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床ずれ(褥瘡)の予防圧迫・ずれ・栄養の3つから考える。毎日の見方と、相談のサイン

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月7日/最終確認日:2026年10月7日

この記事は、ベッドで横になる時間が長い方、または車いすに座って過ごす時間が長い方を、ご自宅で介護しているご家族に向けて書きました。床ずれ(医療の言葉では「褥瘡(じょくそう)」)は、圧迫と、ずれと、栄養が関わってできるキズです。「毎日、どこを見ればよいのか」「体位変換は何時間ごとか」「マットレスはどう選ぶのか」といった疑問に、日本褥瘡学会の資料をもとに答えます。

床ずれは、正しく知って、早く気づけば、防げることが多いキズです。むやみに不安にならず、毎日の暮らしの中でできることから、整えていきましょう。

この記事のポイント
  • 床ずれは、骨が出っ張って、体の下になる場所にできやすい。皮膚の表面より、奥のほうにダメージが強いことがある
  • できる原因は、圧迫・ずれ・栄養。背上げのあと、体が下へずり落ちたときや、車いすで姿勢が崩れたときに、ずれが起こる
  • 体位変換は、基本的に2時間を超えない範囲とされています。ただし、マットレスの種類や、ご本人の状態で違うので、訪問看護師や医師に決めてもらう
  • 床ずれ防止のマットレスや、体位変換器は、介護保険で借りられます(原則、要介護2以上)
  • 皮膚の赤みが消えない、周りと比べて硬い・ぶよぶよ柔らかい、食べる量が減ったなどは、早めに訪問看護師やかかりつけ医へ

1. 床ずれとは、できやすい場所

床ずれは、一日のほとんどをベッドで過ごす方や、車いすで過ごす時間が長い方に、できやすい、圧迫とずれが原因のキズです。骨が出っ張っていて、体の下になる場所にできやすくなります。

ベッドで仰向けに寝ている方を横から見た図。後頭部、肩から背中、お尻、膝の裏のあたり、かかとに、淡い赤色の印がついている
ベッドで仰向けのとき、床ずれができやすい場所の例(骨が出っ張って、体の下になる所)

床ずれの特徴

2. できる原因:圧迫・ずれ・栄養

圧迫

同じ姿勢で長く寝ていると、骨が出っ張った所とベッドのあいだで、同じ場所が長く押されて、血液の流れが妨げられます。寝たきりになると、食事の量が減り、動かないことで筋肉も減って、骨がさらに出っ張ってきます。

ずれ

電動ベッドで背上げをしたあとに、体が下へずり落ちることはありませんか。このとき、腰や背中には、ずれの力がかかっています。ずれは、背上げをするときだけでなく、背上げのあとで水平に戻すときにも起こります。ベッドの上で横へ動かすとき、ベッドから車いすへ移すとき、車いすで姿勢が崩れたときにも起こります。

ずれがあると、皮膚と、皮膚の下の組織が、水平方向に強く引っ張られて、ダメージを受けます。そのため、弱い圧でも、床ずれができてしまいます。

栄養

食べる量が減ると、脂肪や筋肉が減って、骨がさらに出っ張り、圧迫やずれの影響を受けやすくなります。ダメージを受けた組織が治るには、材料になるたんぱく質と、エネルギーが必要です。

3. 毎日の見方

骨が出っ張った場所の皮膚に、変化がないか、毎日、気にかけます。着替えや、おむつの交換、入浴のときが、見るきっかけにしやすいときです。

理学療法士の視点から 床ずれは、ご本人が気づきにくいことが、大きな特徴です。同じ場所が長い時間押され続けると、その場所の感覚が鈍くなり、痛みや違和感を感じにくくなることがあります。さらに、脳卒中のあとなどで、感覚の障害(感覚がわかりにくい状態)があると、赤みやキズがあっても、ご本人は気づかないことがあります。「痛くないと言うから大丈夫」とは考えず、ご家族が、毎日、皮膚を見ることが大切です。また、マットレスを替えるだけでなく、姿勢と、動かし方も、一緒に見直すのがおすすめです。

床ずれのできやすさを知る目安

日本褥瘡学会のパンフレットでは、床ずれのできやすさを知る方法として、OH(大浦・堀田)スケールが紹介されています。次の4つを見ます。1点でもつくと、床ずれになりやすい方で、点数が高いほど、なりやすいとされています。

