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介護・リハビリに関わる職種ガイド理学療法士・作業療法士・ケアマネジャーなど、誰に何を相談できるか

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月7日/最終確認日:2026年10月7日

入院や介護が始まると、周りに、たくさんの職種の人が現れます。理学療法士、作業療法士、ケアマネジャー、相談員、福祉用具の相談員…。名前は聞いても、「誰に、何を相談すればよいのか」は、わかりにくいものです。

この記事は、入院・退院や介護の相談を始めたばかりの、ご家族に向けて書きました。職種の決まりを説明するのが目的ではなく、「この困りごとは、この人に聞けばよい」とわかり、相談先に迷わないことをめざしています。法律や厚生労働省の資料をもとに、役割をまとめました。

この記事のポイント
  • まず困りごとから探せる早見表を載せました。職種名を知らなくても、使えます
  • 立つ・歩くは理学療法士、食事・着替え・家事など暮らしの動きは作業療法士、話す・聞く・飲み込むは言語聴覚士が、主に関わります
  • サービスの組み立てはケアマネジャー、申請前の相談は地域包括支援センター、入院中の退院や制度の相談は病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)が、窓口になります
  • 福祉用具は福祉用具専門相談員が、体の状態や住まいを確かめながら、一緒に選びます
  • どの窓口も、ほかの窓口につなぐ役割を持っています。迷ったら、近い窓口にそのまま話すのがおすすめです
  • 相談するときは、「何をしたいか」「何に困っているか」を、具体的に伝えると、専門職が動きやすくなります

1. 困りごとから探す早見表

「この職種だけが担当」と決まっているわけではなく、職種どうしがつないでくれるのが基本です。迷ったときの、最初の入口の目安として使えます。

どこに話せばよいか迷ったときの、入口は3つです。

入口が違っても、必要な窓口を案内してもらえることがほとんどです。

そのほか、困りごと別の目安は、次の表のとおりです。

こんなときは最初に聞く先の例ひとこと
立つ・歩く・起き上がるのが、むずかしそう理学療法士(PT)体の動かし方、介助のしかた、杖や歩行器の相談
食事・着替え・トイレ・家事が、しにくそう作業療法士(OT)暮らしの動きと、道具・やり方の工夫の相談
むせる、飲み込みにくい、話しにくい言語聴覚士(ST)飲み込みや話し方、食事の形や姿勢の相談
介護保険を使いたい、サービスを選びたいケアマネジャー、地域包括支援センター申請の前なら、地域包括支援センターが入口
退院後の行き先、費用、制度、住まいが不安病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)入院中の、退院・転院の相談窓口
ベッドや手すり、車いすを借りたい・買いたい福祉用具専門相談員、ケアマネジャーPT・OTが、動きの面から助言することもあります
家を直したい(段差、手すり、トイレ)ケアマネジャー、PT・OT退院前の家屋調査で、一緒に見ることもあります
薬が多い、食事の量や内容が心配薬剤師、管理栄養士、看護師入院中は病棟で、退院後は薬局や訪問でも相談可

よく使われる呼び方

現場や書類では、短い呼び方がよく使われます。聞き慣れない言葉が出てきたときの、手がかりになります。

職種よく使われる呼び方会える場所の例
理学療法士PT(ピーティー)病院、訪問リハ、通所リハなど
作業療法士OT(オーティー)病院、訪問リハ、通所リハなど
言語聴覚士ST(エスティー)病院、訪問リハ、通所リハなど
上の3職種をまとめてリハビリ職、セラピストどの職種も、会える場所は事業所により異なる
介護支援専門員ケアマネジャー、ケアマネ居宅介護支援事業所、施設など
医療ソーシャルワーカーMSW、相談員、ソーシャルワーカー病院の医療相談室、地域連携室など
地域包括支援センター包括(ほうかつ)お住まいの地域ごとの窓口

2. リハビリの職種:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士

家族にとってのこの3職種の意味は、「どう動けば、その人らしい暮らしが続けやすいか」を、体の状態を見ながら一緒に考えてくれることです。名前の違いは、得意とする場面の違いとして、覚えておくと便利です。

理学療法士(PT)

