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サルコペニアの判定と
カットオフ値一覧

AWGS 2019の判定/AWGS 2025の変更点/EWGSOP2との違い

測定した値を入れると、AWGS 2019の基準での判定を表示します。AWGS 2025で変わった点とカットオフ値も一覧にしています。入力した数値は、お使いの端末の外には送信されません。

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)

対象:理学療法士・作業療法士などのリハビリ職、養成校の学生

サルコペニアとは

サルコペニアは、加齢にともなって骨格筋の量が減り、筋力や身体機能が低下した状態を指します。ギリシャ語の「sarx(肉)」と「penia(減少)」を合わせた言葉で、1989年にRosenbergが提唱しました。当初は筋肉量の減少だけを指していましたが、その後、筋肉量だけでは転倒や死亡といった結果を十分に予測できないことが分かり、筋力と身体機能を含めた考え方に変わってきました。AWGS 2025で診断が筋肉量と筋力の組み合わせに整理されたのも、この流れの延長にあります。

一次性と二次性

臨床で出会うのは、加齢に入院や手術による安静、食事量の低下が重なった混合型が大半です。判定が出たあと、どの要素が効いているかを分けて考えると、働きかける先が見えてきます。

AWGSとはどんな団体か

AWGSはAsian Working Group for Sarcopenia(アジアサルコペニアワーキンググループ)の略です。日本・韓国・台湾・中国・香港・タイなど、アジア各国の老年医学の研究者が集まった作業部会で、2014年に最初の合意(コンセンサス)を発表しました。学会のような会員組織ではなく、基準づくりのために集まった専門家の集まりだと考えると分かりやすいです。

できたきっかけは、欧米で作られた基準が、そのままではアジアの高齢者に当てはまらないことでした。体格が違えば筋肉量も握力も分布が違うため、欧米の値を使うと、実際より多くの人が該当したり、逆に見落とされたりします。そこでアジアのデータをもとに、握力や歩行速度のカットオフ値を設定し直したのがAWGSの基準です。日本では2019年版(AWGS 2019)が広く使われており、2025年に改訂版が出ています。

ヨーロッパには、これに対応するEWGSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People、高齢者のサルコペニアに関するヨーロッパ作業部会)があります。2010年に最初の定義を、2019年に改訂版(EWGSOP2)を発表しました。同じサルコペニアでも、この2つで数値が違うのは、もとにしている人の体格が違うためです。

フレイルとの関係

サルコペニアは筋肉量と筋力を中心にとらえた状態、フレイルは身体・心理・社会の面を含む広い概念です。重なる部分は大きく、サルコペニアは身体的フレイルの中心にあると考えられていますが、同じものではありません。握力のカットオフ値(65歳以上で男性28kg未満・女性18kg未満)が両者で共通しているのは、どちらも同じ研究群をもとにしているためです(フレイルのページ)。

判定する(AWGS 2019)

分かる項目だけ入れれば、その範囲で判定します。65歳以上を想定した基準です。

性別
kg
m/秒

6mのふだんの速さでの歩行速度(10m歩行テストの計算でも出せます)

秒
cm
kg/m²

四肢の筋肉量÷身長²。測定方法を選んでください

測定方法
握力などの値を入れると、ここに判定が出ます。

サルコペニアのカットオフ値一覧

AWGS 2019(65歳以上)

項目男性女性位置づけ
下腿周囲長34cm未満33cm未満対象を見つけるための指標(case finding)
SARC-F4点以上(10点満点)対象を見つけるための質問票。下腿周囲長と組み合わせたSARC-CalFもある
握力28kg未満18kg未満筋力低下
歩行速度(6m)1.0m/秒未満身体機能の低下
5回椅子立ち上がり12秒以上身体機能の低下
SPPB9点以下身体機能の低下
骨格筋指数(BIA)7.0kg/m²未満5.7kg/m²未満筋肉量の低下
骨格筋指数(DXA)7.0kg/m²未満5.4kg/m²未満筋肉量の低下

表は横にスクロールできます

判定のしかた(AWGS 2019)

AWGS 2025で変わった点

EWGSOP2(ヨーロッパ)との違い

EWGSOP2(European Working Group on Sarcopenia in Older People 2、高齢者のサルコペニアに関するヨーロッパ作業部会の第2版)では、筋力低下を握力 男性27kg未満・女性16kg未満、または5回椅子立ち上がり15秒超とし、身体機能の低下を歩行速度0.8m/秒以下としています。アジアの基準(AWGS)とは体格の違いから数値が異なります。

サルコペニアの診断は、医師による評価と、ほかの病気との区別が前提です。このページの判定は、基準に当てはまるかを確認するための補助です。

測るときの注意

握力

立位で腕を自然に下ろした姿勢が基本です。左右2回ずつ測り、最大値を採用します。握り幅が合っていないと値が下がるため、示指の第2関節がほぼ直角になるよう調整します。上肢に痛み・麻痺・変形がある側は無理に測らず、測れなかったことを記録に残します。

歩行速度(6m)