点数の付け方や、マットレスの選び方は、訪問看護師や、リハビリの担当者に、実際に見てもらって決めるのがおすすめです。

4. 体位変換と、ずれの減らし方

体位変換の間隔と、方法

長い時間、同じ所が圧迫されないように、定期的に体位変換(体の向きを変えること)を行います。日本褥瘡学会は、間隔について、次のように示しています。

夜の体位変換が、介護する方の大きな負担になることがあります。間隔は、ご本人の状態と、マットレスの種類で変わるので、決め方を、訪問看護師や医師に相談するのがおすすめです。

ベッドで休む高齢の女性の図。背中の後ろと両膝のあいだにクッションが入り、体が少し斜めに傾いて支えられている
30度側臥位のイメージ。クッションで、広い面積を支えます

ずれを減らす工夫

5. マットレスとクッション、借りられる用具

マットレスの考え方

体圧分散寝具(床ずれ予防のマットレス)は、体が沈み込んだり、包み込まれたりして、出っ張った場所にかかる圧を低くします。使うと、床ずれの発生率を下げられるとされています。種類は、ご本人の床ずれのリスク、好み、介護の環境を考えて選びます。次のような目安があります。

ご本人の状態マットレスの考え方の目安
床ずれのリスクが
軽い方
厚さ8〜9cmのウレタンマットレスが勧められる。寝返りがしやすい程度のもの
中くらいの方ご本人の状態に加えて、介護する方が、体位変換などをどこまでできるかも考えて、選ぶ
自分で体位変換が
できない方、
リスクが高い方
圧が切り替わるエアマットレスなど、高機能のものが勧められる

エアマットレス

エアマットレスは、空気の入った管で、体を支えるマットレスです。電動のポンプ(送風装置)で、空気の入る場所が切り替わり、体にかかる圧が時間で変わるタイプ(圧切替型)などがあります。日本褥瘡学会は、自分で体の向きを変えられない方には、圧切替型のエアマットレスを使うことを勧めています。また、骨の出っ張りがある高齢の方には、二層式などの多層式のエアマットレスが勧められています。

関節が曲がったまま固まっている方(拘縮)は、体の向きを支える体位保持クッションを上手に使う方法もあります。自己流の対策は、効果がないことが多く、かえって床ずれをできやすくすることもあるとされています。身近な訪問看護師に、相談するのがおすすめです。

車いすのクッション

車いすに長く座る方は、必ず座るとき用の、床ずれ予防クッションを使います。座面の高さ、肘掛けの高さ、背中のカーブが、体に合っていると、姿勢が崩れにくく、ずれも起きにくくなります。

介護保険で借りられるもの

用具内容
床ずれ防止用具送風装置などを備えた空気マット、水などで体圧を分散する全身用のマット。借りる(原則、要介護2以上)
体位変換器体の下に入れて、向きを変えやすくするもの。借りる(原則、要介護2以上)
特殊寝台・付属品介護ベッドと、マットレス、スライディングボードなどの付属品。借りる(原則、要介護2以上。介護ベッドの選び方)
車いす・付属品車いすと、クッションなどの付属品。借りる(原則、要介護2以上)

要支援1・2、要介護1の方は、原則として対象外ですが、日常的に寝返りが困難な方は、床ずれ防止用具と体位変換器を、例外として借りられます。くわしくは、福祉用具のレンタルと、福祉用具の早見表にまとめています。

6. 栄養と皮膚のケア

栄養

床ずれの予防では、低栄養を避けることが基本とされています。食事の量が足りていても、肉、魚、大豆製品、たまご、乳製品など、たんぱく質の食品がとれているかを、見直します。食べる量が減ってきたときは、日本褥瘡学会の資料でも、医師や看護師に伝えるよう、案内されています。

