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変形性股関節症と家でできる運動病態の基本、筋トレ、ストレッチ、暮らしの工夫

監修:やまねこ(運動器認定理学療法士・リハビリテーション科主任)
公開日:2026年10月3日/最終確認日:2026年10月3日

この記事は、医療機関で変形性股関節症と言われた方と、そのご家族に向けて書きました。診てもらったあと、家での毎日をどう過ごせばよいか、迷う方は少なくありません。

内容は、家でできる筋トレとストレッチ、痛みがあるときの運動の始め方、杖や歩き方、靴下や立ち座りなどの暮らしの工夫が中心です。

脚の付け根の痛みの原因は、変形性股関節症のほかにもあります。まだ受診していない方や、原因がはっきりしていない方は、先に整形外科で診てもらうのがおすすめです。受診の目安は、次の章にまとめました。

運動の種類や強さは、股関節の状態によって人それぞれです。ご本人に合う方法は、医師やリハビリ専門職に確認するのがおすすめです。人工股関節の手術などを受けた方は、担当の医師やリハビリ専門職の説明が最優先です。

この記事のポイント
  • 脚の付け根の痛みの原因は変形性股関節症のほかにもある。まだ受診していないときは、先に整形外科で診てもらう
  • 日本では、生まれつきの股関節のかたち(寛骨臼形成不全)や、子どものころの病気の後遺症が原因の「二次性」が大半とされる。女性に多く、若い方にも出る
  • 痛いからと動かさないでいると、筋肉が衰えやすい。運動は、短い期間・中くらいの期間では、痛みをやわらげ、動きを良くするのに役立つとされる(長い目で見て進行を防げるかは、はっきりしていない)
  • 家での運動の基本は、お尻と太ももなどの筋トレと、股関節まわりのストレッチ。息を止めず、ゆっくり。痛みや疲れを感じたら、すぐ中止する
  • 歩くときは、杖を痛い側と反対の手で持つ方法がある。水中を歩く運動も、よい方法とされる(平泳ぎを除く)
  • 家族の役割は、運動をさせることではなく、続けやすい雰囲気と、本人が続けたいことを続けられる工夫

1. まだ受診していないときは、整形外科へ

脚の付け根の痛みは、変形性股関節症のほかにも、大腿骨頭壊死症、関節リウマチ、股関節の骨折など、いくつかの病気で起こるとされています。原因は、診察やX線(レントゲン)検査を受けて分かります。まずは整形外科を受診するのがおすすめです。どこに行くか迷うときは、かかりつけの医師に相談してもかまいません。

すでに変形性股関節症と言われている方は、3. 家でできる筋トレとストレッチからお読みいただけます。

とくに、次のような脚の付け根の痛みがあるときは、整形外科で相談するのがおすすめです。

変形性股関節症では、痛みのほかに、次のようなことも見られるとされています。ほかの原因でも起こることなので、これだけで病気が決まるものではありませんが、痛みと重なるときは、受診のときに伝えると参考になります。

受診のときは、ご本人から次のことを聞いておくと、メモになります。メモは「あるとよい」という程度のものです。

居間のテーブルで、脚の付け根に手をそえた女性に、娘が隣に座ってノートを手に話を聞いている
いつから、どんなときに痛むのかを聞くと、受診のときのメモになります
次のようなときは、様子を見すぎずに、早めに整形外科を受診しましょう。
  • 転んだりぶつけたりしたけがのあとに、脚の付け根が強く痛い、脚を動かせない、痛くて体重をかけられない(骨折の可能性があります。足の付け根の骨折のあとのリハビリ)
  • 発熱があり、脚の付け根が激しく痛む、脚を動かせない
  • 安静にしていても痛い、夜寝ていても痛む(変形性股関節症が進んできたときにみられる症状とされています)

