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FRT(ファンクショナルリーチテスト)の
判定とカットオフ値

Functional Reach Test(FRT)/ファンクショナルリーチ/FR/立位での前方リーチ・バランス・転倒のおそれ

前に手を伸ばせた距離(cm)を入れると、転倒との関係の目安と、高齢者の平均との差がわかります。A4の記録用紙(PDF)もダウンロードできます。入力した数値は、お使いの端末の外には送信されません。

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)

対象:理学療法士・作業療法士などのリハビリ職、養成校の学生

判定する

A4の記録用紙(PDF)をダウンロード距離(練習+3回と平均)の記入欄、測り方の要点、カットオフ値つき。印刷して、現場でペンで記入できます。記録用紙をダウンロード(PDF)
用紙の見本を見るFRT記録用紙の見本(A4・距離の記入欄、測り方の要点、カットオフ値つき)画像を押すと拡大します
cm
距離を入れると、ここに判定が出ます。

FRTのカットオフ値と平均

FRTは、立ったまま足の位置を変えずに、前へどこまで手を伸ばせるかを測る、バランスの簡単な検査です。腕の長さと、最大に伸ばした位置との差(距離)を使います。年齢や身長で変わり、測り方が研究によって違うため、数字は目安として使います。

転倒との関係(Duncanら、1992年)

地域で暮らす70〜104歳の男性退役軍人217人を6か月追い、2回以上転倒した方を「再転倒」とした研究です。年齢・うつ・認知機能の影響を除いても、距離と再転倒の関係がみられたと報告されています。

距離再転倒の調整後
オッズ比(95%信頼区間)
手を前に出せなかった8.07(2.80〜23.71)
6インチ以下
(約15cm以下)
4.02(1.84〜8.77)
6インチ超〜10インチ未満
(約15〜25cm)
2.00(1.35〜2.98)

「手を前に出せなかった」は、原文の "unable to reach" をもとにした書き方です。原典の抄録には、細かい定義(足を出さないと伸ばせない場合など)が書かれていません。測れなかった理由は、メモに残すのがおすすめです。

出典:Duncan PW, et al. J Gerontol 1992;47(3):M93-8。論文

高齢者の平均(メタ分析)

平均内容・対象出典
26.6cm地域で暮らす高齢者(21研究のまとめ、95%信頼区間25.14〜28.06cm)。年齢とともに低下し、性別による差はみられなかったと報告されていますRosaら(2019年)
論文
15.4cm施設など地域外の高齢者(5研究のまとめ、95%信頼区間13.47〜17.42cm)Rosaら(2019年)
27.2cm高血圧の高齢者199人の測定と、20の研究を合わせた高齢者7,535人の加重平均(95%信頼区間25.5〜28.9cm)Bohannonら(2017年)
論文

表は横にスクロールできます

地域と地域外の平均に差があるのは、対象の違い(自分で歩いて暮らす方と、施設や入院中の方)と、測り方の違いが重なるためと考えられます。地域外の方に地域の平均を当てると、多くの方が下回って見えるため、基準としてではなく、おおまかな位置の目安にとどめます。いちばん参考になるのは、同じ条件で測った、その方の前回の値との比較です。

FRTは「立ったまま前に手を伸ばす」バランスをみる検査で、日常で実際に転ぶかどうかとは別です。カットオフ値は、対象者や測り方によって違い、一つの距離だけでは転倒のリスクを決められません。同じ条件で測った距離を前回と比べて、経過をみるのに向いています。

測り方の要点

  1. 立ち方:足を肩幅に開いて立ち、足の位置を変えないようにします。裸足で測った研究もあります。履物は、毎回そろえます。
  2. 腕:腕を肩の高さ(肩関節90度)まで前に上げ、手の目印(中指の付け根)の位置を、壁のものさしなどに記録します。
  3. 距離:足を動かさず、前へ最大に手を伸ばした位置を記録し、はじめの位置との差(cm)を距離とします。
  4. やり直しにするとき:足を踏み出す、壁などに触れる、かかとを上げる、ひざを曲げるときは、やり直します。
  5. 回数:練習を1回してから、3回測って平均を使う方法があります。回数は研究によって違うため、記録して、次回も同じ方法で測ります。
  6. 安全に配慮する:検者は、すぐ支えられる位置に立ちます。

cmのほかに、リーチの行い方を見る

FRTでは、距離のほかに、次のことを見ます。

  • 重心の位置
  • どんな戦略でリーチしているか(腕だけで伸ばす、体を傾ける、足を動かすなど)

転倒への恐怖心が強い方では、距離が短くなる傾向があるとされており、本来の最大の能力が測れない可能性があります。ただ、恐怖心を含めた、いまの状態として評価してよいと考えます。前方へ手を伸ばす経験が少ない、どの程度届くかをつかめていない、姿勢を保つ力が足りない、といった背景が考えられるからです。

よくある質問

FRTは、何cmなら転倒しにくいと言えますか?

「この距離なら大丈夫」と決められる数字はありません。地域で暮らす男性退役軍人217人を6か月追った研究では、6インチ(約15cm)以下の方は、2回以上転倒した割合が高い関係がみられました(調整後オッズ比4.02)。6インチを超えて10インチ(約25cm)未満の方でも2.00で、手を前に出せなかった方は8.07でした。対象は70〜104歳の男性だけで、距離だけで転ぶかどうかは決められません。

測り方が違うと、数字は比べられませんか?

研究によって、測り方と結果が大きく違うことが報告されています(Rosaら、2019年、40研究のまとめ)。足の幅、腕の高さ、手の目印、回数(1回か平均か)などの条件を記録して、次回も同じ方法で測り、前回と比べるのがおすすめです。

施設で暮らす方は、どう見ればよいですか?

同じまとめで、地域で暮らす高齢者の平均は26.6cm、施設など地域外の方の平均は15.4cmと、差があったと報告されています。地域の平均だけで比べず、その方の前回の値や、ふだんの動きとあわせて見る方法があります。

出典・参考にした資料

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