法律(理学療法士及び作業療法士法)では、主として基本的動作能力の回復を図るため、治療体操などの運動や、電気刺激・温熱などの物理的手段を用いる人とされています。寝返る・起き上がる・立つ・歩くといった、基本の動きに関わります。家族にとっては、介助のしかたや、動きやすい環境(ベッドの高さ、手すりの位置、杖や歩行器)を、体の状態に合わせて相談できる相手です。

作業療法士(OT)

同じ法律で、主として応用的動作能力や社会的適応能力の回復を図るため、手芸や工作などの作業を行う人とされています。食事、着替え、トイレ、入浴、家事、趣味など、暮らしの中の動きと、その人の役割に関わります。道具の使い方や、やり方の工夫を相談できます。

言語聴覚士(ST)

言語聴覚士法では、音声機能、言語機能、聴覚に障害のある方について、機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、必要な検査、助言・指導などを行う人とされています。同じ法律で、医師または歯科医師の指示の下に、嚥下(えんげ:飲み込み)の訓練などを行えるとされています。「話す」「聞く」のほか、飲み込みの相談にも関わります。

理学療法士・作業療法士は、法律では「医師の指示の下に」行うこととされています。リハビリの内容や頻度は、医師の方針や、サービスの種類によって決まります(退院後のリハビリは「訪問リハ・通所リハ」)。「もっと動きを見てほしい」という希望は、医師や担当の療法士、ケアマネジャーに、伝えてかまいません。

理学療法士の視点から 職種による違いを、ご家族が覚えておく必要はありません。困ったことがあれば、なんでも聞いていただいて大丈夫です。リハビリの職種は、ほかの職種と比べて、患者さんと一度に接する時間が長いことが多く、リハビリ以外のことも、よく相談されます。聞かれた内容は、チーム医療として、看護師や相談員など、ほかの専門職に共有して、一緒に考えます。その場で答えられないことも、つなぎ先を探して、お返事します。「こんなことを聞いていいのかな」と思うことほど、気軽にお話しいただけるとうれしいです。

3. 暮らしと制度を支える職種:ケアマネジャー・包括・相談員

家族にとってのこの3つの窓口の意味は、制度やサービスの「道案内」です。自分たちだけで、制度を調べ尽くさなくてよいように、つないでくれます。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

介護保険法では、要介護者や要支援者からの相談に応じ、心身の状況に合ったサービスを利用できるよう、市町村やサービス事業者との連絡調整などを行う人とされています。介護保険を使い始めると、多くの場合、ここが中心の窓口になります。「居宅と包括の違い」の記事で、くわしく説明しています。

自宅の和室で、介護ベッドの端に座る高齢の男性と、そばに立つ娘さんに、ケアマネジャーの女性が書類を見せながら笑顔で話している図
ケアマネジャーは、ご本人とご家族の希望を聞きながら、サービスを一緒に考えます

地域包括支援センター

介護保険法では、地域住民の心身の健康の保持や、生活の安定のために必要な援助を行う施設とされています。厚生労働省の通知では、原則として保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員を置くこととされています。厚生労働省の通知では、高齢者の相談に応じ、必要なサービスや機関、制度の利用につなげる「総合相談支援」が、業務の1つとされています。まだ介護保険の申請をしていない段階の相談や、どこに聞けばよいかわからない相談の、最初の入口になります。

病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)

厚生労働省の業務指針では、医療ソーシャルワーカーは、退院や転院に伴って生じる、経済的・心理的・社会的な問題を予測し、相談に応じて、解決や調整を援助するとされています。転院先や施設の選び方、在宅サービスの情報、住まいの改造に関する相談なども、役割に含まれています。病院によって、「医療相談室」「地域連携室」など、呼び名や体制は違います。退院が近づくと、これらの職種が集まって話し合う場が開かれることもあります(「退院前カンファレンスで確認したいこと」)。

4. 医療・介護の現場の職種

家族にとっての意味は、毎日の様子を一番近くで見ている人に、小さな気がかりを伝えられることです。

病院の個室で、背を起こしたベッドに休む高齢の女性に、看護師、理学療法士、相談員が笑顔で話しかけている図
病院では、いろいろな職種が、情報を共有しながら関わります(チーム医療)