この目安は、安全のためのものです。当てはまるかどうか迷う場合も、ご家族の判断で原因を決めず、医療機関に相談するのがおすすめです。

2. 変形性股関節症とは

股関節は、骨盤のくぼみ(寛骨臼)に、太ももの骨の丸い先(大腿骨頭)がはまり込んでできた関節です。この関節の軟骨が少しずつ減ると、関節に炎症が起きて、痛みが出たり、動きが制限されたりします。これが変形性股関節症です。「痛み」や「歩きにくさ」など、暮らしで困ることが多くなる病気とされています。

左が正常な股関節、右が変形性股関節症の股関節。右では、骨盤と大腿骨頭のあいだの軟骨がすり減って狭くなり、骨頭の形が変わっている
正常な股関節(左)と、変形性股関節症の股関節(右)。軟骨がすり減り、骨の形が変わってきます

日本では、「二次性」が多い

変形性股関節症には、原因がはっきりしない加齢の変化や体重の増加などによる「一次性」と、生まれつきの形や病気のあとに起こる「二次性」があります。日本では、子どものころの発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の後遺症や、寛骨臼形成不全(骨盤側のくぼみが浅い)が原因の二次性が大半とされています。かかる人は女性に多く、膝の変形性関節症に比べて、比較的若い年齢でも症状が出ることがあります。

最近は高齢の方が増えたこともあり、はっきりした原因の病気がなくても、年齢とともに起こる方もいるとされています。ご本人やご家族の、日ごろの過ごし方が悪かったから、というものではありません。

症状の進み方

時期主な症状
前期〜初期立ち上がりや歩きはじめに、脚の付け根が痛む。長く立ったり歩いたりすると痛む。足の爪が切りにくい、靴下がはきにくい
進行期痛みが強くなる。立ち座りや階段、車やバスの乗り降りに、手すりが必要になる
末期安静にしていても痛い。関節の変形が目立ち、股関節が伸びにくく、歩くのが難しくなる

これは進み方の目安で、全員がこのとおりに進むわけではありません。診断は、医療機関での問診と診察、X線(レントゲン)検査で行われます。必要に応じて、CTやMRIの検査が行われることもあります。

運動に期待できること

痛いからと股関節を動かさないでいると、筋肉が衰えて、さらに動きにくくなりやすいとされています。運動(筋トレ、ストレッチ、水中での運動など)は、短い期間や中くらいの期間では、痛みをやわらげ、体の動きを良くするのに役立つとされています。一方で、長い目で見て病気の進行を防げるかどうかは、はっきりしていません。運動だけで足りない場合は、薬や装具、手術などが検討されます。

「年のせいだから」と、痛みをがまんしなくてよいものです。痛みがあるときは、医療機関で相談してみるのがおすすめです。

3. 家でできる筋トレとストレッチ

変形性股関節症の運動の基本は、股関節を支える、お尻や太ももなどの筋肉を鍛える筋トレと、固くなった筋肉を伸ばして、股関節の動きを保つストレッチです。とくに、お尻の筋肉(大殿筋)と、お尻の横の筋肉(中殿筋)は、股関節を守る大切な筋肉とされています。

運動を始める前に
  • 痛みや疲労感を感じたら、すぐに中止する
  • 運動は、痛みを引き起こすことがあるので、慎重に始めて、少しずつ強めていくのがポイントとされている
  • 動きが悪い方や、痛みが強い方は、先に理学療法士や医師に相談する
  • 人工股関節などの手術を受けた方は、担当の医師・理学療法士の指示が最優先

筋トレとストレッチ、共通の注意点

痛みの有無にかかわらず、運動のときに気をつけたい、一般的な注意点です。

筋トレのとき

ストレッチのとき

痛みが強いときは

痛みが強い日や、動かすと痛みが強くなる運動は、無理に続けません。痛みの出ない範囲の動きにしぼる、回数を減らす、休む、といった調整ができます。どの運動をどこまで行うかは、股関節の状態で人それぞれなので、理学療法士や医師に相談できます。

ベッドの上で過ごす時間が長い方も、寝たまま行える運動があります(このあとの、お尻を持ち上げる運動、横向きで脚を持ち上げる運動など)。できる形があるか、専門職に相談できます。

