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SPPBの点数と
カットオフ値

Short Physical Performance Battery(SPPB)/バランス・4m歩行・5回椅子立ち上がり/サルコペニア・身体機能の低下

3つの検査の点(または秒数)を入れると、12点満点の合計と、カットオフ値との関係がわかります。前回の点数を入れると、その差も確認できます。A4の記録用紙(PDF)もダウンロードできます。入力した数値は、この端末の外には送られません。

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)

対象:理学療法士・作業療法士などのリハビリ職、養成校の学生

判定する

A4の記録用紙(PDF)をダウンロード3つの検査の記入欄(秒数・点)、合計、点のつけ方、カットオフ値つき。印刷して、現場でペンで記入できます。記録用紙をダウンロード(PDF)
用紙の見本を見るSPPB記録用紙の見本(A4・3つの検査の記入欄、合計、点のつけ方、カットオフ値つき)画像を押すと拡大します
3つの検査(各0〜4点)

点を押すと、合計が自動で計算されます。歩行と椅子立ち上がりは、秒数を入れると点が自動で入ります。もう一度押すと取り消せます。

① バランス(足をそろえる・セミタンデム・タンデム)
  • 0点:足をそろえて10秒保てない
  • 1点:足をそろえて10秒できた。セミタンデムは10秒保てない
  • 2点:セミタンデムは10秒できた。タンデムは3秒未満
  • 3点:タンデムが3秒以上10秒未満
  • 4点:タンデムが10秒以上
② 4m歩行(ふだんの速さ)
秒

4.82秒未満=4点/4.82〜6.20秒=3点/6.21〜8.70秒=2点/8.71秒以上=1点/できない=0点

③ 5回椅子立ち上がり(腕を胸の前で組む)
秒

11.19秒以下=4点/11.20〜13.69秒=3点/13.70〜16.69秒=2点/16.70〜60秒=1点/60秒を超える・できない=0点

未入力:3項目

点(12点満点)
点
合計点を入れると、ここに判定が出ます。

SPPBのカットオフ値と、変化の目安

SPPBは、バランス・4m歩行・5回椅子立ち上がりの3つを各0〜4点で採点し、合計12点で下肢の機能をみる検査です。点数が低いほど、機能が低いと考えます。次の表は、報告されている基準や、点数ごとのリスクです。

サルコペニアの診断基準での扱い

点数内容出典
9点以下アジアのサルコペニア診断基準で、低い身体機能の基準のひとつ(ほかに、6m歩行1.0m/秒未満、5回椅子立ち上がり12秒以上)AWGS 2019(Chenら、2020年)
論文
8点以下欧州の診断基準で、低い身体機能(重度のサルコペニアの目印)。SPPBの最高点は12点EWGSOP2(Cruz-Jentoftら、2019年)
論文

表は横にスクロールできます

AWGS 2025では、診断は筋肉量と筋力の組み合わせに整理され、身体機能は経過をみる指標という位置づけになりました。くわしくはサルコペニアの判定のページにまとめています。

点数ごとの死亡のリスク(メタ分析)

17の研究、16,534人(平均76歳)。年齢・性別・BMIで調整し、10〜12点の方と比べたオッズ比です(Pavasiniら、2016年)。10点未満で、全死亡のリスクが上がると報告されています。

SPPB死亡のオッズ比
(95%信頼区間)
10〜12点1(基準)
7〜9点1.50(1.32〜1.71)
4〜6点2.14(1.92〜2.39)
0〜3点3.25(2.86〜3.79)

出典:Pavasini R, et al. BMC Med 2016;14:215。論文

点数ごとの移動障害のリスク

地域で暮らす、はじめは障害のなかった高齢者4,588人(EPESE)を1〜6年追った研究です。10〜12点の方と比べた、移動に関する障害の相対リスクで、調査地域ごとの幅を示しています(Guralnikら、2000年)。

SPPB移動障害の相対リスク
10〜12点1(基準)
7〜9点1.5〜2.1
4〜6点2.9〜4.9

同じ研究では、歩行速度だけでも、3つの検査全体とほぼ同じ精度で障害を予測できたと報告されています。出典:Guralnik JM, et al. J Gerontol A 2000;55(4):M221-31。論文

変化の目安

変化内容出典
約0.5点小さくても意味のある変化(推定の幅は0.27〜0.55点)。臨床で1人ひとりを測るときは、検出しにくいとされていますPereraら(2006年)
論文
約1.0点大きな変化(推定の幅は0.99〜1.34点)Pereraら(2006年)

表は横にスクロールできます

SPPBの合計点は、3つの検査をまとめた目安で、どの検査で点を落としたかによって、取り組みは変わります。カットオフ値は、診断基準や研究の対象によって違うため、1つの点数だけで判断せず、その方の前回の値や、ふだんの様子とあわせて見るのがおすすめです。