皮膚のケア

骨の出っ張った所に、摩擦を減らすテープやドレッシング材を貼る方法もあります。貼る場所と、材料は、訪問看護師や医師に決めてもらいます。

7. 早めに相談したいサイン

次のようなときは、訪問看護師や、かかりつけ医に伝える
  • お尻やかかとなど、ベッドや車いすに触れる部分の皮膚が赤くなり、時間がたっても、赤みが消えない
  • 皮膚がむけた。赤い所を触ると、周りと比べて、硬い、またはぶよぶよと柔らかい
  • お尻などに、かさぶたができた。かさぶたがあって、高い熱が出てきた(早めに受診)
  • 食べる量が減った。ここ2〜3日、食べる量が減ってきた
  • 寝てばかりになった。ぼんやりしている。ここ数日で、急に動かなくなってきた
  • ここ1〜2日、水分をとらなくなって、おしっこの量が減った

これらは、日本褥瘡学会のパンフレットで、床ずれができているか、できやすい状態を示す危険信号としてあげられているものです。担当の訪問看護師や、かかりつけ医がいないときは、担当のケアマネジャーに相談すると、つないでもらえます。

寝たきりにならないために

床ずれは、寝たきりになると、できやすくなります。日中、ベッドから離れて過ごす時間が、予防にもつながります。座る、立つ、好きなことをする、役割をもつ、といった暮らしの中の動きが、体を動かす機会になります。訪問リハビリを受けて、家の中でできる動きを、教えてもらう方法もあります(訪問リハビリと通所リハビリの違い、親が出かけなくなったら)。

理学療法士の視点から 床ずれの予防は、「寝かせて守る」ことと、「寝たきりにしない」ことの、両方が大切だと考えています。ベッドで過ごす時間が長い方でも、端に座る、車いすに移るなど、体の向きや姿勢が変わる機会を、日々に入れられると、同じ場所への圧が分かれます。そのときに、ずれが起こらないように、ベッドの高さや、車いすのクッションを整えることも、リハビリの仕事のひとつです。

よくある質問

床ずれを防ぐために、体位変換は何時間ごとに行えばよいですか

日本褥瘡学会は、基本的に2時間を超えない範囲で行うとしています。ただし、床ずれ予防のマットレスの種類や、骨の出っ張り具合によって、個人差があります。粘弾性フォームマットレスや、二層式のエアマットレスなどを使う場合は、4時間を超えない範囲で行ってもよいとされています。間隔の決め方は、訪問看護師や医師に相談するのがおすすめです。

エアマットは、介護保険で借りられますか

借りられます。「床ずれ防止用具」という種目で、送風装置などを備えた空気マットや、水などで体圧を分散する全身用のマットが対象です。原則として要介護2以上の方が対象ですが、日常的に寝返りが困難な方は、要支援1・2や要介護1でも、例外として借りられます。

車いすで過ごす時間が長い場合も、床ずれはできますか

できます。日本褥瘡学会のパンフレットでは、車いす生活の方にも、床ずれができやすいことが示されています。特に、車いすが体に合っていなかったり、クッションが合っていなかったりして、前に滑るような姿勢になると、お尻の骨のあたりやかかとに、ずれが起こり、床ずれができやすくなります。座るとき用の、床ずれ予防クッションを使うことが勧められています。

食欲がないときは、どうすればよいですか

食べる量が減ると、筋肉や脂肪が減って骨が出っ張り、床ずれができやすくなります。ダメージを受けた組織が治るにも、たんぱく質とエネルギーが必要です。食べる量が減ってきたときは、日本褥瘡学会の資料でも、医師や看護師に知らせるよう案内されています。食べる工夫や、栄養の補い方は、かかりつけ医や、管理栄養士に相談するのがおすすめです。

皮膚が赤くなっていたら、どうすればよいですか

時間がたっても赤みが消えない、皮膚がむけた、周りと比べて触ると硬い、またはぶよぶよと柔らかい、かさぶたができた、といったときは、床ずれができているか、できやすい状態です。日本褥瘡学会のパンフレットでは、すぐに訪問看護師やかかりつけ医に診てもらうよう案内されています。床ずれは、ご本人が痛みを感じにくいこともあるので、ご家族が毎日、皮膚を見ることが大切です。自己流の対策は、かえって床ずれをできやすくすることもあるとされています。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。床ずれのできやすさや、体位変換の間隔、マットレスの選び方は、ご本人の状態によって違います。皮膚に変化があるときや、迷うときは、訪問看護師、かかりつけ医、担当のケアマネジャーに、相談するのがおすすめです。