股関節を守る筋トレ

筋トレは、太ももの前、ふくらはぎ、お尻、お尻の横、脚全体の5か所が基本です。回数の目安は、1セット15〜20回、2〜3セットです。強さや回数は、痛みや疲れの具合で変わるので、専門職に決めてもらうのがおすすめです。

鍛える場所動き方保つ時間
太ももの前仰向けで片膝を立て、反対の膝を伸ばしたまま、床から持ち上げる5〜10秒
ふくらはぎ腰幅に脚を開いて立ち、テーブルにつかまって、かかとを持ち上げてつま先立ちになる2〜3秒
お尻仰向けで両膝を立て、お尻に力を入れて持ち上げる5〜10秒
お尻の横横向きに寝て、床側の膝を曲げ、上の脚を膝を伸ばしたまま持ち上げる5〜10秒
脚全体テーブルなどにつかまり、膝が前に出ないように、腰をおろして戻る(スクワット)5〜6秒かけておろし、5〜6秒かけて戻る
ベッドの上で仰向けに寝て、片方の膝を立て、反対の脚を膝を伸ばしたまま持ち上げている女性
太ももの前:仰向けで片膝を立て、反対の脚は膝を伸ばしたまま、無理のない高さまで持ち上げます
ダイニングのテーブルに両手をついて、かかとを持ち上げてつま先立ちになっている女性
ふくらはぎ:テーブルにつかまり、ゆっくりかかとを持ち上げて、ゆっくりおろします
ベッドの上で仰向けに膝を立て、お尻を持ち上げている高齢の女性
お尻:仰向けで膝を立て、お尻に力を入れて持ち上げて、肩・腰・膝が一直線になるところで保ちます
ベッドの上で横向きに寝て、上になった脚を持ち上げている高齢の女性
お尻の横:横向きに寝て、上の脚を、膝を伸ばしたまま、無理のない高さまで持ち上げて保ちます
テーブルに両手を置いて体を支え、膝を浅く曲げている高齢の女性
脚全体:テーブルで体を支え、背中を丸めずに、膝が前に出ないようにお尻をおろして戻ります。不安なときは、浅く曲げるだけでもかまいません

股関節の動きを保つストレッチ

ストレッチは、股関節と膝を曲げる、股関節の前、お尻、ふくらはぎ、太ももの内側の5つが基本です。時間の目安は、20〜30秒です。図に赤い部分があるものは、そこが伸びるところです。

ベッドの上で脚を伸ばして座り、片方の膝を曲げてかかとを引き寄せ、すねに手を添えている女性
股関節と膝を曲げる:かかとをつけたまま、股関節と膝を曲げて、曲がったところで保ちます
いすの座面に両手をそえて、片膝を床につき、上体をまっすぐにして、後ろ脚の股関節の前を伸ばしている女性。後ろ脚の付け根の前から太ももの前にかけてが、赤く示されている
股関節の前:片膝を床につき、上体をまっすぐにしたまま、骨盤を前へ移して保ちます。腰が反らないように注意します。赤い部分が、伸びるところです
ベッドで仰向けに寝て、片方の膝を両手で胸に抱え、反対の脚は伸ばしている女性。抱えている側のお尻が、赤く示されている
お尻:仰向けで片膝を胸に抱えるように引き上げ、息を吐きながら保ちます。反対の脚は伸ばします。赤い部分が、伸びるところです
椅子の背もたれに両手を置き、後ろ脚を伸ばしてかかとを床につけ、ふくらはぎを伸ばしている高齢の女性
ふくらはぎ:前の膝を曲げ、後ろ脚のかかとを床につけたまま保ちます
真上から見た、ベッドで仰向けに寝て、片方の膝を外へ倒して太ももの内側を伸ばしている高齢の女性
太ももの内側:仰向けで片方の脚を外へ倒して保ちます。反対の脚は伸ばします。体を支えなくてよいので、始めやすい形です