点のつけ方

検査やり方と点点
① バランス
(各10秒まで)
足をそろえて立つ。10秒保てなければここで終了0または1
セミタンデム(片足のかかとの内側に、もう一方の足の親指の内側をつける)。10秒保てなければここで終了0または1
タンデム(片足のかかとに、もう一方の足のつま先をつける)。3秒未満=0点、3秒以上10秒未満=1点、10秒以上=2点0〜2
② 4m歩行4.82秒未満4点
4.82〜6.20秒3点
6.21〜8.70秒2点
8.71秒以上1点
できない0点
③ 5回椅子立ち上がり11.19秒以下4点
11.20〜13.69秒3点
13.70〜16.69秒2点
16.70〜60秒1点
60秒を超える・できない0点

表は横にスクロールできます

測り方の手順

日本の病院で、退院前の入院患者234人(65歳以上)を、原法(Guralnikら)に準じて測った研究(倉田ら、2021年)の方法を中心にまとめています。公式の日本語版のマニュアルではありません。

  1. バランス:足をそろえた立位、セミタンデム、タンデムの順に、各10秒まで測ります。足の位置を整えるまでは、手すりや椅子の背もたれなどを持ってかまいません。本人のペースで手を離した時点から、時間を測ります。立っている間、膝や腕を動かしてバランスをとるのはかまいません。セミタンデムとタンデムで、どちらの足を前にするかは、本人がやりやすいほうにします。
  2. 4m歩行:スタートの位置から、本人のペースで歩き始め、足が動き始めた時点から測ります。「ふだんの速さで」と伝え、杖や歩行器など、ふだん使っている歩き方でかまいません。ゴールで止まらず、1m先まで歩き抜けてもらいます。2回測り、良いほうの時間で点をつけます。
  3. 5回椅子立ち上がり:腕を胸の前で組み、できるだけ速く、5回続けて立ち座りします。この研究は座面40cmの椅子を使いました。地域の高齢者を測った研究(牧迫ら、2017年)は、背もたれつきで高さ45cmの椅子を使い、5回目に立ったあと完全に立つまでの時間を測っています。膝が伸びきらない、途中で座りきらないときは、測り直しています。
  4. 中止する目安:測ることで痛みが強くなるおそれがあるときは、測らない判断も必要です(倉田ら)。検者は、すぐ支えられる位置に立ちます。

歩行の距離は、研究によって違います。原法は約2.4m(8フィート)で、地域の高齢者を測った研究(牧迫ら)も、約2.4mの前後に2mずつ助走路をつけて2回の平均を使っています。このページの秒数の表は4m用です。椅子の高さや、補助具の有無も、記録に書いておき、次回も同じ方法で測るのがおすすめです。

日本の高齢者では、満点が多い(SPPB-com)

地域で暮らす日本の高齢者4,328人を測った研究(牧迫ら、2017年)では、78.7%が12点満点でした(退院前の入院患者を測った倉田らの研究では、満点は2.9%)。満点に集まりやすく、差が見えにくいため、点のつけ方を変えた「SPPB-com」(0〜10点)が提案されています。歩行と椅子は、この集団の四分位(25%ごと)で1〜4点、バランスはタンデム立位の保持(不可0点、10秒未満1点、10秒以上2点)で点をつけます。SPPB-comが4点以下で、24か月以内に要支援・要介護になった方が多かった(12.8%)と報告されています。

SPPB-comは、この研究の集団をもとにした基準です。このページの12点満点の合計や、サルコペニアの基準(9点以下・8点以下)とは、点の意味が違います。SPPB-comの入力は、このページにはありません。出典:牧迫飛雄馬ら. 理学療法学 2017;44(3):197-206。論文

秒数のほかに、動作の行い方を見る

5回立ち座りでは、秒数のほかに、立ち座りの行い方を見ます。

  • 勢いをつけて行っているのか、重心を移動させて行っているのか
  • 膝と股関節が、協調して動いているか

4m歩行では、速く歩こうとして焦らないよう、安全に歩ける範囲で行ってもらうことを、あらかじめ伝えます。

よくある質問

SPPBは何点以下だと「低い」と考えますか?

使う基準によって違います。アジアのサルコペニア診断基準(AWGS 2019)では、低い身体機能の基準のひとつが9点以下です。欧州の診断基準(EWGSOP2)では、8点以下が低い身体機能(重度のサルコペニアの目印)とされています。また、死亡リスクをまとめた研究(Pavasiniら、2016年)では、10点未満で死亡のリスクが上がると報告されています。どの基準で見ているかを、記録にそえておくのがおすすめです。

前回から何点変わると、意味のある変化といえますか?

地域で暮らす高齢者などのデータ(Pereraら、2006年)では、小さくても意味のある変化が約0.5点、大きな変化が約1.0点と報告されています。ただし同じ研究は、臨床で1人ひとりを測るとき、SPPBの小さな変化は検出しにくいとしています。1点の変化は大きな変化の目安ですが、秒数や、ふだんの様子とあわせて見るのがおすすめです。

歩行の秒数の基準は、4mと8フィートで同じですか?

同じではありません。このページの採点表(4.82秒・6.20秒・8.70秒)は、4m歩行の秒数です。SPPBをまとめた最初の論文(Guralnikら、1994年)は8フィート(約2.4m)を歩く時間を使っていました。距離がちがうと秒数の基準もちがうため、4mで測ったときにこの表を使い、記録に距離を書いておくのがおすすめです。

出典・参考にした資料

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