5. 福祉用具と住まいの職種

福祉用具専門相談員

介護保険のサービスの基準(厚生省令)では、福祉用具専門相談員は、利用者の希望、心身の状況、置かれている環境を踏まえて「福祉用具貸与計画」を作り、福祉用具が適切に選ばれ、使われるよう、専門的知識に基づいて相談に応じることとされています。機能や使い方、利用料などを説明し、体の状態に合わせて調整すること、求めに応じて使い方を確かめ、必要なら使い方の指導や修理を行うことも、基準に含まれています。福祉用具のレンタル事業所には、2人以上(常勤換算)置くこととされています。借りたあとも、合わなくなったときの相談先になります。借りる流れは「福祉用具レンタルの料金」で説明しています。

住まいの工事に関わる人

住宅改修では、ケアマネジャーが申請を含めた全体の流れを、施工業者が工事を担当します。退院前の家屋調査などで、理学療法士・作業療法士が、動きの面から助言することもあります。どこをどう直すかは、ご本人の動きと、家の作りを合わせて考える必要があります。「住宅改修の対象になる工事と、ならない工事」も、あわせてどうぞ。

6. 相談するときの伝え方

職種を正しく選ぶよりも、困っていることを具体的に伝えるほうが、話が早く進みます。次の3つがおすすめです。

  1. 「何をしたいか」を伝える:「家に帰りたい」「また、庭の草むしりをしたい」「トイレは自分で行きたい」など、本人と家族の希望をそのまま伝えます。
  2. 「いつ、どこで、何に困るか」を伝える:「夜中のトイレで、立ち上がるときにふらつく」のように、場面を1つ決めて話します。
  3. 「わからない」と伝える:専門用語がわからないときは、遠慮せずに聞き返してかまいません。

家族が、希望を伝えること自体は、いつでもできます。通るかどうか、できるかどうかは、そのあと専門職が一緒に考えます。

よくある質問

理学療法士と作業療法士の違いは何ですか

法律では、理学療法は「主として基本的動作能力の回復を図るため」の運動などを、作業療法は「主として応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため」の作業などを行うこととされています。立つ・歩くなどの基本の動きは理学療法士、食事・着替え・家事・趣味など、暮らしの中の動きは作業療法士、と考えると、イメージしやすくなります。実際の現場では、重なる部分も多く、一緒に関わることもあります。

どこに相談すればよいか、わからないときは

入院中なら病院の相談員(医療ソーシャルワーカー)や看護師、すでに介護保険のサービスを使っているならケアマネジャー、まだ何も使っていないなら、お住まいの地域の地域包括支援センターが、入口になります。地域包括支援センターは、高齢者の相談に応じ、必要なサービスや機関、制度の利用につなげる役割があるとされています(厚生労働省の通知)。入口が違っても、必要な窓口を案内してもらえることがほとんどなので、迷ったときは近い窓口に、そのまま話してみるのがおすすめです。

入院中に、家に帰る相談をしてよいのは誰ですか

病院の医療ソーシャルワーカー(相談員)が、退院や転院、在宅サービス、住まいの相談に応じる役割を担うとされています(厚生労働省の業務指針)。そのほか、病棟の看護師や、リハビリの理学療法士・作業療法士にも、家での動きや、必要な準備を聞けます。病院によって、窓口の呼び名や体制が違うので、まず病棟の看護師に「退院の相談はどこでできますか」と聞くのがおすすめです。

リハビリの先生は、退院後も家に来てくれますか

介護保険のサービスには、リハビリ職が家を訪ねる「訪問リハビリ」や、通い先でリハビリを行う「通所リハビリ」があります。使えるかどうか、どれくらいの頻度かは、医師の判断やケアプラン、地域の事業所の体制によって変わります。くわしくは「訪問リハ・通所リハ」の記事で説明しています。使いたいときは、ケアマネジャーに相談するのがおすすめです。

ケアマネジャーに、どこまで頼んでよいのでしょうか

介護保険法では、ケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護者などからの相談に応じ、適切なサービスを利用できるよう、市町村やサービス事業者との連絡調整などを行う人とされています。困りごとを幅広く話してかまいません。ケアマネジャーの担当ではない内容でも、ほかの職種や窓口につないでもらえます。話してよいかどうか迷う内容も、まず伝えてみるのがおすすめです。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。窓口の名前、体制、サービスの内容は、病院・事業所・市区町村によって違います。くわしくは、病院の相談窓口、担当のケアマネジャー、お住まいの市区町村や地域包括支援センターに、確認するのがおすすめです。