続けるための工夫

運動は、「やらなければいけない課題」にすると、続きにくいものです。ご本人の毎日の流れ(お風呂、朝の身じたく、好きな番組の時間など)に合わせて、組み込める形を考えるのがおすすめです。

理学療法士の視点から

股関節の痛みの運動は、基本的に、筋トレとストレッチです。どの運動をどこまで行うかは、股関節の状態や痛み方で人それぞれなので、実際の動きを見てもらうのがおすすめです。

現場でよく出会うのは、痛みをかばって歩く量や出かける機会が、少しずつ減っていく方です。ご家族が「痛いなら休んでいて」と先回りして用事を引き受けると、ご本人の役割が減ってしまうことがあります。続けたいことを聞いて、どうすれば安全に続けられるかを、リハビリ専門職と一緒に考えるのがおすすめです。

もう一つ多いのが、杖を勧められても、「まだ使いたくない」と感じる方です。杖は、股関節にかかる力を減らして、痛みをやわらげるのに役立つとされています。気持ちの面で迷うときは、その気持ちも含めて、リハビリ専門職に話してみてよいものです。

4. 暮らしの工夫(場面別)

歩くときには、体重の3〜5倍の負荷が股関節にかかるといわれます。ご本人が家での役割や好きなことを続けられるように、場面ごとに、ご家族と一緒に考えられる工夫をまとめました。「長く歩かない」「階段を避ける」といった注意が挙げられることもありますが、やめてしまうのではなく、休みを入れる、杖や手すりを使う、道具や高さを変えるなど、続けられる形を探すのがおすすめです。

杖を持つ手や、休むタイミングなどは、一般的な方法です。股関節の状態や痛む場所は人によって違うので、リハビリ専門職や医師の指導が最優先です。一つのやり方に決めず、実際の動きを見てもらうのがおすすめです。

歩くとき・外出

痛みがあるときは、杖を使う方法があります。杖は、股関節にかかる力を減らし、痛みをやわらげるのに役立つとされています。持つ手は、一般に、痛みがある股関節と反対の手です。杖を、痛い側と反対の手で軽くつくと、お尻の横の筋肉(中殿筋)の働きが減ったという報告があります。

女性が、右手でT字杖を持って、庭先の石畳の道を歩いている
杖は、痛みがある股関節と反対の手で持ちます。図は、左の股関節が痛い方が、右手で持っている場面です

杖の長さは、まっすぐ立って、握り手が手首の高さになるのが目安です。杖を握ったとき、肘が少し曲がるくらいになります。くわしくは杖の長さの合わせ方と選び方、歩行器は歩行器の種類と選び方、靴は高齢の方の靴の選び方にまとめています。

立ち座り・床の生活・トイレ

正座や、和式のトイレは、股関節に大きな負担がかかるとされています。床の暮らしが長い方は、いす、ベッド、洋式トイレを取り入れる方法があります。立ち座りがつらくなってきたときは、手すりやいすの高さを見直すのも一つの方法です。高さは、ご本人の体格や痛みで変わるので、立ち上がりの様子を、リハビリ専門職に見てもらって決めると安心です。

台所仕事は、高めのいすに腰かけて行う方法もあります。どこまで暮らしを変えるかは、ご本人の暮らしや気持ちを大切に、専門職に相談して決めるのがおすすめです。

場面ごとの、くわしい工夫は、次の記事にまとめています。

靴下・足の爪・着替え

靴下がはきにくい、足の爪が切りにくいのは、変形性股関節症で、股関節が曲がりにくくなったときに出やすい困りごとです。ご家族が代わりにしてあげる前に、道具や姿勢の工夫で、ご本人ができる形を探すのがおすすめです。たとえば、靴下をはく道具(ソックスエイド)などがあります。使い方は、理学療法士や作業療法士に教わると安心です。

