10m歩行テストの計算と
カットオフ値一覧
歩行速度・歩幅・歩行率/フレイル・サルコペニア・転倒予防・脳卒中の基準値
10mなどの区間を歩いた時間と歩数を入れると、歩行速度・歩幅・歩行率を計算します。フレイル(J-CHS)、サルコペニア(AWGS)、転倒予防の国際ガイドライン、脳卒中の分類などのカットオフ値、年代・男女別の平均、変化の目安(MCID)を、出典付きでまとめています。入力した数値は、お使いの端末の外には送信されません。
監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
対象:理学療法士・作業療法士などのリハビリ職、養成校の学生
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歩数がなくても、歩行速度は計算できます。
くらべる(任意):年代・性別の平均、前回の結果
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歩行速度のカットオフ値一覧
歩行速度の主なカットオフ値(基準の境目)と目安です。数値は各資料で確かめ、表は当サイトでまとめ直しています。くわしい条件は、リンク先の原典で確認できます。
| 歩行速度 | 10mの秒数 | 使われ方 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 1.0m/秒未満 | 10.0秒より長い | フレイルの判定項目の1つ(通常の歩行速度)。5項目のうち3項目以上でフレイル、1〜2項目でプレフレイル | 改定日本版CHS基準(J-CHS 2020) 国立長寿医療研究センター |
| 1.0m/秒未満 | 10.0秒より長い | サルコペニアの診断の「身体機能の低下」(6mの通常歩行)。2025年版では診断の基準から外れ、身体機能の経過をみる指標に | AWGS 2019 論文 |
| 0.8m/秒未満 | 12.5秒より長い | 転倒のおそれを分けるための目安(歩行速度が使えない場合はTUG 15秒超) | 転倒予防の国際ガイドライン(2022年) 論文 |
| 0.4m/秒・0.8m/秒 | 25.0秒・12.5秒 | 脳卒中の方の分類。0.4未満は家の中での歩行が中心、0.4〜0.8は限られた範囲での屋外歩行、0.8を超えると地域での歩行が自立に近い | Perryら(1995年) 論文 |
| 0.35m/秒 | 約28.6秒 | 入院中の高齢の方で、病院内の歩行が自立しているかを分ける目安 | Grahamら(2010年) 論文 |
| 1.0m/秒 | 10.0秒 | 歩行者用の信号の青の時間は、この速さで横断歩道を渡りきれるように調整されている(高齢の方などが多い場所では長くしていることもある) | 警視庁 |
| 0.94〜1.43m/秒 | 約7.0〜10.6秒 | 健康な成人のふだんの歩行速度の、年代・男女別の平均の範囲(40代の男性〜80〜99歳の女性) | Bohannonら(2011年) 論文 |
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「10mの秒数」は、歩行速度の基準を10mの区間にあてはめて計算した値です(10m÷歩行速度)。原典が秒数で示しているわけではありません。
年代・男女別の平均(健康な成人)
海外を含む41の研究(23,111人)をまとめた、ふだんの速さでの歩行速度の平均です(Bohannonら、2011年)。
| 年代 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 20代 | 1.36m/秒 | 1.34m/秒 |
| 30代 | 1.43m/秒 | 1.34m/秒 |
| 40代 | 1.43m/秒 | 1.39m/秒 |
| 50代 | 1.43m/秒 | 1.31m/秒 |
| 60代 | 1.34m/秒 | 1.24m/秒 |
| 70代 | 1.26m/秒 | 1.13m/秒 |
| 80〜99歳 | 0.97m/秒 | 0.94m/秒 |
変化の目安(前回と比べるとき)
| 変化の大きさ | 対象 | 出典 |
|---|---|---|
| 0.05m/秒 | 高齢の方で「小さいが意味のある変化」の目安 | Pereraら(2006年) 論文 |
| 0.10m/秒 | 高齢の方で「大きな変化」の目安 | Pereraら(2006年) |
| 0.16m/秒 | 脳卒中の発症から20〜60日の、歩行速度が遅い方で、障害の程度の改善につながる変化の目安 | Tilsonら(2010年) 論文 |
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基準ごとに、対象者、測る距離、歩き方(ふだんの速さか、できるだけ速くか)が違います。一つの結果だけで判断せず、同じ方法で測った結果を前回と比べて、経過をみるのに向いています。
測り方の要点
- まっすぐな通路を用意する:測る区間(10m)の前後に、加速と減速のための助走の区間(それぞれ数m)をとります。歩き始めと止まる直前は速さが変わるため、途中の区間だけを測ります。
- 時間を測る:体が測る区間の始めの線を越えたときにストップウォッチを押し、終わりの線を越えたときに止めます。
- 歩数を数える:測る区間の中で、足が床についた回数を数えます。
- 歩き方を決めておく:「ふだんの速さ」か「できるだけ速く」かを決め、毎回同じにします。杖や歩行器を使ったかも記録しておきます。
- 安全に配慮する:転倒のおそれがある場合は、すぐ支えられる位置で付き添います。体調や痛みの状態によっては行いません。
秒数のほかに、歩き方を見る
10m歩行では、秒数と一緒に次の3つを確かめます。
- 歩数:測る区間の歩数。このページに入力すると、歩幅と歩行率も出ます。
- 歩容の安定性:体が左右に揺れないか、足の運びが乱れないか。
- リズム:一定の調子で歩けているか。
「できるだけ速く」と伝えると、競争のように焦って歩いてしまう方がいます。歩きが崩れてまで速くする必要はなく、安全に歩ける範囲での速さを測るのがこの評価です。焦って崩れた歩き方だった場合は、その旨を記録し、秒数の読み方に注意します。
測定するときの注意点