AWGS 2019は6mのふだんの歩行速度を基準にしています。歩き始めと止まる前を除くため、前後に助走と減速の区間をとります。急いで歩いた値では基準と合いません。ふだん使っている杖や歩行器は使ったまま測り、何を使ったかを記録します。10mで測った場合も速度(m/秒)として比べられますが、測り方が違うことを書き添えます。

5回椅子立ち上がり

腕を胸の前で組み、手を使わずに5回続けて立ち座りする時間を測ります。手すりや座面を押して立った場合は、その旨を記録に残します。膝や股関節に強い痛みがある方、手を使わないと立てない方では、この項目は測れません。歩行速度と5回椅子立ち上がりは、どちらか一方が測れれば身体機能の評価としては足ります。

下腿周囲長

ふくらはぎのいちばん太い位置で、メジャーを締めつけずに測ります。むくみがあると大きく出るため、心不全や腎不全のある方、長く座っていた方では、実際より筋肉があるように見えることがあります。対象を見つけるための指標(case finding)であり、これだけで筋肉量を判断するものではありません。

骨格筋指数(SMI)

四肢の筋肉量を身長の2乗で割った値です。測定方法によってカットオフ値が違い、男性はBIA・DXAとも7.0kg/m²未満ですが、女性はBIAで5.7kg/m²未満、DXAで5.4kg/m²未満と異なります。どちらで測ったかを必ず記録します。BIAは体の水分量の影響を受けるため、むくみや脱水があるとき、透析の前後などでは値が動きます。測る時間帯や条件をそろえると、経過が追いやすくなります。

AWGS 2019の判定では、筋肉量を測る設備がない場面を想定して「サルコペニアの可能性(possible sarcopenia)」という区分が設けられています。下腿周囲長やSARC-Fで対象を見つけ、握力または身体機能の低下があれば、筋肉量を測らなくても働きかけを始めてよい、という考え方です。

働きかけるときの目安

日本サルコペニア・フレイル学会の「サルコペニア診療ガイドライン2017年版 一部改訂」では、予防と治療について次のように示されています。

予防

治療

エビデンスレベルはいずれも低く、確立した治療法があるわけではありません。ただし、運動だけ・栄養だけより、両方を組み合わせるほうがよいという点は一貫しています。たんぱく質の量は腎機能によって制限が必要な場合があるため、医師や管理栄養士と相談したうえで決めます。運動の強さの目安には、ボルグ指数11〜13(楽である〜ややきつい)が使われます(フレイルのページ)。

実際の場面では、運動を課題として課すより、本人の役割や好きなことを手がかりに、暮らしの中で体を動かす機会を増やすほうが続きやすくなります。食事も、品数を増やすより、毎食にたんぱく質の一品を入れるなど、いまの食べ方に無理なく足せる形のほうが定着します。

結果とあわせて、生活の様子を聞く

サルコペニアが疑われたときは、測定の結果だけでなく、次のことを聞き取ります。

  • 日ごろの生活(動く量、役割)
  • 食事(量、内容)
  • 口腔機能(かむ・飲み込む)

よくある質問

下腿周囲長はどこで測りますか?

ふくらはぎのいちばん太い位置で、メジャーを締めつけずに測ります。むくみがあると大きく出るため、判断には注意が必要です。

SARC-Fの質問項目は載せていますか?

質問票そのものは載せていません。5つの質問に0〜2点で答え、合計4点以上を対象とする、という使い方です。項目は原典で確認するのがおすすめです。

AWGS 2019とAWGS 2025、どちらで判定すればよいですか?

当面はAWGS 2019で判定し、2025の考え方をあわせて見るのが現実的です。2025では診断が筋肉量と筋力の組み合わせに整理され、身体機能は経過をみる指標に位置づけ直されましたが、カルテや研究、ほかの職種とのやりとりでは2019の基準がまだ広く使われています。どちらで判定したかを記録に書き添えておくと、後から見返すときに混乱しません。

筋肉量を測る機器がない場合は、判定できませんか?

「サルコペニア」の確定はできませんが、「サルコペニアの可能性(possible sarcopenia)」までは判定できます。下腿周囲長やSARC-Fで対象を見つけ、握力の低下または身体機能の低下があれば、この区分に当たります。AWGS 2019は、この段階で働きかけを始めてよいとしています。機器がないことが、介入を遅らせる理由にはなりません。

サルコペニア肥満は、この基準で分かりますか?

分かりません。サルコペニア肥満は、筋肉量が減っている一方で体脂肪が多い状態を指しますが、AWGSの基準には体脂肪の項目がありません。体重やBMIが保たれていても筋肉量が減っていることがあるため、体重だけを見て「痩せていないから大丈夫」と判断しないよう注意します。骨格筋指数と、体格や体脂肪の情報をあわせて見ることになります。

歩行速度は6mで測る必要がありますか?

AWGS 2019は6mのふだんの歩行速度を基準にしています。10mで測った場合も歩行速度(m/秒)として比べられますが、測り方が違うことを記録しておきます。

出典・参考にした資料

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