人工股関節の手術を受けた方は、足元に手を伸ばす動作に、気をつける姿勢が決められていることがあります(6. 人工股関節の手術を受けたあとは)。

階段・車やバスの乗り降り

変形性股関節症が進むと、階段や、車・バスの乗り降りに、手すりが必要になるとされています。手すりがあると、体を支えやすくなります。くわしくは、階段の上り下りが不安になったらと、玄関の上がり框の段差をどうする?をご覧ください。家の工事や福祉用具の費用を調べるときは、下のツールも使えます。

関連ツール 住宅改修と福祉用具の費用 手すりや段差の工事、福祉用具の、自己負担の目安がわかります。

体重について

体重が増えると、股関節の負担が大きくなるとされています。体重が気になる方は、体重を増やさないようにすることが勧められています。ただし、体重のことは、ご本人が気にしていることも多く、ご家族から指摘すると、気持ちを重くしてしまうことがあります。減らし方を含めて、医師や専門職に相談してみるのがおすすめです。

5. 受診したあとに受けられること

受診したあとは、診察の結果とご本人の状態に合わせた治療が行われます。変形性股関節症の治療は、大きく保存療法と手術療法に分けられるとされています。

保存療法

手術療法

保存療法で症状がとれない場合に、手術が検討されます。初期のうちは、ご自身の骨を生かして行う「寛骨臼回転骨切り術」などが、関節の変形が進んでいる場合は、「人工股関節置換術」が検討されることがあります。そのほか、関節鏡で股関節の中を処理する手術もあります。どの方法がよいかは、股関節の状態やご本人の希望、暮らし方によって違います。医師とよく相談して決めていきます。

外来・訪問・通所のリハビリの違いは訪問リハビリと通所リハビリ(デイケア)の違いと選び方、外来リハビリの期限については外来リハビリの期限を過ぎたらどうなる?にまとめています。

6. 人工股関節の手術を受けたあとは

人工股関節置換術を受けた方の、暮らしでの一般的な注意点です。手術の方法や時期によって違うので、担当の医師・理学療法士の説明が最優先です。

脱臼しやすい姿勢

人工股関節では、関節が外れる(脱臼)のを防ぐため、動かしてよい向きが決められていることがあります。どの向きに気をつけるかは、手術で関節に入った方向(後ろから・前から・横から)によって変わります。入院中に、脱臼しやすい姿勢を教わっておくと、手術のあとの脱臼が減ると報告されています。

後ろから入る手術(後方進入)のあとは、股関節を深く曲げる、脚を内側に寄せる、内側にひねる、この組み合わせに気をつけます。暮らしの中では、低いいすやソファに深く座る、座ったまま前かがみで靴下をはいたり足の爪を切ったりする、脚を組む、座ったまま体をひねって後ろの物を取る、といった場面が当てはまります。前から入る手術(前方進入)では、気をつける向きが逆になり、脚を後ろに伸ばす、外へひねる動きに注意します。

避けたほうがよい動きは、手術の方法や時期によって、一人ひとり違います。この記事の内容よりも、病院から受けた説明と、担当のリハビリ専門職の指導が最優先です。退院のときに、「家でしてよい動き・避ける動き」を紙でもらえるか聞いておくと、ご家族にも共有しやすくなります。

手術のあとのリハビリは、歩く力、筋力、関節の動きの向上に役立つとされています。脱臼しやすい姿勢の例と、避けるための工夫は、足の付け根の骨折のあとのリハビリの、「手術の2つの方法と、その後の違い」にまとめています(骨折の手術の記事ですが、人工股関節の脱臼に気をつける姿勢の考え方は共通です)。

7. 家族ができる関わり

ご家族がいちばん力になれるのは、ご本人が「痛い」「手伝ってほしい」と言いやすい雰囲気をつくることです。痛みを我慢してしまうと、動く範囲がせまくなりやすいためです。「最近、股関節の調子はどう?」と声をかけたり、受診に付き添ったりすることは、ご本人の安心につながります。