歩行速度は条件の影響を受けやすい指標です。値そのものより、同じ条件でそろえて測ることが結果の読み取りを左右します。
結果が変わりやすい条件
- 助走の区間:静止した立位から「はじめ」の合図で測り始めると、加速の分だけ遅い値になります。カットオフ値の多くは、助走の区間をとって測った値です。助走をとったかどうかを記録します。
- 教示の言葉:「いつも歩いている速さで」「できるだけ速く」で値が大きく変わります。毎回、同じ言い方にそろえます。
- 履物・装具・補助具:はだし、上履き、ふだんの靴、短下肢装具、杖の有無で変わります。条件を記録し、次回もそろえます。
- 測る回数:1回だけか、2〜3回の平均か、最速値かで結果が変わります。どの方法かを決めておきます。
- 時間帯と体調:リハビリの前後、服薬の時間、疲労、痛みの程度で変わります。経過をみるときは、できるだけ同じ時間帯に測ります。
- 環境:床の材質や滑りやすさ、廊下の広さ、人の行き来、方向転換が入るかどうかも影響します。
測るときの手順で気をつけること
- 計時の基準をそろえる:体のどの部分(足の接地か、体幹か)が線を越えた時点で押すかを決め、毎回同じにします。
- 付き添う位置:前を歩くと引っぱられて速くなり、真横を歩くとペースが合わせられることがあります。斜め後方から見守るのが基本です。
- 声かけ:測っている間の「がんばって」などの声かけは速さに影響します。あらかじめ決めた言葉以外はかけません。
- 指示の理解:認知機能の低下がある場合は、教示が伝わっているかを確かめます。伝わっていないと、値が実力を表しません。
- 安全:転倒のおそれがある場合はすぐ支えられる位置で付き添い、点滴・酸素・カテーテルなどがある場合は、あらかじめ経路と支える人の配置を決めておきます。
Bohannonらのメタ分析も、「短い距離を『はじめ』の合図から測った場合や、方向転換が入る場合は、平均値との比較には向かない」と注意しています。基準値と比べるときは、その研究の測り方に近づけることが前提です。
よくある質問
歩幅と歩行率は、何がわかりますか?
歩行速度は「歩幅(1歩の長さ)」と「歩行率(1分あたりの歩数)」の組み合わせで決まります。同じ速さでも、歩幅が小さく歩数が多い歩き方と、歩幅が大きい歩き方があります。どちらが変わったかをみると、歩き方の変化をとらえやすくなります。
計算式は?
歩行速度(m/秒)=距離÷時間、歩幅(m)=距離÷歩数、歩行率(歩/分)=歩数÷時間×60 です。時速(km)は、秒速(m)に3.6をかけて出しています。
出典・参考にした資料
- 警視庁「歩行者横断秒数の延長」、福岡県警察「信号機の秒数について」:歩行者用信号の青の時間を、歩行速度秒速1mとして渡りきれるように調整していること 警視庁・福岡県警察
- Satake S, Arai H. The revised Japanese version of the Cardiovascular Health Study criteria (revised J-CHS criteria). Geriatr Gerontol Int. 2020;20:992-993.:フレイルの判定項目の一つとしての通常歩行速度1.0m/秒未満 国立長寿医療研究センター
- Chen LK, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. J Am Med Dir Assoc. 2020;21:300-307.:6mの通常歩行速度1.0m/秒未満を身体機能の低下とする基準 論文
- Chen LK, et al. A focus shift from sarcopenia to muscle health in the Asian Working Group for Sarcopenia 2025 Consensus Update. Nat Aging. 2025;5:2164-2175.:診断を筋肉量の低下と筋力の低下の組み合わせとし、身体機能は経過をみる指標としたこと
- Montero-Odasso M, et al. World guidelines for falls prevention and management for older adults: a global initiative. Age Ageing. 2022;51(9):afac205.:転倒のおそれを分けるための歩行速度0.8m/秒未満(または TUG 15秒超) 論文
- Graham JE, et al. Walking speed threshold for classifying walking independence in hospitalized older adults. Phys Ther. 2010;90:1591-1597.:入院中の高齢者の病院内歩行の自立を分ける0.35m/秒 論文
- Perry J, et al. Classification of walking handicap in the stroke population. Stroke. 1995;26:982-989.:脳卒中の方の歩行速度による分類 論文
- Perera S, et al. Meaningful change and responsiveness in common physical performance measures in older adults. J Am Geriatr Soc. 2006;54:743-749.:歩行速度の小さな意味のある変化(約0.05m/秒)と大きな変化(約0.10m/秒) 論文
- Tilson JK, et al. Meaningful gait speed improvement during the first 60 days poststroke: minimal clinically important difference. Phys Ther. 2010;90:196-208.:脳卒中の亜急性期で歩行速度が遅い方の、意味のある改善(0.16m/秒) 論文
- Bohannon RW, Williams Andrews A. Normal walking speed: a descriptive meta-analysis. Physiotherapy. 2011;97:182-189.:健康な成人の年代・男女別のふだんの歩行速度の平均 論文