入院が見込まれる方が、家庭に帰るときに、入院中1回。指導した日にかかわらず、退院日に算定する
- 入院後14日以内に早期の訪問をして、最終調整でもう一度訪問した場合は2回。このときは、入院時訪問指導加算は算定できない
- 令和8年度から、回復期リハビリ病棟でも、別に算定できるようになった(これまでは入院料に含まれていた)
- 指導の時間とは別の時間に行った疾患別リハは、別に算定できる(疑義解釈)。ただし、医療機関の外で行える上限単位数(1日3単位など)を超えないこと(単位数の上限の記事)
- 医療機関の外での疾患別リハには、通則で4つの要件がある。家屋調査のときのリハに、そのうちの訓練の種類の要件まで求められるかは、文面でははっきりしないため、算定する前に確認するのがおすすめ
- 指導の時間と、訓練の時間が別であることが分かるように記録しておくと、確認のときに説明しやすい
1. 退院前訪問指導料の決まり
退院前訪問指導料(B007)は、入院中の方の円滑な退院のために、自宅を訪ねて、退院後の在宅での療養上の指導を行ったときの点数です。告示と通知で決まっていることを、まとめます。
| 項目 | 決まっていること |
|---|---|
| 点数 | 580点 |
| 対象 | 継続して1か月を超えて入院すると見込まれる方(入院期間は暦月で計算)。退院して家庭に復帰する方。特別養護老人ホームなど、医師や看護師などが配置されている施設に入所予定の方は対象外 |
| 訪問の時期 | 入院中(外泊時を含む)、または退院日 |
| 指導の内容 | 患者の病状、家屋の構造、介護力などを考えながら、患者やその家族など、退院後に看護に当たる方に、退院後の在宅での療養上必要な指導を行う |
| 回数 | 1回の入院につき1回(2回算定できる場合は2章) |
| 算定する日 | 指導の実施日にかかわらず、退院日 |
| 訪問する人 | 医師の指示を受けた、保健師、看護師、理学療法士、作業療法士など |
| 記録 | 指導または指示の内容の要点を、診療録等に記載する |
| 交通費 | 指導に要した交通費は、患家の負担 |
| 時間 | 告示・通知に、時間の決まりはない |
通知では、ほかに、病院の看護業務などに支障をきたさないよう留意すること、市町村の訪問指導事業などとの連携に配意することも、求められています。
2. 2回算定できるときと、入院時訪問指導加算
2回算定できるとき
原則は1回ですが、次の両方にあたるときに限り、退院日に2回分を算定します。
- 入院後早期(入院後14日以内)に、退院に向けた訪問指導の必要性を認めて、訪問指導を行った
- そのうえで、在宅療養に向けた最終調整を目的として、もう一度、訪問指導を行った
この2回算定をする場合は、リハビリテーション総合計画評価料の入院時訪問指導加算は、算定できません。
入院時訪問指導加算(参考)
入院時訪問指導加算は、リハビリテーション総合計画評価料(H003-2)の加算で、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者が対象です。
| 項目 | 決まっていること |
|---|---|
| 点数 | 150点(入院中1回) |
| 訪問の時期 | 回復期リハビリ病棟への入院日前7日以内、または入院後7日以内(患者の同意を得て) |
| 訪問する人 | 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のうち1名以上(必要に応じて、社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士などと協力) |
| 記録 | 別紙様式42、またはこれに準ずる様式で評価書を作り、その写しを診療録に添付 |
同じ入院で、入院時訪問指導加算と、退院前訪問指導料の2回分の算定を、あわせて行うことはできません。
3. 令和8年度の改定で変わったこと
回復期リハビリ病棟でも、別に算定できるようになった
これまで、退院前訪問指導料は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれていました(包括)。令和8年度の改定で、回復期リハビリテーション病棟入院料などについて、退院前訪問指導料を出来高で算定できることになりました。