介護用ベッドの上で上体を起こした女性に、ベッドの脇のいすに座った息子が、脚の付け根の様子を聞いている
ベッドの上で過ごす時間が長い方にも、痛みについて、まず話を聞くことから始めます

運動は、ご家族が「やらせる」ものではありません。ご本人のペースで、続けやすい形を一緒に考えるのがおすすめです。気になることは、リハビリ専門職や医師に一緒に聞いてみるのも一つの方法です。痛みが強い日は、休んでもかまいません。

ご本人が、これからも続けたいこと(日課や趣味、家での役割)を聞いて、それを安全に続ける工夫を、専門職と一緒に相談するのもおすすめです。「長く歩かないで」「階段は使わないで」と禁止するのではなく、どうすれば負担を減らして続けられるかを考えます。

また、痛みの原因をご家族で診断すること、インターネットで調べた運動をご本人に勧めることは、しなくてよいことです。運動や体重のことは、医師やリハビリ専門職にお任せしてよい部分です。

よくある質問

股関節が痛いときは、何科に行けばよいですか

整形外科を受診するのがおすすめです。
脚の付け根の痛みは、変形性股関節症のほかにも、いくつかの病気で起こるとされています。どこに行くか迷うときは、かかりつけの医師に相談してもよいものです。

股関節が痛いときも、運動したほうがよいですか

痛いからと動かさないでいると、筋肉が衰えやすいとされています。運動は、短い期間や中くらいの期間では、痛みをやわらげ、動きを良くするのに役立つとされています。
ただし、運動は痛みを引き起こすことがあるので、慎重に始めて、少しずつ強めていくのがポイントとされています。痛みや疲労感を感じたら、すぐに中止します。動きが悪い方や痛みが強い方は、理学療法士や医師に相談するのがおすすめです。

筋トレのとき、力を入れる瞬間に息を止めてもよいですか

息をこらえないように、注意が必要とされています。息をこらえると、血圧が急に上がることがあるためです。
力を入れるときも、自然に呼吸を続けながら、ゆっくり行うのがおすすめです。

ストレッチは、痛くなるまで伸ばしたほうが効きますか

いいえ。痛みや辛さを感じる強さのストレッチは、逆効果とされています。
呼吸を止めずに、無理のない範囲でゆっくり行うのがおすすめです。痛みのない側も、同じようにストレッチします。

杖は、どちらの手に持てばよいですか

痛みがある股関節と反対の手で持つと有効とされています。
股関節の状態や痛む場所は人によって違うので、リハビリ専門職や医師の指導が最優先です。長さの合わせ方は、記事「杖の長さの合わせ方と選び方」にまとめています。

水中ウォーキングや水泳は、よいですか。平泳ぎもよいですか

プールでの水中歩行は、浮力で股関節への負担が軽くなるので、運動として有効とされています。水中歩行や水泳を、週に2〜3回行えると理想的とされています。
ただし、平泳ぎは、股関節を大きく開くので、避けるよう勧められています。水中での運動も、痛みが強い方や、手術を受けた方は、先に医師や理学療法士に相談するのがおすすめです。

体重は、減らしたほうがよいですか

体重が増えると、股関節の負担が大きくなるとされています。体重が気になる方は、増やさないようにすることが勧められています。
ただし、減らし方は人によって違います。体重のことは、医師や専門職に相談してみるのがおすすめです。

人工股関節の手術のあと、気をつける姿勢はありますか

手術の方法によって、脱臼しやすい姿勢が違います。日常生活では、脱臼しやすい姿勢や動作に気をつけることが勧められています。
内容は、受けた手術に合わせて決まるので、担当の医師や理学療法士の説明が最優先です。姿勢の例は、記事「足の付け根の骨折のあとのリハビリ」にまとめています。

出典・参考にした資料

この記事は一般的な内容です。診断や治療の代わりにはなりません。運動の内容や強さは、股関節の状態によって異なります。最新の情報や、ご本人の状態に合う方法は、医療機関やリハビリ専門職でご確認ください。