回復期リハビリテーション強化体制加算
回復期リハビリテーション病棟入院料1を届け出ている病棟を対象に、回復期リハビリテーション強化体制加算(1日につき80点)が新設されました。施設基準の一つに、直近6か月間に自宅へ退院した患者のうち、1割以上に退院前訪問指導を実施していることがあります(ほかに、リハビリテーション実績指数48以上、排尿自立支援加算の届出など)。
実施割合の数え方について、国の疑義解釈で、次のことが示されています。
- 入院後早期と退院前の2回訪問しても、分子の患者数は1人と数える
- 「自宅」には、サービス付き高齢者向け住宅を含む。一部の施設や、障害福祉サービスの施設などに退院する方は、分子にも分母にも含めない
- 同じ病院のほかの病棟で退院前訪問指導を行ってから、回復期リハビリ病棟に転棟して自宅に退院した方は、分子に含めて計算できる
- 届出の際、退院前訪問指導の実施に係る施設基準は、指導料の算定回数ではなく、実施した実績で届け出る
4. 家屋調査の時間と、疾患別リハビリテーション
家屋調査のあいだに、指導だけでなく、自宅の環境で訓練を行うこともあります。この時間の扱いについて、国の疑義解釈(令和8年5月)で、次のように示されています。
- 自宅を訪問しているあいだ、退院後の在宅での療養上の指導を行った時間とは別の時間に、疾患別リハビリテーションを行った場合は、退院前訪問指導料とは別に、疾患別リハビリテーション料を算定できる。
- ただし、医療機関の外で実施できる疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数を超えないこと。
医療機関の外での疾患別リハビリテーションは、第7部リハビリテーションの通則で、次のように決められています。
- 上限:1日に3単位まで。1日3単位を超えて行う必要がある場合は、1回の入院期間で合計3単位(別表第九の三に掲げる患者は6単位)まで、さらに認められる。
- 往復の時間:訓練の前後の、訓練場所との往復の時間は、リハビリテーションの実施時間に含まない。
- 安全:往復を含め、常に職員が付き添い、必要に応じて、すぐに病院に連絡・搬送できる体制を確保するなど、安全に十分配慮する。
5. 文面だけでは判断しにくいところ
通則では、医療機関の外での疾患別リハビリテーションについて、次の(1)〜(4)をすべて満たす場合に、疾患別リハビリテーションとみなすことができる、とされています。
- その医療機関に入院中の患者に対する訓練であること
- 疾患別リハビリテーション料のいずれかを算定するものであること
- 次のいずれかの訓練であること
- ア:移動の手段の獲得を目的として、道路の横断、エレベーター・エスカレーターの利用、券売機・改札機の利用、バス・電車などへの乗降、自動車の運転など、患者が実際に利用する移動手段を用いた訓練
- イ:特殊な器具・設備を用いる職業への復職の準備が必要な患者に、その器具・設備を用いた、医療機関内で実施できない訓練
- ウ:家事能力の獲得が必要な患者に、店舗での日用品の買い物、居宅での掃除・調理・洗濯など、実際の場面で家事を行う訓練(訓練室の設備ではなく、居宅の設備を用いた訓練を必要とする特段の理由がある場合に限る)
- もっぱらその医療機関の従事者が訓練を行い、保険外の患者負担(公共交通機関の運賃を除く)が発生しないこと
疑義解釈の答えは、「医療機関外で実施できる…算定上限単位数を超えないこと」とだけ述べています。家屋調査のときに行う疾患別リハビリテーションに、上の(3)の訓練の種類の要件まで求められるのかは、文面からは、はっきり読み取れません。
家屋調査のときの疾患別リハビリテーションを算定する場合は、(1)〜(4)の要件をどう当てはめるかを、所属する医療機関の医事の担当や、地方厚生(支)局などに確認してから行うのがおすすめです。
6. 記録で押さえておきたいこと
- 退院前訪問指導:指導または指示の内容の要点を、診療録等に記載します(通知で決まっていること)。
- 時間の区別:指導を行った時間と、疾患別リハビリテーションを行った時間が別であること、往復の時間を含めていないことが分かるように記録しておくと、確認のときに説明しやすくなります(決まりではなく、おすすめです)。
- 入院時訪問指導加算:別紙様式42、またはこれに準ずる様式で評価書を作り、その写しを診療録に添付します。
ケアマネジャーやご家族に渡す報告書の書き方は、家屋調査の報告書の書き方にまとめています。当日に見る点は家屋調査のチェックリストをご覧ください。
よくある質問
退院前訪問指導料は、いつ算定しますか
指導した日にかかわらず、退院日に算定します。
入院後14日以内に早期の訪問をして、最終調整でもう一度訪問した場合は、退院日に2回分を算定します。
回復期リハビリ病棟でも、退院前訪問指導料は算定できますか
令和8年度の改定で、回復期リハビリテーション病棟入院料などについて、退院前訪問指導料を出来高で算定できることになりました。それまでは、入院料に含まれていました。
家屋調査のあいだに行ったリハビリは、疾患別リハビリテーション料として算定できますか
国の疑義解釈(令和8年5月)では、指導を行った時間とは別の時間に行った疾患別リハビリテーションは、退院前訪問指導料とは別に算定できるとされています。ただし、医療機関の外で実施できる上限単位数(1日3単位など)を超えないことが条件です。
医療機関の外でのリハビリには、通則で4つの要件があります。その当てはめは文面だけでは判断しにくいため、算定する前に、医事の担当や地方厚生(支)局などに確認するのがおすすめです。
自宅までの移動の時間も、リハビリの時間に含められますか
含められません。通則で、訓練の前後の、訓練場所との往復に要した時間は、リハビリテーションの実施時間に含まないとされています。
退院前訪問指導の時間に、決まりはありますか
告示と通知には、指導の時間についての決まりはありません。指導または指示の内容の要点を、診療録等に記載することが決められています。
交通費は、誰が負担しますか
退院前訪問指導に要した交通費は、患家の負担とされています。
出典・参考にした資料
- 診療報酬点数表 B007 退院前訪問指導料(令和8年度):告示(580点、入院中1回・早期の必要がある場合は2回、2回算定時の入院時訪問指導加算との関係、交通費)と通知(1)〜(7)、疑義解釈(その6 問14)の掲載。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省保険局医療課 事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その6)」(令和8年5月22日)問14:指導を行った時間とは別の時間に行った疾患別リハビリテーション料の算定と、医療機関外で実施できる算定上限単位数。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省保険局医療課 事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その2)」(令和8年4月1日)問49〜52:回復期リハビリテーション強化体制加算の、退院前訪問指導の実施割合の数え方。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 4. 包括期・慢性期入院医療」:回復期リハビリテーション病棟入院料などで退院前訪問指導料を出来高で算定できることになったこと、2回算定時の入院時訪問指導加算との併算定不可、回復期リハビリテーション強化体制加算(80点)の施設基準。2026年10月確認 リンク
- 医科点数表 第7部 リハビリテーション 通則(令和8年度、保医発0305第6号)6:医療機関外で疾患別リハビリテーションとみなせる要件(1)〜(4)、1日3単位と一連の入院期間での追加の上限、往復時間の扱い、安全への配慮。2026年10月確認 リンク
- 診療報酬点数表 H003-2 リハビリテーション総合計画評価料 注3 入院時訪問指導加算(令和8年度):150点、対象、訪問の時期、職種、評価書。2026年10月確認 リンク
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」:告示・通知・疑義解釈資料の一覧。2026年10月確認 リンク
この記事は一般的な内容で、算定の可否を保証するものではありません。改定や、新たな疑義解釈が出ることがあります。実際の算定は、所属する医療機関の医事の担当や、地方厚生(支)局などに確認してから行ってください。